明日のエースは君だ! 羽生善治vs豊島将之 2019年 第68回NHK杯 準々決勝

2025年04月06日 | 将棋・名局

 「それ、お前が言うんかい!」


 
 
 藤田綾女流三段と同時に、思わずそう突っこんでしまったのは、あるテレビ対局を見たときであった。
 
 その将棋は2019年NHK杯準々決勝。
 
 豊島将之王位棋聖羽生善治九段の一戦。
 
 豊島が先手で角換わり腰掛け銀模様。そこから両者じっくりとした駒組になって、この局面。
 
 
 

 
 

 後手の羽生△86歩▲同歩△同飛と飛車先のを交換したところ。
 
 王手なこともあって、こういう局面ではなにも考えずに▲87歩と打つもの。
 
 ただそれには△76飛横歩を取られる手もありそうで、そこを警戒しないといけない。
 
 それも怖いけど後手の飛車もせまいから、なんとかうまくタダ取りとかできへんのかなーとボンヤリ考えてみていたら、次の手が意表であった。
 
 

 
 
 
 
 

 ▲87金と上がるのが、いかにも「現代将棋」という手。 
 
 私が将棋を習ったころは、こういうが上ずる形は悪いとされていたもの。
 
 実際、相居飛車▲88△87歩王手され、▲同金でこの形を余儀なくされるのは「苦しい」と判断されたものだ。
 
 どっこい、研究の進んだ角換わりでは、むしろを上がって上部を厚くした方が戦いやすいということなのだ。
 
 守備駒が前に行くと角打ちのスペースができて怖いが、引き飛車金銀のポジショニングもよく、その心配はない。
 
 おそらくはAIの影響もあるのだろうが、この手を見たとき、
 
 
 「時代って、どんどん変わっていくんやなー」
 
 
 なんて、オジサ……シブいナイスミドルの感慨にふけったものでした。
 
 ▲87金△81飛▲86歩に後手は△77桂成と取るが、そこで▲同玉が▲87金からの継続手
 
 
 
 
 
 
 で取るのもありそうだが、あくまで守備のラインを押し上げつつ戦う、という意志は変わらないのだった。
 
 そこから中盤のねじり合いに突入して、この局面。
 
 
 
 

 
 先手が▲45歩と突っかけたところ。
 
 △同歩▲44歩△同銀▲34桂の筋があって指しにくいが、次の手がまた意表だった。
 
 

 
 
 
 
 
 △25桂と打つのが、おどろきの1手。
 
 たしかに先手玉は金銀が中央から左側に集結しているので、そこを掘っていくのはが悪そうだが、それにしてもスゴイところに手が伸びるものである。
 
 △37桂成と取られるわけにはいかないから、▲同桂と取るが、△同銀▲34桂を防ぎながら、次に△39馬から飛車をいじめ▲26を取ってやろうとねらっている。
 
 ただでさえ先手は▲37をさばきたいのに、それを持ち駒にしている桂馬と交換させるという発想が思いつかない。
 
 とは言え、実際に指されてみるとうるさいし、先手陣も飛車を責められると▲58不安定になるのが気になる。
 
 急がされている先手は▲44歩△同銀▲46桂とあくまで後手玉のコビンに照準を合わせるが、そこで△42桂がまたしぶとい受け。
 
 
 

 
 
 もったいないようだが、桂馬は1枚補充できることが確定しているため、ここはおしまず投資したほうが良いのだろう。
 
 以下、羽生は徹底したB面攻撃で豊島の飛車を奪ってしまう。

 

 


 

 こうなると厚みで押していくはずの金銀が、飛車打ちにすこぶる弱い形でまいった。

 スクラムをかわして、巧みにを取った羽生の指し回しが冴えている。

 豊島の築いた構想を空振りさせるような、曲線的な指しまわしが光り羽生がベスト4進出を決めたのだった。

 この将棋は内容自体もおもしろかったが、もうひとつ印象に残っていることがある。

 それが解説を担当していた斎藤慎太郎七段のセリフ。

 対局中、カメラが盤をはさんだ豊島と羽生を横アングルからとらえたときに、

 


 「なんだか、この2人は《主人公》という感じがしますよね」


 

 これには反射的に藤田さんも、

 

 「それ、お前もやんけ!」

 

 それが冒頭のツッコミである。

 いやもちろん、藤田さんはこんなガラの悪い言い方ではないですが、「いやいや斎藤先生も……」と笑いをかみ殺しておられました。

 その顔には完全に「アンタもやん」って書いてましたもんねえ。

 そんな「主人公」斎藤慎太郎が、久しぶりにタイトル戦を戦っている。

 相手はこれまた「主人公」感ある伊藤匠叡王

 このさわやかクリーンな感じが「令和やなー」と思わせるところで、どちらが勝つのか興味が尽きないところだ。

 


(「主人公」と「ヒール」(?)の戦いはこちら

(その他の将棋記事はこちらから)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネパール旅行戦記6 ダルバートとモモとインドカレーで食いだおれ

2025年04月03日 | 海外旅行

 ネパールに行ってきた。
 
 ということで、簡単な現地の紹介レポート

 前回は物価とか飛行機について書いたが、今回は人とか。
 
 
 


 ■ネパール人
 
 ネパール人はおだやかで、やさしい。
 
 もちろん、たまにボッタクられたりとか、日本語ガイドなんかが、しつこくてうっとうしいこともあるけど、おおむね親切だし日本人にも好意的である。
 
 インド旅行者が、アクの強いインド人相手に疲弊して逃げてくるケースも多く、
 
 
 「ネパールはおだやかで天国やー」
 
 
 癒されるというのはバックパッカー「あるある」。 
 
 あと、昔の「世界中どこでも日本人旅行者」という時代の名残と、日本に出稼ぎに来る人も多いとあって、日本語を話せる人もけっこういるので頼れることも。
 
 それにしても、台湾など日本語通用度が比較的高いところに行くと、
 
 
 英語が話せるやつは、ふだんこんなにに(精神的にも)旅してるのか!」
 
 
 ムカッぱらがたつものだ。

 暴力で勝手に「世界共通語」とか言いやがって。大東亜共栄圏もっかいやったろかしらん。
 
 そんなグチは置いておいて、この旅でもトラブルのたびに親切なネパール人に助けられたので、ここでお礼代わりに

 

 「いいところだからネパール行こうぜ!」

 

 とアピールしておきます。治安もいいので、女性にもオススメです。
 
 


 ■食事
 
 ネパールのメシはうまい
 
 基本はの煮こみであるダルバートをはじめ、カレーっぽい定食が多い。
 
 実際、インドカレーの店も多いため、主食はカレーと考えていい印象だが、そんなに辛いわけではないので、スパイス苦手な人でも大丈夫(インド系は辛いところもある)。

 

 

 

これはインド料理屋の豆カレー。美味。
 

 

 水餃子のモモとかは日本人でも食べやすいし、中華チベットウイグルなどバラエティーに富んだ食堂もあって楽しめる。日本食もある。
 
 お酒
もふつうに買えるので、呑兵衛も問題なし。
 
 まあ、グーグルとかでほめられている店に行っておけばハズレはないけど、ポカラレイクサイドとか観光客向けの店は、たまにすごいスカを引くこともあってビビる。
 
 あと、がめっちゃ多いのも特徴。
 
 1人前が大盛くらいの勢い。いろいろ試したいと、たくさん注文するときは注意が必要。

 

