乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

手越原のめりこみミラー(静岡)

2014-06-28 | 静岡県
 このところ静岡に行くことが続いています。安倍川西岸の旧東海道にある手越原バス停に着くともともとあまり広くない道に大きなクスノキがかぶさって狭くなりちょっと面白い雰囲気でした。


 そのクスノキにバス停とミラーが並んでいるのですが、バス停はさておきミラーの方がなんだかえらいこっちゃです。


 こんなに飲みこまれてしまうとはこのミラーも相当の古株と思われます。今後ミラーが傷んで取り換えの時期がきたらどうするのでしょうね。
 さてこの手越原に寄った理由はこのバス停ではなくて酒造所(君盃酒造)があるからです、といっても別に見学するとか大量に買い込むわけじゃなくて帰京の道中飲むための小瓶を買っただけですが。


 手越原から静岡駅方面のバスは10分毎くらいに来るのであまり待たずに乗れ便利です。途中車窓に見えた旗屋さんがなぜか「ふんどし」を大きくうたっていてびっくりしました。言われてみればなんとなく旗とふんどしって似ているような気はしますね。


 静岡駅前から京王バスJR東海バス共同運行の「渋谷・新宿ライナー静岡号」で帰京します。乗るのは京王バスの便です。京王の高速バスというと新宿から中央高速通って富士五湖甲府諏訪岡谷飯田駒ヶ根松本方面、という具合の一般路線バスの放送広告を思い出しそういうイメージがあるので静岡から東名高速経由のバスに乗るというのはちょっと新鮮な感じもします。


 車内ではさっそく君盃酒造で買った酒と、夕方のデパ地下の割引で買った東海軒の駅弁「特製鯛めし」を開けます。駅弁をバスで食べるというのはちょっと違う気もするけど乗り物で飲み食いするのはやはり楽しいものです。ちなみに「渋谷・新宿ライナー静岡線」とは別に静岡~東京に高速バス路線を走らせているしずてつジャストラインは東海軒と組んで「バス弁」なんてものを予約販売しているそうですしいろいろ考え付くものですね。まあ静岡から東京まで新幹線だと近くてあまり駅弁って感じでもないし在来線はロングシートだし、となると高速バスが弁当開けるのにちょうどいい所要時間なのかもしれません。


 バスの後方を見るとトイレの扉が真ん中にあるのが見えます。このバスのトイレはスペースが左右どちらかではなく全幅分大きく使われていて、便器に大きい洗面台、さらには着替えの際靴を脱いで乗れる折り畳みの板までついているのでびっくりしました。長距離の夜行とかではなくて割と短距離の東京~静岡の4列に立派なトイレをつけるとは意外です。また片道1回2名まで使える運賃20%割引券が配布されたり積極的な姿勢が感じられます。(画像の右下はおまけで途中休憩のときに近くに停まっていた国鉄リバイバル塗装のバスです。)


 そんなわけでのんびり快適に帰京したわけですが、改めて考えてみると東京~静岡はいつの間にか高速バスの路線が多くなっています。今回乗った「渋谷・新宿ライナー静岡号」、しずてつジャストラインとJRバス関東の「駿府ライナー」、老舗の東名ハイウェイバスの急行という具合です。それぞれ共同運行の関係がかぶっているのでそう熾烈な競争という感じにはならないと思われますが選択肢がいくつもあると助かります。在来線の東海道本線は特急東海どころか鈍行の東京~静岡直通もなくなりましたから今後は高速バスばかり利用してしまいそうです。
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大井川鉄道でたそがれ飲み鉄

2014-06-23 | 静岡県
(前回の続きです。)
 新金谷入口バス停から新金谷駅に向かう途中でおでん屋さん「かんとんや」に寄りました。暑い日にくつくつと煮えているおでんを見ているとなんだか台湾で関東煮を見るような気分になりつつ何本か包んでもらいます。


