みう と 青

みうと青の共同ブログ。
知ってる人には言えないけど、知らない誰かの通り過ぎる場所で呟きたい独り言があるのです。

海は燃えている

2017年03月09日 00時29分20秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
船が浮いて見える!って事で有名な、イタリアのランペドゥーザ島。

イタリア領最南端の島で、要するにアフリカにめっちゃ近いヨーロッパ。
年間に島民の10倍の難民が流れ着く島。

その島を舞台にしたドキュメンタリー映画「海は燃えている」
見てきた!

カメラは、島民の静かな日常と、難民の厳しい非日常を交互に映し出すけど、この2つの世界が最後まで交わらないのがすごい。

印象的だったのは、
島のお医者さんの
「悲惨さに慣れることはない」
「世界みんなで救うべき人たちだ」
って言葉。

それから難民が歌ってるシーンでの
「アフリカ人だから助けてもらえない」
って言葉には、トリコロールにばかり染められていった時のやるせなさを思い出してしまった。

島民(漁師)も難民も「生きるために海に出る」わけだけど、言葉にすると同じなのに、その意味合いのギャップが重い。

象徴的だなと思ったのは、島民の少年の弱視。

右目はちゃんと見えていて、大好きなパチンコ遊びでもよく使ってる。
ところが左目はすごい弱視。
けど、使わないから見えなくなっていることにも気づいてない。

その左目は、意識して使うことで、脳に刺激が与えられて視力が回復するとの事で、映画の中の少年は、左目でも物を見る練習を始め、ジワジワと視力が回復してくる。

こんな象徴的な出来事が起こるもんだろうかと思うと、ドキュメンタリーと言いつつ、実は台本でもあるのではないか?とついつい勘ぐってみたり。
(ノンフィクションってのとも違うのかな?)

難民の過酷さや、上陸させる側の手続きなども見られて勉強になった。

この映画を見にきた人たちの中には、そういう部分を主に期待してきた人もたくさんいると思う。
「島民パート、長くない?(いらなくない?)」的な。

でも、もし、この映画が難民パートばかりだったとしたら、
「今世界で起きていることを知りたい」という問題意識の陰にある「悲惨なものを見てみたい」というような(悪趣味だけど多くの人が少しは持っている)好奇心を満たして、泣いたりして、そんな優しい自分に酔って、それでおしまいだったかも。

それだけで終わらずに、こちら側に「当事者意識」を自覚させるのは、島民パートがあるからこそかなと。

寝てる人もいたし、数年前の自分ならウトウトしてたかもだけど、この対比が、この映画を特別なドキュメンタリーにしているんだと思う。

興味のある人には、フラットなテンションで見に行って欲しいなと思う映画でした。

http://www.bitters.co.jp/umi/