 

 

 

 

 もうひとつ大事なポイントは、出てくるのがメチャ遅い

 のんびりした気質なのか、とにかく待つ。マジで最低30分。ときに1時間くらいとか。

 理由として、出来合いのものでなく、注文してから準備するスタイルなため、どうしても時間がかかるのだ。

 オーダー通してからコメを炊く、食材に下味をつけはじめる。そりゃ時間もかかりますわ。

 一昔前は料理を注文すると、おじさんが釣竿もって出かけて行ったりしてたらしい。

 私も朝食を頼んだら、コックさんが野菜をおっとり刀で摘みはじめたり、ラーメンを注文したら厨房のおじさんが、おもむろに白い塊こねはじめたりと、「覚悟を決める」瞬間が多々であった。

 その分、出来たてが出てくるので、そりゃウマいはずですわ。

 あと旅行者的に結構気になるのが、気軽に食べれる軽食の類がそんなにないこと。
 
 ふつう、どこの国でも屋台とか軽食スタンドみたいなのがあって、たとえばヨーロッパならサンドイッチとか移民が作るドネルケバブとかが売っている。
 
 エジプトでは豆のコロッケ「ターメイヤ」とか、ヴェトナムの現地サンドイッチ「バインミー」とか。
 
 そういうのがあまりなくて、「小腹が空いた」ときに困ることも。
 
 飲み物フルーツもとぼしく、モロッコで飲んだ生ジュースとか、タイではスイカとかマンゴーがそのへんで買えたり、そいういうのも皆無。
 
 要は「おやつ」が少な目で、そこを充実させると商売のチャンスかと思うんだけど、あんまり出せない規制とかあるのかな。 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「西の王子」タイトル戦に初登場 斎藤慎太郎vs糸谷哲郎 2017年 棋聖戦 挑戦者決定戦

2025年03月31日 | 将棋・名局

 斎藤慎太郎叡王戦に登場する。
 
 ここ数年、藤井聡太の独裁が続く将棋界だが、一時期元気だったのは関西棋界であった。
 
 まず、糸谷哲郎竜王戦羽生善治森内俊之を倒してビッグタイトルを奪取。
 
 それに刺激を受けたか、その後も豊島将之菅井竜也斎藤慎太郎らがタイトルを獲得。
 
 また獲得こそないものの千田翔太稲葉陽がタイトル戦の挑戦者になり、澤田真吾も豊島と王位戦挑戦者決定戦を戦うなど、まさに「黄金時代の幕開け」を予感させる層の厚さだった。
 
 ところが、藤井聡太登場とともに、入れ替わるように関西勢の勢いが落ちていく。
 
 渡辺明永瀬拓矢関東勢の逆襲にあいタイトルをはがされ、豊島は叡王を取ったり竜王名人になったりとがんばったが、今はややお休み状態。
 
 そのうち「八冠王」が誕生して、またちょくちょくA級から落ちはじめる棋士も出るとか、すっかりが薄くなっている感があった。
 
 そこに久方ぶりに斎藤慎太郎が復活。
 
 挑決の相手も藤井聡太を破った糸谷ということで、そろそろ西の巻き返しを期待したいところである。
 
 というわけで今回は原点回帰。斎藤によるタイトル戦登場の様子を。
 



 
 2017年の第88期棋聖戦
 
 挑戦者決定戦に進出したのは糸谷哲郎八段斎藤慎太郎七段だった。
 
 糸谷はここまで松尾歩広瀬章人佐藤康光を、斎藤森内俊之木村一基郷田真隆を破っての進撃。
 
 広瀬松尾強敵だが、「羽生世代3人木村一基というタイトル戦の常連を突破しているところに「世代交代」の流れを感じさせるところだった。
 
 将棋は糸谷先手で横歩取りになり、「勇気流」の形に進行。

 

 

 

 

 以下、後手は飛車のフットワークでこまかく手を作り、先手はの厚みでそれを押さえこもうとする展開に。


 
 
 

 

 そこからもむずかしい斥候が続いたが、先手が桂交換から▲34桂王手銀取りに打った攻めがイマイチだったよう。
 
 後手は働きの悪いを捨て、自然に△52玉から左辺に脱出。
 
 このあたり、敵の出方によって△31玉△21玉ミレニアム風に組んだり。

 あるいは△52玉△61玉美濃囲い風という2つのルートに逃げて金銀と連絡できる「中原囲い」の強みが発揮されている。

 

 

     

 2009年度の第80期棋聖5番勝負の第5局。
 横歩取りから△41にいた玉を△31、△21としたのが功着想。
 その後、△51の金も△31にくっつけ堅陣を築き、羽生善治が木村一基の初タイトルを阻止。

 

 

 
 またこの構想が現代の「広さ」を重視する思想にも、つながっているのだろう。
 
 
 
 

 

 手に乗って、働きの悪かったを中央にくり出し、ここでは後手が優勢になっている。
 
 その後は斎藤らしい踏みこみのよさを見せ、一気に持って行くのかと思いきや、そこでゆるんでしまい、また勝負はわからなくなる。
 
 △77歩と「退路封鎖」でタタくタイミングを逸したのに乗じて、糸谷は▲68玉から▲77玉と逃げだす。


 
 
 
 
 依然、形勢自体は後手がいいのだが、「中段玉」になるとを発揮するのが糸谷哲郎異能感覚で、斎藤もあせらされたことだろう。
 
 こうなると手の善悪も判別できない完全な闇試合で、なにが正義かサッパリわからない。
 
 こういう「評価値がアテにならない」戦いこそが終盤戦の醍醐味で、果たしてどっちが抜け出すのか。
 


 
 
 
 図は斎藤が△82香と打ったところ。
 
 の合駒が利かないので、えらいことキビシイ手だが、ここからが糸谷ねばり腰だ。

 

 


 
 
 
 

 

 まずは▲85銀と合駒。
 
 ここは▲85角もあって比較はむずかしすぎるが、ともかくもこれでまだ耐えている。
 
 続く△63角の追撃には▲84角(!)。


 
 
 
 
 なりふりかまわぬ頑張りだが、おどろくなかれ、なんとこれでまだ先手玉に明確な寄りはないのだからシビれるではないか。
 
 △同香▲同銀△83歩しかないようでは、いかにも勢いにとぼしく実戦的には逆転しててもおかしくない。
 
 そこからゴチャゴチャやり合って、この局面がクライマックス。
 
 
 
 
 
 糸谷が▲83銀成とつっこんだところで、△同銀なら▲73角王手金取り

 △62銀▲64角成は、上部の押さえの駒がなくなるうえに、が手厚くて先手勝ち。

 かといって、ここで△85銀と押さえても、▲87から▲98を格納するルートが残っているから寄りはない。
 
 糸谷からすれば、この一瞬さえしのげばチャンスがあるが、次の手が鋭手だった。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 △98銀と打ったのが、退路封鎖の手筋で決め手となった。
 
 わけのわからない戦いの中、
 
 

 「タイミングを考えていました」



 
 
 というこのが炸裂して、泥仕合に無類の強さを発揮する糸谷もついにダウン

 ▲同香△85歩▲96玉△86金▲95玉△94歩▲84玉△74金までピッタリ詰み。

 


 
 ▲96歩と抵抗するが、△85金と押さえてから△89銀不成で逃げられない。
 
 得意の切れ味で難敵を倒し、斎藤がタイトル戦出場を決めたのだった。

 
 

(斎藤の見せた、さわやかな攻めはこちら

(その他の将棋記事はこちらから)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネパール旅行戦記5 ポカラ行きの便でヒマラヤ遊覧「勝利者の席」ゲットだぜ!