 新金谷駅舎の前に着き左を見るときかんしゃトーマスの看板が出ていました。郷愁に訴える「SL急行」とは違った方向にちょっと面喰らいます。またそもそも連日「ホンモノの」蒸機列車が運行されていること自体凄すぎることなので敢えて海外のお話を持ち出すこともないような気が最初しましたが、考えてみれば私も含め「蒸気機関車は保存された過去」でしかない世代は蒸気機関車に対する郷愁というものがありませんから、蒸機という存在をわかりやすく伝える素材との連携は今後どんどん重要になるはずでイイ作戦だと思いなおしました。
 右を見ると海抜68.1m・浜岡原発から22.0㎞とあり、ここで見るとそういえば原発も蒸気焚いてるんだなあとしみじみ思ったりです。尤も津波に備え海抜を把握するのはいいとして原発事故の時は風次第で長距離でも放射性物質が飛び報道や救援もあまり期待できそうにないのでさてどっちへどうやって逃げればいいのやらですけれども。とは言えまずは危険の存在と発生源の距離を示さないと始まらないので大事な表示ではあります。


 さて大井川鉄道に乗るにあたり「たそがれ終電きっぷ」を使うことにしました。これは2000円で15時以降終電まで乗り放題というものです。遊園地なんかにもこういう趣向の切符があることを考えると観光鉄道の面が強い大井川鉄道らしい切符という気がします。してみると乗り鉄って遊園地に行って乗り物に乗って喜ぶのと同じような趣味ですね。金谷~千頭の片道運賃は1810円なので金額だけ見るとかなりおトクですが、有効時間に乗れる列車は3往復+1便(最後の金谷発は千頭に着いたら戻れません。)だけで名物の蒸機列車にも乗れず、とかなり厳しい条件です。しかし早起きがキライだけど新幹線に乗らず遅く到着するケチでものぐさそして蒸機より電車好きという乗り鉄にはピッタリということになり今回初めて買ってみました。
 というわけでスタフや客車が見られるホームに入ります。


 当たったのは元南海ズームカーです。これに乗りたかったのでホッとしました。柔らかいフォルムに片開き扉、ずらりと並ぶ転換クロスに読書灯、イイ電車だなあと思いつつ買っておいたおでんとお酒を出します。


 日が長い時期の午後3時台は明るい車窓でまだ「たそがれ終電」という気分ではありません。大井川沿いを上がっていくと徐々に景色がよくなってきました。


 蒸機も補機の電機も頑張っているようでなによりです。


 というわけであまりたそがれてないけどだいぶ気持ちよくなって終点の千頭に着きました。「トーマス」の「Hiro」化した蒸気機関車が迎えてくれます。


 まだ明るいとはいえ午後4時台の千頭駅前は閑散としていて特に何をするでもない感じというのか、蒸機列車も井川に上がる列車も終わっていてあとは寸又峡温泉に行くバスがある程度です。とりあえずお茶ソフトクリームを食べてまた駅に戻りました。


 「飲み鉄」の後はかぶりついて乗り鉄です。左手のマスコン逆回しと右手の両方でブレーキ操作する様子を楽しみます。阪急の古めの車両と同様にメーター周りも木目に揃えてあるのはシャレてますね。


 乗り放題の切符で行ったり来たりしているとどこかで降りたくなるものです。今回は神尾で下車しました。ここは不便な位置にあり利用客が少ないことが逆に物好きを集めている駅で、駅ノートなんてのも置いてあります。インターネットの時代にもこういうものが生き残るんだなあと感心しました。またタヌキの置物がたくさんありそれが名物ということになっています。タヌキと言えば酒ですから一度お供えしてから車内に持ち込み、こんどはたそがれを通り越してしっかり暗くなった車窓を見ながら晩酌しつつ金谷に向かいました。


