杉田祐一 バルセロナでベスト8、アンタルヤ優勝、ついに松岡修造を超える!

2017年07月07日 | テニス
 杉田祐一が、ついにやってくれた。

 錦織圭がやや精彩を欠き、西岡良仁がケガによるまさかの長期離脱、添田豪や伊藤竜馬らも一時期のランキングを維持できていないなど、ちょっとばかし勢いを失っている感の今シーズン日本男子だったが、ここに伏兵といっては失礼だが、この男が大きな風穴を開けてくれた。

 クレーシーズンから好調を維持し、バルセロナではリシャール・ガスケやパブロ・カレーニョ・ブスタら強敵をしりぞけてのベスト8。

 これだけでもたいしたものなのに、なんと芝のシーズンに入って、アンタルヤ・オープンではダビド・フェレール、マルコス・バグダティスというグランドスラム大会ファイナリストをぶち抜いて、ツアー初優勝。

 松岡修造、錦織圭に続いて、日本人で3人目のATPツアー大会優勝。しかも、プレーの難しい芝のコートでの勝利ということで、二重に快挙ともいえる。

 おまけに、日本人選手にとって一つの大きな目標であった、「46位の松岡修造」越えというビッグボーナスまでついてきた。

 日本テニス界に、どでかい花火を打ち上げた。錦織効果でみなマヒしているが、これはとんでもない離れ業なのだ。いや、マジで。

 スゲー! 祐一やったぜ! もう抱いて!

 これには快哉をあげると同時に、彼にあやまらなければならないなとも思う。

 というのも、私は正直、杉田がここまでのことをやってのけるとは想像してなかったからだ。

 なんて言うと、「ちょ、マジ祐一のことディスってんスか?」なんて怒られてしまいそうだが、もちろんそんなことはない。

 いやむしろ、実力的には、いつこうやって世界を驚かすことをやってくれてもおかしくない男だ、ということも知っていたつもりだ。

 しかしだ、日本男子を応援しているファンなら、多少は理解してくれるのではないか。

 ここまで、実に長かったのだから。

 杉田はデビュー以来、デビスカップ代表入り、日本リーグでの活躍、全日本選手権V2などなど、国内での話題には事欠かなかったが、世界ランキングの面ではなかなか100位の壁を破れなかった。

 チャレンジャーで結果を出し、ツアーでもときおり予選を突破するも、大爆発がなかった。

 その間、錦織圭は別格としても、ライバルとなる添田豪、伊藤竜馬がトップ100入りし、ロンドンオリンピックにもエントリー。

 西岡良仁、ダニエル太郎らの台頭により、下からの突き上げもあり、でも自分は黙々と下部ツアーや予選で戦うことを余儀なくされる。かなり苦しい時期もあったろう。

 正直このあたりかもしれない、「杉田、ちょっときびしいかな」と思いはじめたのは。

 仲間が次々、華やかな舞台にデビューする中、自分だけが一人ドサまわり。これは、精神的にもかなりキツイはずだ。

 だが、彼はくじけなかった。私のような見る目のない阿呆の予想などものともせず、コツコツと結果を出し始める。

 まず、2014年のウィンブルドンで、なんと18回目のグランドスラム予選挑戦を実らせ、初の本戦切符を手にする。

 強敵フェリシアーノ・ロペスに1回戦で敗れたが、3セットともタイブレークの熱戦。内容も、シード選手に勝るともおとらないものだった。

 そこからも、地道に勝利を重ねポイントをため、2016年には、とうとう念願のトップ100入り。

 テニス選手は、100位の壁を越えればとりあえず一人前だ。全豪、ハレ、夏のUSシリーズなどで活躍し、トップ選手ともいいテニスを展開。徐々にツアーの常連になっていく。

 そして、今年の大爆発につながるわけだ。バルセロナでは、予選決勝で敗れながらも、

 「錦織圭欠場によるラッキールーザー」

 という、なんとも複雑な幸運を手にしたが、それがあの快進撃につながったのだから、まったく世の中はわからない。

 ちなみに、芝のハレでもやはりラッキールーザーで本戦入りし、なんとロジャー・フェデラーと戦うことに。今の杉田はまさに「持っている」状態かもしれない。

 もちろん、運だけで頭抜けられるほどテニスの世界は甘くない。「天才」ガスケに、クレーの実力者カレーニョ・ブスタを破るなど、ラッキーで片づけられるものではない。

 真の力があったからこその勝利なのは、言うまでもなかろう。ウィンブルドンではアドリアン・マナリノにアンタルヤ決勝の借りを返されたが、フルセットまでもつれこむ激戦だった。

 次への期待を持つには、充分すぎる前半戦だ。

 よかったよー、間に合ったよー、このまま力を発揮できないまま終わっちゃったら、どうしようかと思ったよー。

 遅いよ! 長かったよ! もう! もう!

 私の勝手な意見はいいとして、ともかくも、杉田祐一はやってくれた。

 もちろん彼は、こんなところで満足はしていまい。夏のハードコートシーズンでは、さらなる飛躍を期待したい。
 
 そうして、スーパージュニアテニス優勝から注目していた我々大阪のファンが、

 「まあな、あの杉田もがんばっとるけど、オレが育てたようなもんや」

 とフカせられるよう、もう2発も3発も、どデカイことをなしとげてほしいものだ。





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