2025年03月28日 | 海外旅行

 ネパールに行ってきた。
 
 ということで、簡単な現地の紹介レポート。

 前回はパシュパティナートクマリの館を取り上げたが、今回はお金の話とか。
 
 


 ■物価
 
 ネパールは物価が安い

 私がヤングだったころのような
 
 
 「一食100円。宿が一泊数百円」+円高でウハウハ。

 

 みたいな、ほとんどタダで滞在できる時代とはちがうが、それでも日本の半分くらい。

 

 

 


 
 あと、ネパールはタクシーツアー料金などは相場をだいたい固定している。
 
 ボッタクリ防止もあるが、過剰な値下げ合戦を牽制する意味もあろう、実際に相場よりも「安くしすぎる」と罰則があるらしい。
 
 なので、ホテルなどでだいたいの基準を聞いておけば、のネパール人にひっかけられるリスクも減らせるだろう。
 
 ちなみに両替ATMも、どこもそんなに変わらないので、「ちょっとでも得なところ」を探すよりも、その時間で観光した方がいいと思う。
 

 ホテルが安く快適で、も多いためブッキングドットコム9点以上の良宿が前日とかでもバンバン取れる。

  11月ハイシーズンでこれだから、宿で困ることはない。
 
  ただし、チトワン国立公園に行く飛行機だけは、便数が少ないので、数日前から予約を取っておいた方がいい。
 
 


  ■飛行機
 
  ネパールの飛行機は信用度が低め。
 
  これはしょうがないところがあって、「天気は変わりやすい」ことから、どうしても遅延欠航が増えるのだ。
 
  の天気は良くても、が出てディレイとか私も待たされた。スケジュールは余裕をもって。
 
  カトマンズからポカラ100ドル
 
  ネパールのバスは「地獄の長距離バス」などと呼ばれ、ロクに舗装もしてない悪路10時間くらい(6時間とか書いてあるけど絶対にその時間では着かない)走らされる。 


  ヤングのころならともかく、ナイスミドルになってそれはつらいと往復200ドルの小便が出る。

  まあ、そこは転んでもただでは起きず、カトマンズーポカラ便では右側の席が取れた。

 これはからヒマラヤがバッチリ見える勝ち組の席であり、遊覧飛行の気分が味わえる。

 

 

 

 この旅は終始、絶景には恵まれてが良かった。

 


ネパールの食事編に続く)


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

詰みは無慈悲な夜の女王 内藤國雄vs田中寅彦 2006年 第64期B級2組順位戦

2025年03月25日 | 詰将棋・実戦詰将棋

 順位戦最終局は悲喜こもごもである。

 羽生善治九段降級や、杉本昌隆八段5勝5敗の指し分けで降級点(しかも2個目)など椿事もあったが、そういう不運でも「すべてを出し切って」戦えたなら、まだ多少の救いはあるだろう。

 中には大きなチャンスを「勝ちがあった」のに逃がしてしまったり、ましてや「詰みがあった」のに見えなかったら、そのショックは計り知れない。

 ましてや、その人が「詰将棋名手」だったなら……。

 順位戦最終局で「詰み」という100%の局面を、そのスペシャリストであるスナイパーが「はずす」。

 今回はそういう悲劇的な将棋を。

 


 

 2006年、第64期B級2組順位戦

 内藤國雄九段は、6勝3敗という成績ながら、展開に恵まれ、自力昇級の権利をもって、最終局を戦うこととなった。

 このとき内藤は66歳

 B1に上がれば、それだけでもすごいのに、くわえて

 

 「順位戦昇級の最年長記録」

 

 という快挙(それまでの記録は花村元司九段60歳A級昇級)を成し遂げることとなる。

 もともと華のある人気棋士なうえに、この歴史的記録なるかという興味も手伝って、東京将棋会館に関西から、新聞記者もかけつけたそう。

 その期待に応え、内藤はすばらしい将棋を披露する。

 対する田中寅彦九段は、すでに4勝をあげ降級点を回避し、気楽な立場だが、

 

 

 自分には関係ないが、相手にとって人生をかけた大一番を戦うときこそ、全力で戦って、勝たなければならない。


 

 という、よけいなお世……「米長哲学」を実践すべく和服で挑むも、「自在流」内藤の華麗な攻撃に、受け一方に立たされる。

 将棋は終始、内藤が押し気味で、むかえたこの局面。

 

 

 

 

 最終盤、ここでは、だれもが「後手勝ち」を確信していた。

 先手玉に、詰みがあるからだ。

 そして、指しているのが、なにを隠そう内藤國雄ときたものだ。

 内藤といえば、通算1132勝、A級17期、タイトル獲得4期、棋戦優勝13回

 目もくらむような実績の持ち主だが、それと同じくらい、いや、人によっては、それ以上と言うかもしれないくらい、高く評価されているのが、

 

 「詰将棋作家

 

 としての一面。

 創作詰将棋の最高峰とも言われる「ベンハー」をはじめとして、「玉方実戦初形」「攻方実戦初形」を創ったり、その「芸術家」としての才能も、広く知られるところ。

 

 

     内藤詰将棋の代表作「ベン・ハー」。

     

 

 

 

 

  先後ともに実戦の初形型。こんなん創るなんて、気が狂ってます。

 

 

 当然ながら、解くこともお手の物で、そんな内藤が、詰みのある場面で、それをのがすはずがない。

 しかも、その手順が、まるで内藤の快挙を祝うかのごとく、それこそ詰将棋のようなカッコイイ手順。

 まず初手は△87角から入る。

 

 

 


 いきなり「おお!」と歓声が上がりそうな一撃だが、▲同金△89竜と捨てるのが、またシビれる手順。

 

 


 ▲同玉に△88銀と打って、▲同銀に△78銀

 

 

 ▲同玉に△88桂成、▲同玉、△79角から、自然に追っていけば詰む。

 内藤昇級。大記録達成。

 だれもがそれを疑わなかった、その瞬間、事件が起こった。

 内藤は詰ましに行かず、△57角と打ったのだ。

 これには▲76銀と取るのが、桂馬を補充し、▲23歩成、△同玉、▲34金以下の詰みを見た、なんと、

 

 「詰めろのがれの詰めろ飛車取り」

 

 というゴージャスな手になって、先手が一瞬で勝ちに。

 

 

 

 

 急転直下の大逆転に、控室は騒然

 おそらく、対戦相手の田中寅彦も、おどろいたことだろうが、以下いくばくもなく内藤が投了

 歴史的一夜になるはずが、すべてはとなった。

 信じられないことに、内藤は即詰みに、まったく気がつかなかったそうで、終局後に指摘され茫然自失

 感想戦は行われず、内藤は、

 


