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人事マネジメント研究所「進創アシスト」からの情報発信

烙印を押されたベテラン社員が与えた職場への刺激~人事コンサルタント鷹取が贈る人事マネジメントの視点

2019-08-16 00:00:39 | 人事マネジメントの視点
烙印を押されたベテラン社員
一人のベテラン社員が、会社の重役から烙印を押されていた。過去に大きな失敗があったようだ。彼は、その後何をやってもダメ評価。「○○社員は、あの時失敗をしたから…」と枕詞のようにいつも言われていた。それも10年以上前のことであるのに。
確かに、彼は失敗をした。これは事実で変わらない。しかし、その後の仕事に失敗の影響はないにも関わらず、失敗を持ちだされる。人事評価でいうエラー、マイナスのハロー効果だ。
その所為であろうベテラン社員は「どうせ私は…」が口癖になり、常に消極的な姿勢であった。

ベテラン社員の「パソコン勉強したいなぁ」
彼がいる部署に年下の私が上司として異動になり、その直後に、新システムを大規模に導入することになった。単なる導入だけではなく、部署として開発にも携わるプロジェクトに参画することになった。
導入するシステムを使うには、当然全員がパソコンの入力作業が出来なければならない。
しかし、ベテラン社員はそれまで超アナログ人間で、パソコンは使ったことがない。私は彼がどうするのか静観していたところ、ポツリと「パソコン勉強したいなぁ」とつぶやいた。職場で二人きりのときだ。

その一言を聞いて、パソコン初心者勉強会を私が講師となって職場で開くことにした。電源の入れ方・終了の仕方、文字入力方法といった基本のキである。計7,8回だったと記憶しているが、彼は欠席することなく、毎回熱心に参加した。
勉強会で使うパソコンは社内のものをかき集めたが、ベテラン社員は大きくて重いノートパソコンを毎回持ち込んで勉強をした。家電量販店で購入したらしいが、店員の説明がチンプンカンプンで買うのも苦労したと言っていた。目に浮かぶようだ。
彼に触発された他の社員が、「私も私も!」と勉強会を重ねるごとに参加者が増え、私が出す宿題も全員きちんと取り組んだ。
途中経過は省くが、新システムはこれまで経験したことのないレベルの高い複雑なものだったが、トラブル一つなく稼働できた。

経験・技能が違っていても同じ方向を向く、その努力が大事
烙印を押されモチベーション低いベテラン社員だったが、今回職場に非常に大きな良い刺激を与えてくれた。彼がやったことは、部外者からみれば小さいことだが、「私は、開発は出来ないが、皆についていきたい。新システムの導入を成功させたい」という努力する姿勢が素晴らしかった。

最近、働き方改革で効率よく仕事を進めていくにはチームパフォーマンスが大事だと言われる。チームを構成するメンバーは、人によって経験・技能・知識・考え方・価値観は違うし、タイミングやスピード感も一緒ではない。その中で、チームパフォーマンスを上げるには、メンバー全員が【同じ方向】に向いて努力していることが大事ではないだろうか。ベテラン社員からそのことを教えてもらった。

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