散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

夜露の手

2005-06-22 23:29:59 | 植物、平行植物
                ハゴロモグサ ― Alchemilla vulgaris

又の名を聖母マリアのマント夜露の手。 夜露を指先に溜めて朝日にキラキラ光る手だ。
女性のハーブといわれていて葉のお茶がよろしいそうだ。サラダ野菜としても使えるが、まだ試した事が無い。試して、もしもほっぺたが落ちるようなら多分皆放っておかない事だろうから噂を聞かないということは、まあ押して知るべしという事かも知れない。
手の平のように広がった9つに割れた葉先に宝石のような朝露が乗っているのが美しい。
ハゴロモグサの話で何よりも楽しいのは、葉に集まったこの朝露を服用すると不思議な力がを得られるのだという、ラテン名を見るとわかるとうり錬金術師の植物だ。

    

     葉のふちの刻みに朝露が行儀良く並び、やがて葉の中心に向かって滑り落ちてゆく。
    ほんの小さな水滴がひとつひとつと寄り集まり、大きな水滴となっては、
 複雑な葉脈の起伏の上で寄り集まりまた別れて行く。
  身の回りに刻々と変化する人の流れのようだ。
 
兎に角、この美しい露がだ。
 
どんな不思議な力がつくというのだろうか?

ついで書き加えておくと、オレガノは悪魔や悪い精から身を守るし、セージも悪魔と愛の魔法(?)から身を守る。

まあいいや、私は”夜露の手”をまず試す事にしよう。

ちょっと面白かったのでここにメモを残すことにした。

RUTA GRAVEOLENS

2005-06-22 19:23:07 | 植物、平行植物

                        
                       全草は虫駆除、根は染料に使われる。

ルー:ミカン科の多年草。 Ruta=解放する Graveolens=強い芳香
16~18世紀必ず庭にはこのルーが植えられたという。ペストなどの疫病をから身を守る事が出来ると信じられていたのだそうだ。古代ギリシャ、ローマにおいて解毒剤として既に活躍していたらしいし、眼の病いに対して使われもした。悔い改めのハーブとも言われて、ミサにはこのルーで作ったブラシで聖水をかけることもあるというし、オフェリアが女王に差し出す花束にもこのルーが入っている。

"There's rue for you; and here's some for me. We may call it herb of grace a Sunday's. O, you must wear your rue with a difference." 


昔 (ああ、ほんとに昔の話、ふた昔!!) ローマに知人2人と出かけた事があった。知人の一人はイタリアに住んでいた事もあってそこに知り合いも多く、言葉に問題はなかったし、もう一人はイタリア語を習い始めているところだった。
ある日、ローマのアカデミーで教えていた作家の家に遊びに行き、夕飯にはマンホールほどもある皿に山盛りのスパゲッティを作り、同じくらい大きな皿にサラダを作り、やはり大きなボールに水を張ってプラムやネクタリンなどの果物を浮かべもてなしてくれた。
一緒に買い物に出かけてイタリアの活気あふれる市場でポンポンと景気良くサラダの基を買ってゆく。
その時始めて私はルッコ-ラにであった。なんて美味しい葉っぱだろうと、ひそかにサラダボールの中のそればかり捜しては食べていたのを思い出す。
ドイツに戻ってからその葉っぱを探しに捜しても見つからず、とてもがっかりしたものだ。今ではどこでも並んでいる。
その翌日、”面白い店”に連れて行ってくれることになり、彼の友人夫婦も誘って車で出かけた。
彼の友人は“イタリア人”の一般的“イメージ”をそのまま絵にしたような人物で車の中でも歌いっぱなしで、後部座席にドキドキしながら(なぜなら危なげなのだ!)座っている私に振り向いて首を振りながら一緒に歌えとばかりにウインクする。助手席の奥方は慣れているのか危険を感じてはいないらしい。小心者の私の鼓動が聞こえるほどになると、おもむろにダッシュボードからハーモニカを取り出し、今度はハーモニカで同じ曲を吹き始めた。それも片手でハーモニカを持ち、片手で調子を取っていたりする。
奇跡的に無事に店に到着した。そこは簡素な飯屋件飲み屋だった。右も左もわからないので、全てお任せで居ると大きな皿にズッキーニの花の天ぷらだのナスだのの家庭料理風が届き皆で舌鼓を打った。
しばらくすると店の入り口から中年の男が入ってきて、樫の木のように両手を体に沿わせてまっすぐ立ち、ものすごい早口で語り始めたので驚いていたら、毎日同じ時間にやってきて自作の詩をぺらぺらぺらと読み上げ、その報酬に店主から簡単な食事と一杯を奢って貰うということらしかった。吟遊詩人の生き残りだ。そんな風にも生きている人がいるわけなんだなあと、なんだかものすごく感銘したので今でもその時の様子が鮮明に残っている。

話がそれた。ルーの話。
 ”Grappa di Ruta ”ルーの入ったグラッパ。これが美味しい!イタリアを去るときに土産には何が面白いかと聞いたら、作家は私の手を引きある酒屋の中にずんずん入りルータ入りのグラッパを指差し嬉しそうにうなずいた。それがなんだかわからないままに私は早速それを買った。

。。という事でテラスにルーが増えてきたので今年はGrappa di Rutaを作ってみよう。ルーを切る良い匂いなのかどうなのかわからない匂いがする。この葉をほんのちょっぴりサラダに入れるとちょっと面白い味になる。問題が無きにしもあらずだから、大量に使ってはいけない。もっとも臭いがきつくて食べる気も失せるかも知れない。
                                           
                                              今朝仕込んだのでまだ暇がかかる。