 「今は一人になりたい……」


 

 と言い、すぐに連盟内の宿泊施設にこもってしまった。

 残された田中寅彦は、棋譜を見つめながら、

 


 「申し訳ないねぇ」


 

 バツの悪そうに、一人つぶやいていたという。

 

 


(昇級のかかった大きすぎる「詰まし損ない」といえばこちら

(その他の将棋記事はこちらから)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネパール旅行戦記4 パシュパティナートとクマリの館で考えた

2025年03月22日 | 海外旅行

 ネパールに行ってきた。
 
 ということで、前回のスワヤンブナートに続いて簡単な現地の紹介レポート。
 
 


 ■パシュパティナート
 
 でかいシヴァ寺院で、死者の火葬が見られることでも有名。
 
 火葬と言えばインドヴァラナシが思いつくが、この寺院の前を流れるバグマティ川ガンジス河支流

 ということで、ここでもやはり遺灰を川に流すことがヒンドゥー教徒たちの願いでもある。

 

 

 


 

 

 

 カトマンズトリバブン国際空港から近いので、ザック背負ったまま歩いて行った。
 
 場所はむずかしくないし、「臭い」がするので(そんなに不快ではないので大丈夫)それに沿っていけばたどり着けるが、その途中に「入場料」を払うところがある。
 
 なにも知らないと1200ルピー出してしまうが、これはで、火葬だけならの対岸から見れるから無視していい。
 
 私はボーッとした人間なので、目の前で葬儀が行われてもなんとも感じなかったが、他の人に聞くと、気持ちが下がる人もいるようなので注意が必要。
 
 ただ、別にグロとかはないし、見学がゆるされている以上「失礼」とかも考えなくていいし、経験としては貴重だとも思うので、行ってみる価値はある。
 
 


 ■クマリの館
 
 カトマンズダルバール広場にある。
 
 クマリとは現地の生き神様で、厚く信仰されているが、現代の感覚では「幼児虐待」という一面もあるのではと議論になっている。
 
 そりゃまあ、子供のころから社会と隔絶されて10年くらい館住まいを強いられるのだ。
 
 一応、教育は受けられるし、友達とも遊んだりできるらしいけど、「基本的人権」に制限を受けていることは間違いない。
 
 まあ、このあたり「野蛮」と感じるのは「近代欧米」の発想が元になってるし、単純な結論を出すことはできないけど。
 
 山本弘さんのSF短編「地球から来た男」を読むと、このあたりやっぱ「うーん」と考えてしまうけど、どっちにしろ私にしても山本さんにしても「自我強」な人間には耐えられないでしょうなあ。
 

 

 

 
 クマリは撮影禁止なので、堀田あきお&かよさんのネパール旅マンガ『ネパールに行ってみた!-Asian deep waking』の表紙から。

 

 

 そのせいでもないだろうけど、私が見たときのクマリちゃんはとっても不機嫌な塩対応で、「だよね」と。

 それでも、しっかり「観光」する私になにも言う資格はないなーとか、パシュパティナートに続いて考えこんでしまったものなのです。

 


ポカラ観光編に続く)
 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クローバーフィールド/NAKABlSHA 先崎学vs南芳一 1991年 第40回NHK杯将棋トーナメント

2025年03月19日 | 将棋・名局

 中飛車というのは、明るい戦法である。

 ということで、前回は1991年の第40回NHK杯準決勝先崎学五段が、宿敵である羽生善治前竜王を中飛車で屠った将棋を紹介したが、続けて決勝戦の方も。

 最後に待ち受けるのは、「花の55年組南芳一棋王だが、先手になった先チャンは当然のごとく中飛車に振る。

 

 

 

 羽生戦と似たような形から、この局面。

 銀をくり出したからには、まずは▲54銀のドリブルを考えたいところだが、それには冷静に△56歩と止められていけない。

 足が止まると、△76銀成でいっぺんに押さえこまれそうだが、ここで先崎が、またパワフルなさばきを見せるのだ。

 

 

 

 

 ドーンと▲54飛と行くのが、なんともすごい突撃。

 なんだかヤケのヤンパチのようだが、これが指されてみると、振りほどくのがむずかしいのだ。

 南もビックリしただろうが、△同金しかなく、▲同銀△13角ののぞきに、▲64歩と打って、攻めがつながっている。

 

 

 大駒をぶった切ったあと、美濃の固さにまかせて、小駒でくっついていくというのは、振り飛車必勝パターンのひとつ。

 そこからも先崎は、どんどん攻め駒を倍々ゲームで増やしていき、気がつけばまで使えて、ハイ、それまでヨ。

 


 これには南も、

 


 「ずうっと攻められっぱなしで、全然面白くありませんでした」


 


 時のタイトルホルダーに、そうボヤかせるのだから、いかに先崎のパンチが重かったか、よくわかる。

 これで先崎は20歳NHK杯獲得。

 優勝カップにビールをそそいで飲んでいた写真は、今でもおぼえている。

 先チャンといえば、師匠の米長邦雄永世棋聖に、

 


 「勢いのある将棋を指せ」


 


 と教わったそうで、また稽古のときに(雨の日が多かったそうで、ゴルフが中止になるからだと先チャンは推測している)、を取られそうだから逃げたら、

 


 「バカ、銀が死ぬくらいでぐちゃぐちゃ言うんじゃない。そのくらいで何とかしろ」


 

 なんだか、メッチャ素敵なセリフで、この将棋こそ、まさにそんな内容。

 いつもこんな勝ち方できたら、さぞや楽しいだろうなあ。

 


(中飛車でうまく攻めをつなぐ将棋はこちら

(その他の将棋記事はこちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネパール旅行戦記3 スワヤンブナートの猿と「ゆるキャラ」なブッダアイ

2025年03月16日 | 海外旅行

 ネパールに行ってきた。
 
 ということで、前回に続いて簡単な現地の紹介レポート。
 
 


 ★観光名所
 
 今回はカトマンズの観光名所について。
 
 といっても、前回も言ったようカトマンズはさほど観光的うまみのある街ではない。
 
 カンボジアアンコールワットやら、エジプトピラミッド的な、
 
 
 「これを見に来たんや!」
 
 
 という施設にはとぼしい。
 
 一応、郊外にポタラとか古都みたいなところはあるけど、規模は小さいしカトマンズのダルバール広場と雰囲気は同じなので、無理していかなくていいかも。
 
 とそんなカトマンズの中でも「これは見といた方が」というのをいくつか紹介しておきたい。
 
 


 ★スワヤンブナート
 
 タメル地区から西に3キロほど離れたところにあるネパール最古の仏教寺院
 
 400段くらいある階段を登っていくので、なかなかハードだが、山岳国のネパールでは「どこ行ってもトレッキング」な面もあるので、そこはしょうがない。
 
 ここはが有名で、「モンキーテンプル」と呼ばれるほど、あちこちでウロウロしており、これがたいそう、かわいらしい。
 
 ここのウリはやはりストゥーパに描かれた「ブッダアイ」。
 
 ありがたいとか以前に、アジアにおける信仰の対象は、なぜにてこんなファニーになるのかという不思議。

 

 


