みう と 青

みうと青の共同ブログ。
知ってる人には言えないけど、知らない誰かの通り過ぎる場所で呟きたい独り言があるのです。

沈黙 〜サイレンス〜

2017年02月06日 17時46分18秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
こんばんにゃ。
沈黙 〜サイレンス〜
見てきた。

小説を読んだのが、約20年前だったので、理解力が全然足りてなかったらしく、当時はとにかく「キリシタンを弾圧する日本のお上は酷い!」ってことばっか感じてた。
けど、今回の映画を見て、色々な事への印象が変わった。

やり口は本当に最悪だけど、日本の言い分もそれなりには理解はできる。
「キリスト教そのものが悪だとは思わないんだけど、国をまとめていく上ではちょっと邪魔なのよね〜。
だって、キリスト教の布教を足がかりにして、ヨーロッパの国々が日本の覇権争いとか始めちゃうんでしょ?
そういうのは困るんだわ。
本気で信仰を捨てろとか言わないから、形だけでもいいから棄教、お願いできないかな?」
全部が本心とも限らないけど、そっちの立場じゃそういう考えにもなるかもね。と、ある程度の理解は示せる感じ。

それに対して、パードレがすごく図々しく見えることがある。
「キリスト教は真理だ!真理はいついかなる時も絶対正しい!」
って、おいおい(^_^;)

キリスト教は布教に熱心な宗教ってイメージがある。
「積極的に布教すべし」って教えが(後付けかもだけど)あるようなので、まあ仕方ないのかも?
でも、
「素敵な教えをありがとう」
となるか
「押し売りやめてー!」
となるかは紙一重。
で、やめて派の人達を勝手に憐れんだりしてくるし。
これって、ちょっとウザい。


パードレはさておき、密かに静かに信仰を続けている村のキリシタン達の美しさは妙に染みた。
清潔感皆無で、文化的な雰囲気からは程遠いんだけど、それだけに朴訥で、純で、一途で、静かで、悲しいような美しさがある。
綺麗な着物を着て、巧みに英語を操るお上より、ずっと上品に見えた。

映画を見ていて
「信仰は勝ち負けじゃないし、見せつけるものでもない」
と強く思ったし
「信仰は心の問題」
「人の心に干渉してはならない」
というセリフはしみじみ染みた。

映画の前半は「ひっどいことするなぁ」という感じで、この時代のこの場所でキリスト教を信仰・布教することが、いかに危険で恐ろしいことかを、ビジュアルで見せつけてくる。
が、後半は割とロジカルな展開。
(拷問は相変わらずネチネチと最悪だけど)
ゆえに左脳活動活発で、エモーショナルな展開ではない。はず?

なのに、音楽は一切なく、虫の声、波の音、風の音だけっていうエンドロール見てたら、てか聞いてたら、ぶわーーって目から目水、鼻から鼻水が溢れてきた。
その時ですら左脳活動活発で、頭は色々考えてる。
なのに、体は勝手に反応してる感じ。
なかなかの映画体験。


それにしてもキチジローのキリスト感がハンパない。
窪塚くんって聞いた時から予想してたけど、ほんとビジュアルからハマってる。

開始早々の「あいつはいつもいない」っていう言われようにも「神かよ」と突っ込みたくなる始末。


こういう映画は見る人の背負ってる物によって感想はけっこう変わるのかな?
個人的には何気に普遍的なテーマな気もしたけど。
色んな環境の人たちの感想、聞いてみたいんだにゃあ。