メンタルヘルス不調を本人が不調を認めていない場合
前回、メンタルヘルス不調者等からの相談を逃してはいけないと解説しましたが、職場の上司・同僚等が問題性を感じているにもかかわらず、本人が不調を認めていない場合は、対応を慎重にしなければなりません。まず、問題性ですが、職場管理上としての問題行動が客観的に認められるか否かということになります。職場で具体的に問題が認められないにもかかわらず、メンタルヘルス不調を指摘したり、受診を指示することはできません。
職場での問題性が確認されたが、本人が受診への勧めを拒否する場合は、家族に事情を説明し、家族の理解を得て専門医の受診や治療につなげるようにすることが基本です。
家族からも協力が得られない場合
しかし、家族が近くにいなかったり、家族も受診に同意しないなど協力が得られないこともあります。その場合は上司が一人で悩んだり、抱え込んだりせず、会社の人事労務担当者や事業場内産業保健スタッフ、産業医などを交えて検討し、対応することが大事です。
本人との関係性が強い社内のキーパーソンに働きかけてみるのもよいでしょう。ただし、その場合、メンタルヘルス不調と決めつけて話をするのではなく、「職場や仕事の仕方で何か変わったことがないか?」というところから問題性を共有し、受診につなげられるようにし、キーパーソンを無理やりに説き伏せて、本人に働きかけさせるようなことはしてはいけません。