読書日和

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「真綿荘の住人たち」島本理生

2010-02-27 21:30:27 | 小説


今回ご紹介するのは「真綿荘の住人たち」(著:島本理生)です。

-----内容-----
大学進学のため、北海道から上京した大和君。
彼を待ち受けていたのは奇妙な下宿の住人たちだった。
クールな椿、気だての良いぽっちゃり女子の鯨ちゃん、恋愛小説家でもある大家の綿貫さん。
そして、彼女の内縁の夫で画家の晴雨(せう)さん……。
いびつで切ない、下宿物語。

-----感想-----
久しぶりに島本理生さんの作品を読みました。
帯に「三浦しをん氏絶賛」とあり、それも気になってこの本を手に取りました。

真綿荘という、木造二階建てのレトロなアパートを舞台に物語は進んでいきます。
構成としては誰か1人がずっと語るのではなく、各話ごとに語り手が変わっていきます。
真綿荘の住人は上京してきた大和君を入れて全部で5人で、この5人にはそれぞれ悩みがあったり、恋模様があったりします。
それらが物語が進むにつれて一つ一つ明らかになっていきます。

島本理生さんはやはり人の心の揺れ動きを書くのが上手いなと思います。
ここ何ヶ月かで読んだ小説の中でも郡を抜いていました
また、読者にその人物が何を思っているのか考えさせる描写があるのも特徴です。
例えば、
”私はちょっとだけ笑って、ちょっとだけ泣きそうになった”という文章があります。
このとき私は、なぜこの人物が泣きそうになったのか気になりました。
そこでこの文章をもう一度最初から読み返してみました。
すると分かるような分からないような微妙な感じではありますが、何かしら見えてくるものはあります。
たぶん島本理生さんは意図的に文章に明確な意味を持たせないようにしているのだと思います。
この辺りは他の作品でもよく見られ、恋愛小説らしい書き方だなと思います

他には”夏が終わったばかりの風のような笑顔に、変に心が動きそうになるのを、大和君は無意識のうちに止めた”というのがあります。
これは「無意識のうちに止めた」が重要で、大和君はこの女性の笑顔に惹かれそうになりながらも、無意識の中ではある程度距離を取ろうとしているということです。
つまりこの二人が恋人になることはないのだろうなということが伝わってきました。

もう一つ例を挙げると、今度は大家の綿貫さんの心境が分かる文章で、以下のものがありあました。
”なぜ綿貫さんが彼をあんなふうに紹介したのか、少し後になってから察した。私が、彼女とはほとんど年の差のない女だったからだ。”
綿貫さんが晴雨さんを「内縁の夫」として椿さんに紹介する場面があったのですが、このとき綿貫さんは、椿さんを同じ女性として意識していたようです。
椿さんに晴雨さんを取られることを心配し、先手を打って内縁の夫として紹介し、防衛線を張ったようなのですが、この考え方はなかなか嫉妬深いです。。。
これはこの場面の描き方自体が印象に残りました。
やはり島本さんはこういった感情の繊細な部分を鋭く描けてすごいと思います。

全体的には、淡々と流れていく中に色々な人間模様が見られ、読み応えのある作品でした。
久しぶりに人と人との感情が絡み合う作品を読んだので新鮮に感じたりもしました。
ちょっと分からない部分もあったので、いずれ読み返してみようかなと思います。


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女子フィギュア・フリー 浅田真央が銀

2010-02-27 14:49:12 | スポーツ
日本中が注目したバンクーバーオリンピック、フィギュアスケート女子フリー。
最終的な順位は以下のようになりました。

1位 キム・ヨナ(韓国)        228.56
2位 浅田真央(日本)        205.50
3位 ジョアニー・ロシェット(カナダ) 202.64
4位 長洲未来(アメリカ)       190.15
5位 安藤美姫(日本)         188.86
6位 ラウラ・レピスト(フィンランド)  187.97
7位 レイチェル・フラット(アメリカ)  182.49
8位 鈴木明子(日本)         181.44

というわけで、キム・ヨナ選手が世界歴代最高得点を大幅に更新する圧巻の演技で金メダルに輝きました。
浅田真央選手はトリプルアクセルは2回とも決めたものの、後半のジャンプでミスがあり残念ながら銀メダルでした。
安藤美姫選手は5位、鈴木選手は8位という結果で、日本人選手は3人とも入賞を果たしました。
フィギュアは男子も3人とも入賞を果たしていて、女子と合わせて6選手全員入賞はすごいことだと思います

さて。。。銀メダルとなった浅田真央選手。
後半のジャンプで2度ミスがありました。
さすがにこうなるとキム・ヨナ選手に勝つのは厳しくなります。
両者の点差が23点も付いたのは驚きです。
最近はキム・ヨナ選手が頻繁に世界最高得点を更新しており、もうこの流れは止めようがないのかも知れません。
…と思っていたら、今日のニュースではキム・ヨナ選手が3月の世界選手権を最後にプロに転向する可能性が高いとありました。
となると、リベンジのチャンスはその1回しか残されていません。
23点という点差を見る限り、もし仮に今回浅田真央選手が後半のジャンプでミスをしていなかったとしても、勝てる可能性は低かったと思います。
難易度の高いトリプルアクセルを合計3度跳んでも、全体的にバランスの取れたプログラムには敗れてしまうということであり、ちょっと寂しいなと思います。
もちろんキム・ヨナ選手が圧倒的に強かったというのもありますが。
しかしこのオリンピックの舞台でトリプルアクセルを全て成功させたのは素晴らしいことです。
たしかにリスクの高い技ではありますが、ずっとこだわってきた技ですし、これから先も大事にしていってほしいと思います。
4回転やトリプルアクセルがなくても十分高得点を出せるし、そちらのほうがリスクが少なくて良いというのは事実かも知れません。
それでも、今回果敢にトリプルアクセルに挑んでいったその姿に、魅了された人、感動した人は多いのではないでしょうか。
立派な銀メダルです

安藤美姫選手は5位で、メダルには手が届きませんでした。
ショートプログラムで3回転-3回転のミスがありあまり点が伸びなかったのが響いたかなと思います。
このミスでフリーでは3回転-2回転に変える決断をしたようですし。
それでも3回転-3回転に挑戦したのは素晴らしいことですし、今回のメンバーから考えても、挑戦なくしてメダルには手が届きません。
精一杯のことをした結果の5位なのですし、よく頑張ったと思います。
トリノオリンピックでのフリーの演技は見ていて痛々しいほどでしたが、それから4年たち、精神的にも一回り強くなったのではないでしょうか

鈴木明子選手はショートプログラムの11位から3つ順位を上げて、8位入賞を果たしました。
摂食障害を乗り越えてたどり着いたオリンピックの舞台で、本人としても満足のいく演技が出来たようです。
演技終了時点で暫定1位に躍り出るなど、見せ場も十分だったようです。
感極まって流した涙が全てを物語っていたように思います

3人とも、本当にお疲れ様でした
緊張からも解き放たれたことですし、帰国までの間オリンピックの雰囲気を楽しんでくれたら良いなと思います
浅田真央選手はエキシビションに出られるので、そちらも楽しみにしています