 元近鉄特急はテーブルがあって飲み食いがしやすくこの点助かります。


 金谷に着いたのは8時前です。まだ新幹線に乗らなくても東京に帰れるのでケチって東海道線の鈍行にしたところ延々ロングシートでも飲んだ後なので「睡眠ワープ」でき意外にラクでした。ということはお酒は特急券みたいなものかもしれません。
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バスで大井川鉄道へ

2014-06-22 | 静岡県
 ふと大井川鉄道に乗りたくなりました。じゃどうやって行こうかと考えたとき、新幹線は高いし東海道線で長々とロングシートに乗るのもイヤだし、というわけで高速バスで行くことにします。
 と言っても東京から金谷駅に直行する高速バスはないので東名ハイウェイバスに乗って東名高速道路のどこかで降りるというのが無難そうです。金谷駅へ路線バス1本で出られるのは東名牧の原停留所ですが、残念なことに停車する高速バスが少なく都合のいい時間の便がありません。そこで停まる便の多い東名吉田停留所(牧の原の東京寄りの隣)にまず向かうことにしました。

 東名高速を走るバスに乗る時は東急田園都市線あざみ野駅から歩ける東名江田停留所をよく使います。駅前などの繁華街ではなく静かな住宅地の中で中・長距離の高速バスが多数発着している様子は隠れたターミナルとでも言いたくなるような感じです。数台バスを見送ったあとJRバス関東の名古屋行きに乗りました。それほど広くはないものの3列席なので少なくともロングシートよりはずっとくつろげます。


 途中足柄SAと日本坂PAでの休憩で買い食いしつつ大井川を渡り、東名吉田まで所定2時間35分のところ十数分の遅延で到着しました。運賃は2730円と東海道線の横浜~島田3020円よりやや安いのがうれしいところです。東名吉田停留所は吉田IC内にあり付近にはタクシー乗り場のほかバス利用者用の自転車置き場が作られています。


 東名吉田に近い路線バスの停留所はしずてつジャストラインの「吉田インター入口」です。ここで島田駅に行くバス(下・右の画像)を待っていたら静岡に行くバス(同左)が先に来ました。お客を乗せ出発したバスは吉田ICへと向かいます。つまり東名高速経由の路線です。


 時刻表を見ると近くの島田駅に行くバス(島田静波線)よりも離れた静岡に行くバス(特急静岡相良線)の方が圧倒的に便数が多く運行時間帯も5時台から22時台(休日は21時台まで)と長いので存在感があります。なお時刻表脇に設置される押して点けるライトはしずてつジャストラインの停留所でよく見られるワザです。親切な工夫ですね。


 島田静波線に乗りせっかく東名高速で西側(右岸)に渡った大井川をまた渡って東側に戻ります。この「谷口橋」という橋は古めかしく「越すに越されぬ」大井川にはなんだか頼りない感じもする一方そのために悪くない味がある気もしました。河原が広いせいかなんだか台湾辺りで乗りバスしているような気分になったりもするところです。


 橋を渡ると大井川に沿って上流に進みます。結構人が集まって何かしているのをよく見たらゲートボール場でした。河原を借景にしていると大変広大に見えます。


 というわけで島田駅前に到着しました。やや閑散とした雰囲気なのはさておきバス乗り場がキレイに整備されています。


 駅舎を後ろにして何やらありがたそうな像が立っているので寄って見たら栄西でした。へー栄西って島田で茶を広めたのか、と勝手に感心したらそういうわけではなく、島田は茶産地なので茶の普及に功績のある人物を讃えよう、ということであって直接の関係はないようです。掲げている金色のものは当然のことながら茶で、まさに現金収入の源という感じがし頼もしく見えます。


 島田では同じ飲み物でも茶ではなく、近くにある大村屋酒造場で酒を買いました。夏向けのお酒が入ったカラフルな壜は涼しげでちょっと清涼飲料水のようです。


 改めて島田駅前から大井川を越えて金谷駅に向かう金谷島田病院線に乗りました。大井川を渡るのはこれで3度目になり川幅が広いだけになんだかバカバカしい気もしますがこのバスが渡る橋(大井川橋)はごついトラス橋(1928年製)で趣があり楽しめます。


