散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

ひりひり釦の本当の色

2005-06-27 17:03:03 | 植物、平行植物
久しぶりに訪ねる友人への手土産に植物を選んだ。



“Gentiana dahurica ”
小花種のリンドウで青い五月の空色の花が長めの茎の先で風に揺れている。

リンドウにも色々種類があるがよく生薬として使われてもいるリンドウはキバナリンドウ。
ヒルデガルド フォン ビンゲンは、リンドウの根を粉末にしてスープなどに入れて服用する事で心臓を強くする、または胃に熱を持つ場合(胃炎の事か?)の場合にはこの粉末を熱い鉄板の上で暖めたワインに混ぜて服用すれば熱は取れると書いている。
Amarogentin, Gentiopikrinなどの苦味素が入っているのでかなり苦いのだろうな。良薬口に苦しだ。

アルプス地方ではリンドウ酒というものがあってこれはキバナリンドウの根を漬け込んだもの。ドイツではリンドウが自然保護指定になっているので、オーストリア、スイスから輸入されているらしい。それらの国では保護されていないのだろうか?もっとも栽培もされている筈だ。

リンドウ酒を思いついたので選んだわけではなく (何度もお酒類の話を書いているので余程酒飲みだろうと思われてしまったかもしれないが、そんな事は無い) その姿と色が私を誘ったので手に取った。可憐な蒼い花。

もう一つ気になって連れ帰ったのはオランダセンニチ-“Spilanthes oleracea”
名札の脇に“ひりひり釦”という愛称が記されているのが可笑しくて、よく読めばやはり薬草なのだ。エキナセア同様、抵抗力増進と殺菌効果を持っている。しかしそれよりも面白いのはスピラントールというアルカロイド成分のため、葉や花をしばらく噛んで居ると舌、唇がひりひりとして麻痺する感じがあるので驚いてしまう。


“ほら、これを噛んでみて。なるべくなら目を閉じて味に神経を集中してね。1,2分すると舌が痺れて来るけれどその後にね、この植物の持っている”味の色“が見えてくるんだから。”
と言って葉を一枚慎重に渡してみた。

“え~、何なのこれ。毒でしょ!いらない。”という者あれば、黙って言われたとうりに目を瞑って“色”が見えてくるのを待っている者もいる。

私はそうやって“待っている”人が好きだ。
多分彼らには、美しい“色”が見えている。。