前回(→こちら)に続いて、安藤健二『封印されたミッキーマウス―美少女ゲームから核兵器まで抹殺された12のエピソード』
本書のメインディッシュといえば、前回も紹介した、
「滋賀県の小学校が、卒業制作としてプールの底にミッキーマウスの絵を描いたら、ディズニーからクレームが来て、むりやり消去された」
という都市伝説めいた事件だが、クリーンなイメージと裏腹に、宮崎駿監督いうところの「米帝ディズニー」には、この手のアヤシゲな噂がよく似合う。
そこで前回は、
「セレブを集めて、ディズニーランドの地下で開かれている秘密のパーティー」
という謎を、信頼できる筋からの情報で、見事白日の下にさらすことができたわけだが、この種の話で、もうひとつ有名なのがコレ。
「ディズニーランド LSD説」
ディズニーランドが、なぜあんなにも楽しいのか。
それは、LSDの魔力にかかっているからなのである!
ディズニーアニメが、あんなにもハッピーでアゲアゲなのは、アニメーターがLSDをガンガンにキメているせい。
その麻薬のトリップ感をスクリーンで表現すべく、みなが筆を振るっているわけだから、観客がトリコになるのは当たり前なのだ。
シンデレラ城も、イッツ・ア・スモールワールドも、カリブの海賊も、これ全部ラブでピースでイリュージョンな、アヤシイお薬の作用。
これは歌手で作家の大槻ケンヂさんが提唱していた説で、
その証拠に、ミュージシャンが東京ディズニーランドに行くと、みんな
《あれ、これって「アレ」じゃん!》
ってものすごくうれしそうな顔するんだよ。だって、LSDキメた感覚と同じだから。合法ドラッグなんだよ!
なるほど、オランダの首都アムステルダムはマリファナと売春が合法なところから、
「大人のディズニーランド」
と呼ばれてるが、大人もなにも、ディズニーランド自体が、元々ルーシ・イン・ザ・スカイだったわけである。ホンマかいな。
余談であるが、オーケンもまた自らのエッセイで、私が前回紹介した
「竹内義和氏から聞いた、岸部シローの談話」
についてふれていた(どうやら、一部ではけっこうメジャーなエピソードらしい)。
そこでは「ボク、行ったもん」に続く、新たなシロー情報が公開されており、その内容はどのようなものかといえば、
「ディズニーの地下では、料理で肉と魚が選べた」
なんだそれはという話だが、まあ料理が多彩なのはいいことではある。
肉と魚。機内食か。この情報のすっとんきょうさもまた、怪しげな都市伝説の味といえるであろう。
それにしてもシローは、数あるディズニーのミステリーの中から、なぜあえてこの話を選んで披露したのか。
パーティーの規模とか参加したメンバーとか、もっとほかに語るべきことはなかったのか、謎は深まるばかりである。