読書日和

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「あなたの呼吸が止まるまで」島本理生

2007-09-06 21:50:15 | 小説
「あなたの呼吸が止まるまで」(著:島本理生)

-----内容-----
舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。
夢は、作家になること。
一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。
そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。

-----感想-----
本屋をふらついていたら島本理生さんの最新本が出ているのを発見
「これは買わなくては」と思い早速買いました。
タイトルが何やら不穏な感じなのが気になりました

読んでみてまず印象に残ったのは、文章がデスマス調になっていること。
今まで読んだ島本理生さんの小説で、デスマス調が使われたことはありませんでした。
主人公・野宮朔がまだ12歳の少女なのでデスマス調にしたのかなと思います。
これが物語を落ち着いた雰囲気にしていて良いと思います。

野宮朔の父親の職業は”舞踏家”
舞踏家という言葉は聞いたことがありますが、どんなことをするのかは今まで知りませんでした。
舞台俳優とかと比べるとだいぶ収入が少なく、舞踏だけでは生活できないようです。
母親は離婚していて、野宮朔と父親二人だけの家族。
島本さんの小説では、両親が離婚している場合が多いような気がします。
何かこだわりがあるのかも知れませんね。

この小説、扱っているのはリトル・バイ・リトルと同じく「平凡な日常」なのですが、全体的に緊張感みたいなものがありました。
そこがリトル・バイ・リトルと違うところだと思います。
「あなたの呼吸が止まるまで」では小学校での友達関係も描かれていました。
その生々しさに島本さんのすごさを感じました。
私の小学校、中学校時代の学級の雰囲気もこんな感じだったなと思います。
騒ぐ子、静かな子、いじめる子、それを許さない子、要領の良い子、ホントにいろんな子がいると思います。

内容に「一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力」とあるように、野宮朔はある人物にひどい目に遭わされてしまいます。
その後、その人物への復讐のかたちとしてとった方法は……ネタばれになるので伏せておきます(笑)
たぶんこの復讐がタイトルの由来になっているのだと思います。


今回の島本さんは今までとはだいぶ違う作品を書いたなあと思います。
作家として着々とステップアップしてますね
とはいえ、ナラタージュに代表されるように島本さんの最も得意な分野はやっぱり恋愛小説のような気がします
ナラタージュを読んで切なくなったのを思い出しますね。。。
どのような小説を書くにしろ、島本さんは常に真摯な方なので、私も見習おうと思います。
それではまた。

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