散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

気になる鉱物、石

2005-06-04 22:18:10 | 思考錯誤
よく目を凝らすと、部屋のアチコチに様々な石が転がっている。
先日は台所の床の片隅にも転がっていたし、よく見ればテレビの横に、電話の脇に、トイレの棚の上に、玄関に転がっていたりする。
旅行の土産は石や砂がいい。
化石や鉱物の魅力はなんといってもその形態や色の美しさばかりではなく、そこに凝縮された時間を感じるからなのかもしれない。
旅先ではまず第一に自然博物館を捜すのが定例だ。
今まで私が圧倒されたのはやはりロンドン自然博物館とウィーン自然博物館が筆頭で、双方の博物館の化石、鉱物の部屋からはなかなか出てくる事ができなかった。
見渡す限り標本箱の並ぶ部屋に入るとわくわくしてくる。
一つ一つ丁寧に眺めていると背骨が持たないのはわかっているが、見落としたくない貪欲さが背中の痛みに何とか打ち勝って最後の台までかろうじて進んだものだ。

その中でも好きな鉱石をあげてみる。

Quartz-水晶
比較的誰でもが多く目にする鉱石であるし、手に入れ安いものだけれど、美しい事には変わりない。色も無色、ピンク、スモーク、紫などがあるが、私は透明な無色を選ぶ。
Adalbert Stifterの作品に”水晶”という美しい話がある。
半導体用シリコンの原料でもある。

Malachit- 孔雀石
銅の二次鉱物。緑色の美しい鉱石。針状結晶の集合体もある。
子供の頃ロシア民話”石の花”という話の中に、石を切ると美しい花の模様が現れるくだりがあった筈だ。あれは確か孔雀石だったと思う。当時孔雀石を見たことが無かった私の想像はかなり派手に膨らんだので、実物を見せられた時にはがっかりしてしまった事がある。とはいえなかなか美しい石だ。

ラピスラズリ>
いつかTVのある番組で、いかにピグメントを作るかという番組を見ていた。ウルトラマリンのピグメントを作るために大量の石を何べんも挽き、水桶に入れ、それを目の詰まった布で漉す。布の中に残る粉もかなり細かいが、漉して水の中にかすかに沈んでいるのがウルトラマリンの極上のピグメントだ。だから目が飛び出るほど高い。

方解石
文字などの上にこの結晶を載せると複屈折現象で二重に映って面白い。珍しいものではないが、この手の物は魅力的。濃い色の石灰岩に方解石が放射状に成長する事があって、切ると花のように見えるのが”菊花石”。これも石の花のひとつだ。

隕石
いつか一度拾ってみたいものだ。毎年100g以上の物が平均19000は落ちているというから、そのうちにあたるかもしれない。頭の上に落ちてきて欲しくは無いけれど。。。確か今年イギリスで76歳のおばあさんが庭仕事中、危機一髪で何を逃れたニュースを聞いた。ゴルフボール大だったというから、当たり所が悪ければ死んでしまう。

オリービン-Olivin
緑、黄緑、茶色がある。
火山弾の中にオリービンが入っていることがある。ランザローテ島で完璧なものは見つからなかったが、幾つかそれが含まれている火山弾のかけらを見つけた。ハワイでもよくみやげ物でオリービンを使った装飾品を売っているが、ランザローテ島でも似たりよったりの品が売られている。

Adamin
無色、白、黄、銅含有が多いと緑、コバルト含有が多いとピンクから紫。メキシコ産は黄色が多い。Olivinにも似ているが、これの方がもろい。
何故この石をあげたかというと、私が始めて鉱物の店で購入したものだからという個人的な理由。

<Kalkoolite-Margalite>
ヒルデガルド フォン ビンゲンが”Margalite"と命名。なにやら体に良いのだそうだ。
一見化石のように見えるが、そうではないらしい。”魚の卵石”とも呼ばれる。確かにいくらが化石になれたらこんな感じか、という形。私もこの様な石をポルトガルで見つけた。当時化石と信じていたが、どうもそうではなくこの手の石だったらしい。


緑柱石-ベリル
エメラルドやアクアマリンはベリルの変種。緑、赤、ピンク、薄青。美しい石だ。硬度も高い。
原石のままアクアマリンは冷たい海を凝縮したような感じで好きだ。

化石
三葉虫の化石。自分で発見する事は出来ないが、一つ持っている。どういうわけだかフィレンツェのボボリ公園正面入り口の近く似合った小さな化石屋で買ってしまった。三葉虫が生きていた時代を想像して楽しい。しかし何でフィレンツェで三葉虫を急にかいたくなったのか、いまだに謎でもある。

石にまつわる話もたくさんありそうだ。調べていたら鉱石のエキスを売る店もあった。
手のひらに乗る石もだが、石を見つけに行って、あたりの地層を眺めるのも面白い。

ところで、おまけにもう一つ。

 Wuerzburger Luegenstein-ヴュルツブルクの嘘石> 
バンベルク自然博物館で幾つか展示されている。1700年頃の偽の化石だが、現在の精密な化石の偽造と違って面白いのは、蛙などのがそのまま石に掘り込んであリ、そんな事があろう筈が無いという作品なのだ。それでも騙されそうになった人もいて論争が起こったというから楽しい。

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