 島田駅前から10分くらいで着く新金谷入口停留所で降りました。その名の通り新金谷駅の近くです。つまりこれで東海道新幹線と東海道線に乗らずに大井川鉄道に来たというわけでちょっとうれしくなりました。


(次回に続きます。)
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大瀬崎(後編・バス)

2012-08-05 | 静岡県
(前回の続きです。)
 伊豆半島の西の「肩」、静岡県沼津市にある大瀬崎に着きました。海岸は大瀬海水浴場になっています。右寄りに小さく見えるのが前回の沼津港から乗ってきた船と桟橋です。


 大瀬崎の海は透明度が高くダイビングスポットとして賑わっています。となれば当然泳ぐか潜るかが目的で来るようなところです。


 今回まずは「乗り」目的で海に入るような準備はしてきていません。さすがにちょっともったいない気もしてきますがそれはあきらめ、とりあえず歩いて見物できる「大瀬神社」にだけ行ってみることにします。


 大瀬神社は引手力命神社ともいい大瀬崎の先端部を占めています。土地柄さすがというべきか海上安全とかダイバー向けの水難除け肌守の字が見え、赤いフンドシがたくさん奉納されているので面白く感じました。


 大瀬崎で気になるのは細く出っ張った岬の先っちょなのになぜか真ん中に結構大きな淡水の池があることです。その池は「神池」といい、海に水を張ったスプーンのような岬が浮いているようなイメージです。


 そこも境内の中で見物するには料金大人100円が必要とあり、入口を見張る係員がいないときは各自箱に入れる自己申告制でした。「正直者は徳を得る!!」とあるので私も100円分くらいは徳を得たかもしれません。


 というわけで境内の奥つまり大瀬崎の奥に歩いていくとすぐに神池です。近くで見ると鯉がうぞうぞいるただの濁った池という感じですが、周りが海だと思うとさすがにちょっと妙な気がしました。よくうまいこと淡水が溜まって海水が混じらないものですね。


 神池と並ぶ大瀬神社の見どころにビャクシンの古木があり、その中でも立派でいかにもご神木という雰囲気になっているのがこれです。


 大瀬崎の先端まで行くと灯台と防衛省の小さな実験所がありました。何を実験しているのかよくわかりませんが、ごく小さい建物なので何か海に関係するデータの観測でもしているのでしょうか。


(おまけ)
 その後飛行機に乗っていて窓から大瀬崎が見えたことがあったのでその画像を貼ります。小さくしか見えなくても変わった形なので結構目立っていました。


 という具合に大瀬崎の見物を終えたら沼津駅まで乗りバスです。大瀬海水浴場のすぐ近くに沼津登山東海バスの「大瀬岬」停留所があり普段はここで沼津駅から来たバスが折り返しています。

 ところが標柱の注意書きを見ると夏季は大瀬崎は観光客の自家用車による路上駐車で混むため、路線バスはこの大瀬岬バス停までは入らず遠く不便な臨時バス停で折り返すとのことです。「公共」交通を自家用車のギセイにするのは間違っているような気がしますけれども。


 と文句言っても始まらないので臨時バス停に向かいました。坂道を上がり静岡県道17号まで出て、ここから普段は路線バスが走っていない戸田方向にしばらく進むと路肩のスペースに臨時と書かれた標柱が置いてあります。あとはこれと言って何もない場所で本当にタダ折り返すためだけの停留所という感じです。


 沼津駅とこの大瀬岬を結ぶバスは1日2往復しかありません。ひと気がない臨時バス停で「終バス」が来なかったらどうしよう、となんとなく心細くなった頃にバスがやって来てホッとしました。