 ハヌマーンとか寝釈迦とか。

 だろ、ブッダアイも。なんかのゆるキャラポケモンみたいだ。

 


 

 

 これなんかもそうで、カトマンズのダルバール広場にいるカーラバイラヴ

 破壊の神シヴァの化身で恐怖の神。

 なんでもこやつの前でウソをつくと即死するという伝説があって、なにかあるとここで裁判みたいなものが行われたのだそう。

 閻魔大王とかローマの「真実の口」みたいなもんだけど、それとくらべてやはりポップで楽しそうなのがアジアの味である。

 ちなみに、ネパールは仏教施設が有名だが、国民が信仰しているのはヒンドゥーが多数派。
 
 そこでネパール人に「どっち信じてんの?」と訊いてみると、
 
 


 Both(どっちもやね)」



 
 
 え? どっちもなん? と確認すると、その人は、
 
 


 Sometimes buddha,sometimes hindu(あるときは仏教で、あるときはヒンドゥーなんや)」



 
 
 そう言いながら、道端にあるみたいなものを見つけるたびに、をそえて祈っていた。
 
 本当にどっちも信仰しているのだが、クリスチャンやムスリムではなかなか考えられないところで、そのアバウトなところは実に私好みである。
 
 台湾にある龍山寺というところは、
 
 
 「台湾関係ないけど、なんかめでたいから関羽孔子を祭っている」
 
 
 その「なんでもあり」感で惚れさせられたが、それに次ぐ感動があった。
 
 また、ここではチベット仏教マニ車なる戦車のキャタピラを取り外したような車輪の並びが設置されている。
 
 それをでまわすと「お経を一回唱えた」のと同じ効果があるらしい。
 
 そのライトな感じが
 
 
 「とりあえず、南無阿弥陀仏って言うといたらええねん」
 
 
 という丸投げショートカット感あふれる日本の仏教とも通じるところもあり、私はすっかりネパール宗教のファンになったのだった。

 

 

 

 

パシュパティナートとクマリの館編に続く)
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目標をセンターに入れてスイッチ 先崎学vs羽生善治 1991年 第40回NHK杯将棋トーナメント

2025年03月13日 | 将棋・名局

 中飛車というのは、明るい戦法である。

 大砲を戦場の中心にそえ、5筋から戦っていくというのは発想に曇りがなく、なんとも「健全」な戦い方に見える。

 前回は子供のころ感動した「英ちゃん流中飛車」を紹介したが、今回は元気いっぱいな中飛車の将棋。

 


 

 1991年、第40期NHK杯戦の準決勝

 羽生善治前竜王と(当時は竜王や名人を失って無冠になると「竜王」「名人」と呼ぶマヌケな習慣があった)先崎学五段の一戦。

 両者とも、まだ20歳くらいというフレッシュな対決だが、それが決勝進出をかけた一番だというのだから、当時の2人がいかに勝ちまくっていたか、わかろうというもの。

 特に少年時代は両雄並び称されながらも、プロ入り後はタイトル獲得を先に果たされるなど、をつけられた先崎には期するものがあったろう。

 注目の一番となったが、その初手がまた話題を読んで▲56歩

 

 

 

 早くも、

 

 「中飛車で行きゃッス」

 

 という宣言であり、今では久保利明九段菅井竜也八段など振り飛車党の棋士なら普通に指すけど、このころはまだ、相当にめずらしい形。

 人によっては「スタンドプレイ」と取る向きもあったけど、視聴者やNHKスタッフは大盛り上がり。

 そういえば先チャンは、やはりNHK杯で谷川浩司名人相手に、

 

 「初手▲36歩

 

 を披露していたもの。

 

 

 

 ちなみに、この初手▲36歩は先チャンのオリジナルではなく、元女流棋士林葉直子さんが考案したもので、林葉さんは九州大学学生さんのアイデアからヒントを得たとか。

 戦法の出どころはむずかしくて「升田幸三賞」選考のときにも問題になりがちだけど、谷川戦の方はその後、こういう形の力戦に。

 

 

 

 結果は谷川勝ち

 この▲36歩渡辺明九段がやはりNHK杯の今度は決勝丸山忠久九段に披露して、全国放送で2度、話題になったものだった。

 
 
 

 

 話を戻して、先崎-羽生戦は出だしこそ派手だが、そこからはオーソドックスな中飛車になった。

 

 

 

 一目、▲45がつんのめってる感じで、ふつうは▲28玉から▲38銀美濃に囲いたいところだが、△35歩のような「銀ばさみ」の筋が気になる。

 といって、▲36銀みたいにかわす手は、あまりに勢いがなさ過ぎて、指す気になれない。

 なら、ロックされる前にあばれてしまえ、となるのはモノの道理であり、先崎は筋よく動いて行く。

 

 

 

 ▲75歩と突くのが、フットワークのよい仕掛け。

 将棋の攻めは、頭の丸いをねらうのが基本である。

 △同歩▲74歩でイタダキだから、△同銀と取るが、▲55飛と走るのが気持ちの良いさばき。

 △31角と金取りを受けるが、そこで▲75飛といきなりぶった切って、△同歩▲74歩

 

 

 

 流れるような手順で、先崎が手をつないでいく。

 △72飛と桂取りを受けるが、▲73歩成と取って、△同飛▲65桂できれいな両取りが決まった。

 

 

 

 先手が駒得うえに、攻め駒も目一杯使えて、実際の形勢はまだまだかもしれないが、選べるなら先手をもって指したい人が、多いのではあるまいか。

 以下、△74飛▲53桂成△同角に一回▲48銀と、自陣を整備するのが、戦いの呼吸

 △86歩の手筋に、▲65歩と突くのが、また元気いっぱいの手。

 

 

 

 

 △87歩成には▲55角と飛び出すのが、気持ち良すぎることこの上ない。

 なんかねえ、「中飛車って、こういう戦法やよなー」とうなずいてしまう、なんとも楽しい指し回しだ。

 そうして、先崎ペースでむかえた最終盤。

 

 

 

 が至近距離で、こういうところは「逆王手」みたいなカウンターに気をつけないといけないが先崎は見事に仕留めた。

 

 

 

 

 

 

 

 ▲43銀と打つのが、華麗な決め手。

 △同玉▲41飛成

 △同金▲21角が痛打になって寄り。

 本譜は△22玉とよろけるが、▲34桂と王手して、△同銀▲同銀成で先手玉が手厚くなり先崎勝勢

 以下、羽生も△44歩から必死のラッシュをかけるも、正確に対応して逃げ切って、先崎が決勝進出を果たした。

 


(続いて南芳一との決勝戦での中飛車はこちら

(中飛車の気持ちよすぎるさばきといえばこちら

(その他の将棋記事はこちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沢木耕太郎『深夜特急』と「野良犬の自由」 ネパール旅行戦記2

2025年03月10日 | 海外旅行

 ネパールの国である。
 
 というのは前回語ったことで、そこいらでゴロゴロして平和。

 特に肉屋とかの前にいる犬はエサが豊富なのだろうブクブク太ってさらに安気だが、たまーにだけどボロボロでやせた犬もいて、それがたぶん野良犬
 
 ということは、ふだん寝ているあの犬くんたちは「飼い犬」なのだろうか。よくわかんないけど。
 
 そういや沢木耕太郎さんの『深夜特急』で、貧相な野良犬を見てかわいそうと言うアメリカ老婦人が登場する。

 自分のペットは専用のホテルに預けているというのを聞いて沢木さんが、
 
 


 「そんなんだったら、ここで野良犬をやっている方が、どれだけ幸せかわからない」



 
 
 なんて心の中で思うシーンがあるんだけど、あれイヤだったなあ。
 
 沢木さん的には
 
 
 「ペットなんかより、野良犬にシンパシーを抱くオレ、ワイルドハードボイルド
 
 
 てことが言いたいんでしょうが、その野良犬もそう思ってるかなんて、わかんないやん。
 
 もしかしたら、
 
 
 「えーなーペットは。飼い主にされて、メシにも不自由せーへんし」

 「そりゃ、束縛もあるっちゃあるけど、飢え死にする潜在的なストレス恐怖より、そっちの方がええんちゃうかなあ」
 
 
 くらいに思ってるかもしれない。
 
 それをなんか「野良犬カッコイイ」とかいう、こう言っちゃなんだが自己陶酔的な価値観に寄せて、勝手に決めつけるってのがなー。
 
 私は『深夜特急』を最低50回は読み返して、他の作品もほぼ全部読んでる大の沢木ファンだから、あえて書いちゃいますが、めっちゃダッセーなーって感じちゃうんだよなー。
 
 野良幸せな犬もいれば、ペット幸せな犬もいるってことでねーの?

 野良だから「自由」で「幸せ」。

 飼われてるから「不自由」で「不幸」

 そんな類型的な考えこそ「不自由」のはじまりでは?

 少なくとも私が野良犬の立場なら、
 
 
 「たしかに自分は自由かもしれないッス。ペットホテル窮屈なんでしょう」

 「でも、そのどっちが幸せかは、アンタでなくてオレ自身に決めさせてもらっていいッスか?」
 
 
 きっとそう「ワイルドでハードボイルド」を気取りたくなると思うんスよ。
 
 沢木さん自身がもしの立場でも、同じように感じるんじゃないかなあ。

 そしてそれが、きっと本当に「自由」ってことだと思うのだ。
 
 

 
 
 
カトマンズ観光編に続く)
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山口英夫七段が考案「英ちゃん流中飛車」の感動

2025年03月07日 | 将棋・雑談

 中飛車というのは、明るい戦法である。

 大砲を戦場の中心にそえ、5筋から戦っていくというのは発想に曇りがなく、なんとも「健全」な戦い方に見える。

 というわけで前回はゴキゲン」や「矢倉流」「ツノ銀など中飛車について語ってみたが、中飛車で感動と言えばもうひとつあって、それがこの形。

 

 

 

 飛車が中央にいるのに、その5筋突いてないという違和感。

 

 「ま、先に突くのもで突くのも一緒か」

 

 なんておさまっている場合ではない。

 この駒組には見えない深謀遠慮があって、これまた子供のころは「へー」。

 

 

 

 たとえば、ふつうに5筋の歩を突く駒組して、こういう形になったとしよう。

 実はこれが、ここから玉を囲ってから戦いかという悠長な局面ではない。 

 ここから先手は、いきなり▲45歩と仕掛ける手が成立するのだ。

 △同歩▲33角成△同桂▲24歩

 いきなり飛車先を破られそうだが、ここで後手から△46角と打つのが、おぼえておきたいカウンター。

 

 

 

 飛車が逃げると、▲24を取られて失敗だが、ここから先手は▲23歩成(!)の強襲。

 △28角成▲33とを取って、後手はの処置に困っている。

 

 

 △32銀として差し違えるくらいしかないが、▲同と△同飛▲53桂からバリバリ攻めて先手優勢

 

 

 そこに、対抗策として出てきたのがコレ。

 

 

 飛車先不突で待機し、今度▲46歩なら堂々△72銀と締まる。

 かまわず▲45歩なら、△同歩▲33角成△同桂▲24歩△46角▲23歩成△28角成▲33とと同じように進んだとき、なんと△54銀(!)とかわせるのだ!

 

 

 これが5筋を突かない中飛車で、山口英夫七段が考案したことから「英ちゃん流中飛車」と呼ばれている。

 これまた、なにかの本で読んで「ひゃー」と加藤一二三先生のように奇声を上げたものだ。

 うまいこと、考えるもんやなー。

 私は序盤研究が苦手で、定跡本を読むとめまいがするタイプだ。
 
 そこを、こういうアイデアが思い浮かぶ頭がやわらかい人は、きっと「新手」「新戦法」とか創り出すのが楽しいんだろうなあと、なんとも、うらやましく感じるのだった。

 


(先崎学が中飛車で、羽生善治を吹っ飛ばした将棋はこちら

(その他の将棋記事はこちら

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カトマンズの犬は勘定に入れません ネパール旅行戦記1

2025年03月04日 | 海外旅行

 ネパールに行ってきた。
 
 四川航空トランジットホテルには困らされたが、そこはムダに経験値だけは高い私のこと。
 
 ピンチでも「ま、だいたい、なんとかなんねんけどな」という根拠のない自信と、
 
 
 「いざとなったら空港で寝ればええし」
 
 
 というパワープレイを保険にしてミッションをクリア。
 
 普通はこういうとき、現地からリアルタイムでレポートするとか、おいしいお店やユニークなお土産を紹介するとか。
 
 はたまた、美しいヒマラヤの映え写真をアップしたりするのだろうが、人生で「承認欲求」が「めんどくさい」を超えたことのない私が、そんなことをするわけがないのである。
 
 とは言え、せっかく久々に旅に出たのだから、ここでネタくらいにはしないとという貧乏根性もある。

 そこで、旅行記はめんどいから、軽いメモを忘備録がわりにザッと書いていきたい。
 
 
 「これからネパールを旅したい」
 
 「広い世界に飛び出して、新しい自分を発見したい」
 

 
 と思っている方にはプーみたいな内容なので、そういう方々は牛の糞でも踏んだと思って、あきらめていただきたい。

 


 ★カトマンズ
 
  
 ネパールの首都カトマンズは、かなりコンパクトな街。
 
 特に旅行者が集まるタメル地区ホテル飯屋旅行代理店ATMからコンビニにおみやげ屋その他諸々すべてがそろって、生活するだけならここだけで事足りる。
 
 その便利さと物価の安さ、ネパール人のおだやかな気質とあいまって、カトマンズは世界有数の「沈没」地で有名。
 
 「沈没」とは居心地がよすぎて、あるいは「」的なアヤシサあまねきのため、図らずもその地に長期滞在を余儀なくされること。
 
 昔はアフガニスタンカブールインドゴアと並んで「ヒッピー三大聖地」として知られたそうだが、私の世代だと他にもタイバンコクに、インドバラナシ

 エジプトカイロや、ケニアナイロビバリ島など枚挙にいとまがなく、かくいう私もヤングのころバイトしてコツコツと貯めた金で

 

 「ヨーロッパを1周するぞ!」

 

 と意気ごみながら、なぜかパリ1か月もダラダラ過ごしてしまったこともあった。

 ユースホステル(1泊1800円)に泊まって、毎日80円バゲットかじりながら、ひたすら街を歩いていただけだけど、なーんか妙に、居心地のいいところってあるんですよねえ。
 