 予想通りというべきかこの臨時バス停から乗ったのは私だけでした。実は、というのか平常時の大瀬岬バス停から歩くには臨時大瀬岬バス停より一つ沼津駅寄りの富士見台バス停の方が近いので、臨時バス停から乗るという時点で物好きだと証明されてしまいます。
 となればそうそう他に乗る人もなく最初の一人になりました。最前列の「マニア席」に陣取ると狭隘区間が結構ありなかなか楽しめます。


 途中の江梨から先は区間便が増えるためすれ違うバスも見られました。

 (臨時の)大瀬岬から80分ちょっとで暗くなった沼津駅南口に到着です。


 最後にやや蛇足ですが、この沼津駅~大瀬岬のバスに沼津港~大瀬崎の航路がない時期日帰りで乗ろうとすると例えば東海道線の始発列車で東京駅を出ても朝の便に間に合いません。となると夕方の便でとんぼ返りするほかなくなります。なので都内在住だと今回のように航路のある夏季の訪問ということにならざるを得ません。ただそうすると今度は航路のある時期と先に述べた臨時バス停設置期間がかぶってしまうという問題が出てきます。(本来の)大瀬岬~富士見台間に乗らないと気になる完乗にこだわる向きはとんぼ返りするか、あるいは江梨~大瀬岬間を片道だけ徒歩で制してしまうなど何らかの手が必要です、などと考えてみるとなかなか大変な路線ですね。
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大瀬崎(前編・渡船)

2012-08-02 | 静岡県
 なぜかこのところ伊豆・箱根方面に引っ張られています。箱根下田と続き今度はちょっと西側に行きたくなりました。
 そこで目をつけたのが伊豆半島の北西に位置する沼津市の大瀬崎というところです。(大瀬の読みは「おせ」・最寄バス停は「大瀬岬」)地図を見ると伊豆半島の「肩」のように出っ張った形が何となくそそられます。さらに沼津駅~大瀬岬間にはバス、沼津港~大瀬崎間には渡船があり往復で違う経路をとることができるので行ってみることにしました。
(沼津港~大瀬間の航路は7月中旬から8月までの季節運航なので乗る前に運航日・時刻の確認が必須。運航する千鳥観光汽船公式サイトはこちら。)

 同じ方面が続くといっても毎回日帰りなのでまた都内にある自宅から出直しです。沼津まで東海道線や新幹線ではつまらないし、小田急の特急「あさぎり」は御殿場止まりになっちゃったし、ということで高速バスにしてみました。
 沼津行きの高速バスが出るのは新宿・渋谷・東京(駅)ですが、そうしたターミナル駅から乗るのも芸がないと東名高速上にある江田バス停からにしたらこれが失敗です。最寄駅の東急田園都市線あざみ野から江田バス停まではせいぜい10分くらいとは言え炎天下歩くと結構うんざりしました。江田駅のすぐ近くに作るとかもう少し高速バスと鉄道の連携を進められないものかと思ってしまいます。


 着いた江田バス停は住宅地から取り付いた路肩にある地味なものですが、近くは神奈川・静岡方面、遠くは名古屋・大阪まで行くバスが停まりますからなめてはいけません。



 名古屋や大阪といった行き先を見ると思わず乗りたくなってしまいますけれどさすがに衝動乗りには踏み切れません。この心境はどことなく地味な駅で長距離列車を見るときと似ています。そんな「大物」バスをやり過ごしたあとに富士急シティバスの沼津行きがやってきました。

 空気が悪く暑い高速道路の脇から涼しい車内に入るとホッとします。乗ってしまえばごくお馴染みの東名高速を1時間くらい下って裾野ICに達し、そこから一般道に入って約30分で沼津駅北口に着きました。


 とりあえずありがちなショッピングモールが目立つロータリーに降り立つと見慣れぬバスが見えます。あれこんな色のバスあったっけ、とよく見たら伊豆箱根バスでした。2008年にバス事業80周年を記念して昔の塗装のバスを登場させたとのことです。そのことに気づかなかったくらいこの辺りに来ることがなかったのがバレますが。


 沼津港行きのバスはこの北口からではなく南口発着です。なので南に行こうと思ったらなんと自由通路がありません。沼津駅では何度か降りているものの南北を「駅の外側から」行き来するということがなかったため初めて気づきました。通り抜けのために入場券買うのもくやしいので道を聞き、駅の西側にある「あまねガード(西周にちなむのだとか)」まで遠回りします。台湾の嘉義とか宜蘭みたいにタダで通す工夫があってもいいのになあと思ってしまいました。

 沼津駅は高架計画があるとかで、壁面に描かれた高架工事完成後の予想図を見ると今は沼津まで来なくなった特急「あさぎり」の小田急RSEらしき姿がありびっくりです。実現しない図になってしまいましたね。


 南口に出るとバスはいよいよ色とりどりです。箱根登山バスが東海バスとくっついてできた沼津登山東海バスは塗装がそれを表すようなデザインなので遊び心というか判じ物っぽいので面白く感じます。伊豆箱根バスのライオンズカラーを改めてみると北口で見た旧塗装車より野暮ったい気がしてきました。


 富士急バスターミナル前の交差点に立つと渋い富士急はもちろん「青い箱根登山バス色の」沼津登山東海バスに「東海バス色の」沼津登山東海バスに、と色々やって来るややこしくも面白い過渡期らしい状況です。



 そんなバス見物を挟みつつ沼津港行きの沼津登山東海バスに乗って10分ちょっとで沼津港に到着しました。


 まず乗る船の状況をチェックします。降りた停留所の向かいにある「ひものセンター」内に大瀬崎行き(千鳥観光汽船)の券売所があり、ひものセンターを抜けた側の港の一角が乗船所です。


 沼津港には食堂や海産物の売店が多数集まり観光地になっていますが、今回はそちらよりも乗り物がらみのものを見物します。
 東京方面と沼津港の間には直通する高速バスもあるのですがこのときは1日1往復で時間が合わせられず使えませんでした。

 その貴重な(?)京王バスが曲がっている角(千本港町交差点)を見るとかつて沼津駅から伸びていた貨物線「蛇松線」を記念する説明板が設置され歩道にレールが埋め込まれています。



 近くには沼津駅の駅弁でお馴染み「桃中軒」の工場がありました。これも一応鉄道関係つまり乗り物がらみと言えそうです。


 という具合に時間をつぶしていたら大瀬から船がやって来ました。ちゃんと行先表示もあります。旅客定員は椅子席24名・立席32名・合計56名とのことです。


 出航するとまず「びゅうお」という名の水門をくぐります。ここには展望台が併設され観光施設になっているほか、津波のときの避難場所でもあるそうです。港のお店の方が「いざというときあそこまで走って階段登り終わるまでに間に合うのかなあ」なんて笑っていましたが、万一のときはとにかく急ぐしかありませんね。


 水門を出て東を見ると伊豆半島の西海岸が結構遠くに見えます。帰りはその海岸線を走るバスに乗る予定なのですが、あんなに遠回りするのかとびっくりしました。この洋上をショートカットする航路が30分強の所要時間なのに対しバスは(沼津側は港ではなく駅ですが)81分かかるのもむべなるかなです。
 この航路は晴れていれば北側に富士山がよく見えるはずなのですが曇っていて見えませんでした。ただ曇った方が日差しが弱まるので助かる面もありますが。少々の水しぶきを浴びつつ短い船旅を楽しみます。


 大瀬崎に到着しました。逆光の沼津港であわてて乗ったため船の姿がよく見えませんでしたが、改めて見るとなかなか浮かれた柄の船体です。


 乗り物目当てで来ていて復路は乗りバスになりますが、せっかく来たので少々大瀬を見物することにしました。
(後編に続きます。)
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