 ただ、カトマンズはが邪魔でうるさいのと、側道が深くへこんでいるため、を取られて歩きにくいのがタマにキズ。
 
 街歩きが快適かどうかが、個人的なこだわりどころなので、そこが軽くストレスではある。
 
 なので、日中はタメルをはなれてインドラチョーク(カトマンズ有数の商業エリア)をひやかして、疲れたらダルバール広場でのんびりするというのが、黄金コース。

 


 
 ただネパールは物価と比較して、観光地の入場料などがかなり割高

 このダルバール広場も入るのに1000ルピー(約1200円)と、なかなかな額を提示され、

 

 

 

 

 

 

 などと戦慄したが、実は顔写真パスポートを持っていれば「いつでも入り放題」にしてくれるシステム。

 滞在期間に余裕があればモトは取れるわけで、毎日通ってお寺の木陰で昼寝でもするのがよい。
 
 ネパールはバリバリ観光するよりも、ボーっとしながらマイペースで楽しむのが合っている気がするのだ。
 
 あと、カトマンズはの街。昼日中からそこらじゅうで寝ている。
 
 最初は数えようと思ったけど、多すぎて30分ほどであきらめました。

 それくらい犬だらけなので、動物好きの人はどうぞ。

 ただし、ゴロゴロするだけのボンクラ犬ばかりですが。嗚呼、まったく他人とは思えなかったぞ。
 


 (続く

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ゴキゲン中飛車」とか「矢倉流中飛車」とか「ツノ銀中飛車」とか

2025年03月01日 | 将棋・雑談

 中飛車というのは、明るい戦法である。

 大砲を戦場の中心にそえ、5筋から戦っていくというのは発想に曇りがなく、なんとも「健全」な戦い方に見える。

 なんて思ってしまうのは、子供のころに読んだの影響かもしれない。

 はじめて買ってもらったのが、中原誠名人の『絵とき将棋入門』と原田泰夫九段の『将棋 初段への道』だから、たぶんどっちかに載ってたと思うんだけど、こういう局面。

 

 

 

 なんてことない序盤戦だが、子供時代のシャロン少年は次からの手順に度肝を抜かれたのである。

 

 

 

 

 

 

 ▲55歩△同歩▲同飛(!)。

 なんと、いきなり中央の交換したのである。

 中飛車をドーンと活用しながら王手にもなって、それこそ当時の私のような初心者には爽快この上ないが、同時に「待てーい!」ともなったもの。

 そう、この地点には後手のが利いていて、△55同角と取られてしまうのだ。

 かろうじて、駒の動かし方をおぼえただけのガキンチョには意味不明だったが、△55同角には▲同角と取り返す手が、飛車取り▲11角成が両ねらいで、すでに先手が優勢なのだ。

 

 

 これには「ほえー」と子供ながらに感嘆して、

 

 「中飛車って、ノリがええ戦法やなー」

 

 すっかり感動してしまったのだ。

 まあ、こんな感じで、ビギナーはだいたい中飛車が好きだと思うけど、これが時代によってイメージするがちがってたりする。

 今なら中飛車といえば、基本は「ゴキゲン中飛車」。

 

 

 

 先手番なら5筋位取りの中飛車にできるから、さらにいい感じ。

 

 

 

 この▲56銀型に組めれば、まだ序盤なのに「負ける気せんね」と言いたくなる達成感。

 角道を止める振り飛車が好きな人は、矢倉規広七段考案の「矢倉流中飛車」を指すかもしれない。

 

 

ノーマル中飛車から、足早に銀を繰り出して先手に▲66銀型を、強制させるのが「矢倉流」のねらい。
後手はここから△42飛と振り直して(最初から四間飛車にすると△64銀型が作れない)、△45歩からゆさぶり、穴熊を牽制していく。

 

 

 これは余談だが、この「矢倉流」と似た名前に「矢倉中飛車」という戦法もあってややこしい。

 

振り飛車ではなく矢倉急戦模様から飛車を中央に持ってくるのが「矢倉中飛車」。
「固さが正義」だった平成将棋界では、玉がうすいので「勝ちにくい」とされたが作戦としては有力。

 

 こうした進化系もあるが、昔の中飛車といえばこれはもう「ツノ銀中飛車」で、に上がる形をよく見た。

 

 

 

 金銀の配置が美しく、上部に手厚い形で急戦にも強い。

 よく、

 


 初心者の方には四間飛車がオススメ。駒組が簡単で、すぐにおぼえられますよ」


 

 なんてプロがすすめたりするけど、あれってホントかなあと思うこともある。

 そりゃ、飛車振って美濃に囲うだけなら簡単だけど、棒銀とかで来られたときに対応するのって、結構初心者にはハードルが高い気がするのだ。

 たとえば、▲35歩△同歩と取らないところとか、手順としてはマニアックだし、△45歩のタイミングとか、「さばく」とか、ムズくね?

 実際、私の経験でも級位者の振り飛車は急戦で行けば、簡単に勝てたりしたものだ。

 その点、ツノ銀中飛車は▲78が頼もしくて、なかなかつぶれないところがポイントで、むしろ初心者はこっちではないかと。

 ただ、これが個人的には、このツノ銀中飛車には、あまり良い思い出がない。

 というのも、木村美濃がうすすぎて、互角のさばき合いになると舟囲いにすら固さで負けてしまうから。

 私は飛車を振ったら、テキトーにさばかれて(さばくとか、さばき合うではない)、あとは美濃囲いの耐久力にモノを言わせて、ねばりまくって逆転という戦い方だったので、ペラペラの陣形はつらいのだ。

 昭和のころですら居飛車穴熊相手に、あまりに勝ちにくいということで、大山康晴十五世名人大内延介九段森雞二九段あたりがたまに指す程度の「消えた戦法」になっていた。

 中飛車の復活は、その後の「ゴキゲン中飛車」の大ブレイクや、なにげに優秀な「矢倉流中飛車」登場まで待たなければいけないのだから、プロの世界はシビアである。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稲垣美晴『フィンランド語は猫の言葉』で目指せ激芬家!

2025年02月26日 | 外国語

 前回の続き。
 
 私がフィンランド語という言語に、ある種のあこがれを感じているのは一冊ののせい。
 
 それが『フィンランド語は猫の言葉』。
 
 著者の稲垣美晴さんは本の中にもあるが、東京藝大在学中にフィンランドの画家であるアクセリガッレンカッレラの研究のためヘルシンキ大学に留学。
 
 その後は東海大学で北欧文学を教えたり、フィンランドの絵本などを翻訳など精力的に活動された人で、この『猫の言葉』はヘルシンキ大学時代の留学記にあたる。
 
 これがねえ、たぶん大学生くらいのときに読んだんだけど、ハマったのなんの。
 
 具体的な内容は以前に紹介したけど、もうこれはですねえ、やはりこの書を愛読していたという、ロシア語黒田龍之助先生による一言に尽きます。
 
 『世界の言語入門』という本の一節。
 
 


 高校を卒業して進路を決める頃、できることならフィンランド語の専門家になりたいと夢想していた。



 
 
 そうなのよ、この本を読むとみんなそう思うんだ。
 
 黒田先生はこうも書かれている。
 
 


 多くの人が目指さない国に留学して、一生懸命に言語を勉強する。その姿に強い憧れを持った。



 
 
 私が今でも自分のことを「チーム第二外国語」の一員だと自認しているのは、どうもこの『猫』のせいらしい。

 「激芬家」(「激しくフィンランドのことをする人」という意味)というパワーワードが心にヒットしたんですよ。
 
 もっとも、当時はフィンランド語などやろうにも、参考書もなければ辞書もなかった
 
 大学書林の『フィンランド語四週間』くらいで、しかも値段が4500円(!)。
 
 辞書なんてなくて、そういうときは「フィン辞典」を使うとかが定跡なんだけど、自分の英語力で使えるとは思えないし、そもそもどこで売ってるの?
 
 京都丸善とかにあったのかもしれないけど、探す気も起きないし、絶対にバカ高いに決まってるんや!
 
 ちなみに、今調べてみると白水社の『パスポート初級フィンランド語辞典』が定価4,950円(税込)。
 
 日本フィンランド協会の『日本語フィンランド語辞典』が27,500円(税込)
 
 大学書林の『日本語フィンランド語辞典』が定価34,000円(+税)。
 
 どれも高くて、おやつに食べていた、かっぱえびせん噴くわ!
 
 日本フィンランド協会のは1800ページもあるから、かなりオトク感はありそうだけど……。
 
 昔は第二外国語と言えば「経済的に無理」なケースも多かったなあ。 
 
 今はネットで調べればあれこれ出てくるし、各種アプリも充実。
 
 まさに「時は来た」という感じだが、あいさつに簡単な単語など学んだあと、どーんと現れたのがコイツだった。

 

 

 

 

 「talo(家)」という単純な単語が、こんなにも変化する。

 それどころか、こんなのもあったり。

 


 
 
 

 

 ちなみにこれ、「ライコネン」さんという人名の活用表。

 よく、ロシア語が人の名前変化すると言って恐れられているが(「ラスコーリニコフ」「ラスコーリニコワ」みたいな)、どんだけ変化すんねん!

 てことは、どーせ他にも名詞動詞形容詞数詞も、なんでもかんでも変化するに決まってるんや!

 トランスフォーマーか! フィンランド語の活用表。えげつなすぎる。致死量や。
 
 はあ(ため息)。なるほど、みはるちゃんも本の中で「フィンランド語むっず!」ってボヤくはずや。
 
 まあ、こういうのは千里の道も一歩から。

 ここに発動された「ウコンネミ作戦」により今日も今日とて、
 
 
 「ミナ・オレン、シナ・オレット、ハン・オン……」
 
 
 嗚呼、「激芬家」への道、果てしなく遠し。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「激しくフィンランドのことをやる人」に憧れた日々

2025年02月25日 | 外国語

 フィンランド語を、ついに初めてみることになった。
 
 このところ私は、
 
 
 「世界のあらゆる語学をちょっとだけやる」
 
 
 ということにハマっている。
 
 ここまでフランス語ドイツ語(学生時代の復習)、スペイン語ポルトガル語
 
 アラビア語挫折したが、トルコ語イタリア語もクリアし、オランダ語も少しかじった。
 
 そして、ついには「ハイエンシェント」ことラテン語もやってと、チョコザップならぬ「チョコ語学」である。
 
 まあ学ぶと言っても、せいぜいが1か月か2か月ほどで、身に付くのも「中1レベルの文法と単語」くらいなものだが、こんなもんでも、
 
 


 Çoğu kertenkele adam solaktır.
 (リザードマンの多くは左利きです)
 
 Primogenitus larva gummi indutus apparuit.
 (長男はゴムのマスクをかぶって登場しました)

 Japanse soldaten zijn de sterkste ter wereld omdat ze misosoep drinken.
 (日本の兵隊さんが世界一強いのは、みそ汁を飲んでいるからです)


 
 
 くらいなら理解できるのだから、なかなかのものではないか。
 
 「飽きたらやめる」がルールなので、ラテン語からそろそろに移行しようと、ここでついに「あの言語」に手を出すときが来たようだ。
 
 それが、フィンランド語
 
 というと、フィンランド語はいいとして、なぜにて「ついに」などという大げさな副詞がつくのかと問うならば、これがいくつか理由がある。
 
 それはまず、フィンランド語が「インドヨーロッパ語族」ではないということ。
 
 われわれにとって、まずなじみのある外国語と言えば、これはもう英語なのである。
 
 続けて、大学に行った方ならフランス語ドイツ語といった第二外国語に苦しめられた記憶もあろうが、実はこれらは違う言語のように見えて元は同じ
 
 古くはインドサンスクリット語から、ペルシャ語とかラテン語とかロシア語とか。
 
 そういった諸々の一見関係なさそうな言語は、これすべて「インド・ヨーロッパ語族」という「大家族」に分類されるのだ。
 
 といっても、年月や地理的な分断で、流れ流れて全然別物にはなっているけど、語順とか、なんとなく似た単語が多かったり。
 
 変遷の仕方をたどっていくと共通するものがあったりと、細くともつながりがある。
 
 なので、それが多少は学習の助けになったりするのだが、これがドーンとフィンランド語は「ウラル語族フィンウゴル語派」。
 
 全然違ってて、それこそ北欧と言えばノルウェースウェーデンデンマークフィンランドと並ぶが、最後だけ他の3つとくらべて相当に異質
 
 


 ありがとう
 
 
 ノルウェー語「takk」
 
 スウェーデン語「tack」
 
 デンマーク語「tak」
 
 フィンランド語「kitos


 「
 
 
 ノルウェー語「hund」
 
 スウェーデン語「hund」
 
 デンマーク語「hund」
 
 フィンランド語「koira

 


 「
 
 
  ノルウェー語「bok」
 
 スウェーデン語「bok」
 
 デンマーク語「bog」
 
 フィンランド語「kirja



 
 
 全然ちがうやん!

 てゆうか、他の3つが似すぎというか、ほとんど三つ子なんだけど、それにしたって「四段オチ」かと疑いたくなるくらい変わってる。
 
 しかも、フィンランドではスウェーデン語公用語なのに、まったくちがう。どうなってんの?
 
 これにですねえ、私はちょっとビビってしまっていたのだ。
 
 というのも、イタリア語の前にトルコ語をやろうとしたのだけど、これに大苦戦したせい。
 
 言語というのはドイツ語オランダ語とか、スペイン語ポルトガル語のように、言語的だったり地理的だったりが「近い」と学習しやすい。
 
 それは日本人にとって、読むだけなら中国語がそんなに怖くないのとくらべて、欧米人アラビア人には漢字悪夢になるのと同じ。
 
 英語やドイツ語の知識や、経験をまるで生かせないフィンランド語やトルコ語に、いつの間にか苦手意識のようなものが宿ってしまっていたのだ。
 
 しかしだ、そんな困難を乗り越えるほどに、私は、いやおそらくは同世代から少し前くらいの「第二外国語」学習者はフィンランド語というものに、あこがれのようなものを抱いている。
 
 それは、ある一冊のの存在。
 
 タイトルは『フィンランド語は猫の言葉』。


 
 (続く

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする