読書日和

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憲法記念日2017

2017-05-03 15:12:53 | 政治
今日5月3日は憲法記念日です。
日本国憲法が施行されてから今日で70年となります。

70年の節目の年、5月1日に行われた「新しい憲法を制定する推進大会」にて、安倍晋三首相から印象的な発言がありました。
「いよいよ機は熟してきました。今、求められているのは具体的な提案であります」
「憲法改正という大きな目標に向かって、この節目の年に必ずや歴史的な一歩を踏み出します」


これはまさにそのとおりだと思います。
衆議院でも参議院でも憲法改正に前向きな議員の数が全体の3分の2を超え、憲法改正の発議が可能な状況になりました。
民主主義国家として国会で憲法改正の発議をし、「国民投票」で国民に直接意見を聞くべき時が来ました。

日本国憲法の施行から70年が経ち改正したほうが良いものが増えてきましたが、中でも特に話題になるのは憲法九条です。
まず、私は日本の平和を願います。
そして平和はただ「平和が良いです」と願うだけでは守ることができず、守るための具体的な方策を考える必要があります。
昨年の5月に「平和記念公園の折鶴から見る戦争と平和」の記事で書いたように、こちらがどんなに憲法九条を信じても中国には関係ないことで、尖閣諸島侵略をやめてはくれないです。
もし本格的に艦隊を組んで尖閣諸島を奪い取りに動けば、それは中国によって戦争を仕掛けられるということです。
尖閣諸島侵略の先には沖縄本島侵略を見据えているのも明らかであり、今のままただ憲法九条を信じているだけでは平和を守ることはできないです。

中国に尖閣諸島侵略を思い止まらせるためには「抑止力」が極めて重要です。
まず2015年秋に集団的自衛権の公使が容認されたことで従来より抑止力を向上させることができました。
ただしそれではまだ不十分で、「憲法九条の改正」という重要なものが残っています。
憲法九条を改正し日本を守れる憲法にすれば中国はさらに尖閣諸島を侵略しずらくなり、日本が戦争を仕掛けられる危険性も下げることができます。

この世界は全ての国が善良なわけではなく、中国のように武力で他国の領土を侵略しようとする国が存在します。
北朝鮮のようにミサイルにサリン(猛毒)を積んで日本に打ち込むと脅迫してくる国が存在します。
平和を守るためにはこれらの国に対し、いかにして「日本に戦争を仕掛ければこちらもただでは済まない」と思わせ攻撃を思い止まらせるかが重要で、これが抑止力です。
平和に暮らせる日々を守っていくために、私は憲法九条の改正を希望します。

参考記事
「平和記念公園の折鶴から見る戦争と平和」

※「憲法記念日2017 日本共産党談話 昨年と今年の特徴」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

皇位継承問題

2017-05-02 18:45:56 | 政治
天皇陛下が譲位(天皇の位を次の皇位継承者に譲ること)の意向を表明され、遠くないうちに皇位が継承される可能性が高くなってきました。
そこで今回は長く問題になっている皇位継承問題について考えてみます。

まず天皇陛下は世界でも最高の権威を持つお方として知られています。
世界中を見渡しても天皇陛下と並び立てるのはローマ法王とイギリスのエリザベス女王しかいないです。

世界からそれほどまでの高い尊敬を集めているのは、一つの系統(皇統)が途切れることなく続いてきた歴史によります。
初代天皇の神武天皇から現在の天皇陛下(今現在の天皇陛下のことを今上(きんじょう)陛下と言います)まで、途切れることなく続いてきました。
なので「世界最古の皇帝」とも呼ばれています。

この長きに渡って続いてきた一つの系統とは、「男系男子」の系統です。
同じ系統がこれほどまでの長きに渡って続いた例は世界中を見ても日本の天皇陛下の系統以外にはなく、天皇陛下が世界で最高峰の尊敬を集める理由がこれです。

近年、皇室では皇位を継承し次の代につないでいける男子の不足が問題になっています。
そこで「女性宮家を創設して女性皇族に皇位を継承させ、そのまま女系天皇になっていくのでも良いではないか」という意見が出て、皇位継承をどうするかの議論がされています。
ところが女系天皇では長きに渡って続いてきた、世界最古の皇帝と呼ばれる「男系男子」の系統が途絶えることになります。
世界にただ一つしかない、極めて長い歴史を持つ男系男子の系統であり、これが失われた時の損失は計り知れないです。
このことから、私は女系天皇には反対です。
女系天皇に反対すると「差別だ!」と女性差別に話をすり替える方もいますが、これは女性差別ではなく、世界にただ一つしかない極めて長い歴史を持つ系統なのですからその世界的価値を守り、後世につないでいくべきという考えです。

皇位継承が安定して続いていくための案として、私は「旧宮家の皇籍復帰案」を支持します。
旧宮家とは太平洋戦争の後、皇室を弱体化させたかったGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって皇籍を剥奪された方々のことです。
この方々は元々皇族であり、さらに男系男子の系統が続いています。
なのでこの方々に政府から正式に依頼して皇籍に復帰して頂けば男系男子の系統を受け継ぐ男子皇族の数が増え、皇位継承が危ぶまれることもなくなります。

また、天皇陛下がご譲位された後の次の天皇陛下として、皇太子殿下ではなく秋篠宮殿下にすべきという意見があります。
これは皇太子殿下には男子のご子息がないこと、さらに雅子妃殿下が長くご病気で天皇皇后両陛下となられた時に頼りないので、それならば最初から秋篠宮殿下に天皇陛下になって頂いたほうが良いという考えのようです。
私はこれはいくら何でも強引ではないかと思います。
皇位継承順位のとおり皇太子殿下、秋篠宮殿下、悠仁親王殿下の順に継承していくのが良いと思います。
そしてその周りを旧宮家から皇籍復帰された方々が支え、磐石の皇室になっていってほしいです。

「青年のための読書クラブ」桜庭一樹

2017-05-01 23:37:55 | 小説


今回ご紹介するのは「青年のための読書クラブ」(著:桜庭一樹)です。

-----内容-----
東京、山の手に広々とした敷地を誇る名門女学校「聖マリアナ学園」。
清楚でたおやかな少女たちが通う学園はしかし、謎と浪漫に満ちていた。
転入生・烏丸紅子がその中性的な美貌で皆を虜にした恋愛事件。
西の官邸・生徒会と東の宮殿・演劇部の存在。
そして、教師に没収された私物を取り戻すブーゲンビリアの君……。
事件の背後で活躍した「読書倶楽部」部員たちの、華々しくも可憐な物語。

-----感想-----
冒頭、「聖マリアナ学園は東京、山の手に広々とした敷地を誇る、伝統ある女学校である。幼稚舎から高等部までが同じ敷地内にある校舎で学び、大学のみが別校舎となる。」とありました。
これを見て、このモデルとして場所は違いますが横浜の山手にあるフェリス女学院が思い浮かびました。
東京の山の手にモデルになる学園はあるのかなと思い調べてみたら、東洋英和女学院が出てきました。
桜庭一樹さんの小説は今回初めて読んだのですが、冒頭の語り口には森見登美彦さんと似たものを感じました。

「第一章 烏丸紅子恋愛事件」
1968年を舞台に物語が始まりました。
お嬢様学校の聖マリアナ学園の高等部の入学式で、烏丸紅子(からすまべにこ)という庶民育ちの人が転入してきます。
中等部まではいなかった人が高等部から新たに入ってきたので入学式では周りから好奇の目で見られていました。
「良家の子女たちは表向き、清楚で礼儀正しかったが、鼻持ちならぬ高慢な面もあり、」とあり、その高慢さが描かれていました。
「闖入者、烏丸紅子からは貧乏の匂いがした。すえたドブ板の匂いが。」などとあり、お嬢様達の高慢さがどぎつく描かれていて面白かったです。

紅子は大阪で育ちました。
大阪弁の言葉遣いは周りから異様に見られています。
そして紅子は学園内で徹底的に避けられていました。
どのクラブに行っても「こっちにこないで」と追い返され目に涙を浮かべながら日々を過ごす中、やがて紅子を受け入れてくれるクラブが見つかります。
それは学園の南の外れの崩れかけた赤煉瓦ビルの三階にある「読書クラブ」でした。

紅子がたどり着いた読書クラブの部室には妹尾(せのお)アザミがいて紅子を歓迎してくれました。
読書クラブは高等部の生徒のみ8名が在籍している小さなクラブで、三年生がおらず、妹尾アザミは二年で部長をしています。
アザミは容姿に恵まれた紅子が来たことで「学園を支配してから去る」という目的を持ちます。
他の部員たちも顔を出し、「紅子王子化計画」が始まります。
読書クラブの普段の活動はそれぞれ勝手に本を読むだけなのですが、しかしこの年の夏休みは合宿をして紅子の立ち居振舞いを鍛え上げていました。
そして夏休みが終わり二学期が始まると、変貌した紅子にクラスのお嬢様達は驚くことになります。
徹底して避けられていた紅子がまるで王子様のようにお嬢様達から熱い目で見られるのは展開が激変していてそのあまりの変わりぶりが面白かったです。
聖マリアナ学園では毎年6月に行われる聖マリアナ祭で「王子」と呼ばれる、女子しかいない学園で疑似男子のアイドル的な役割を担う人物を選ぶのですが、アザミの描いた計画によって紅子はその座を狙っていくことになります。


「第二章 聖女マリアナ消失事件」
聖女マリアナ消失事件は第一章に名前が出てきていて、この話はそのことを描いたものです。
聖女マリアナは学園の創始者で、ある時忽然と学園から姿を消してしまっていました。
聖女マリアナは周りから慕われていましたが、実際には恐るべき秘密があるとありました。
そこから聖女マリアナの若き日のことが語られていきました。
物語の舞台は1914年のフランスのパリに移ります。

マリアナは10代の若さにして既に立派な修道女になっていました。
マリアナにはミシェールという兄がいて、兄は18歳になると家を出たためしばらく会っていなかったのですが、ある時この兄と再会したことから「転げ落ちることになった」とありました。
この言葉の時点で既に学園内で偉大な存在として崇められる姿と違っていて興味深かったです。

ミシェールは仲間とともにパリで「読書クラブ」という貸本屋を経営し、その実入りで細々と暮らしています。
読書クラブは「哲学的複音南瓜(かぼちゃ)」という変わった店名で、マリアナもこのお店にやってくるようになります。

マリアナは海を渡り、遠いジャポーン(日本)という国に行ってキリスト教の布教をすることになります。
それに先立ち、ミシェールに連れられ有名な老婆の占い師のところに行きマリアナの未来を占ってもらうと、マリアナが学園で活躍している姿が見え希望に満ちているが、異国に旅立つ前にマリアナに重大な転換が起こると予言します。
この転換が何なのか気になりました。


「第三章 奇妙な旅人」
1989年の物語で、この時の読書クラブは30人も部員がいました。
聖マリアナ学園生徒会は「西の官邸」と呼ばれ、演劇部は「東の宮殿」と呼ばれています。
この二つの勢力が聖マリアナ学園の花形として知られています。
生徒会は選ばれし者だけが入室を許される聖域で学園の運営を取り仕切っていて、今回はこの生徒会を巡る話です。
そして読書クラブは「1989年の秋からしばしのあいだ、我々は三人の亡命者(ストレンジャー)をかくまった。」とありました。

生徒会の人達は現役政治家の子女や著名な政治家の孫娘などが多く、さらに元華族の家柄の者も多くいて、これは「貴族院」と呼ばれ学内の実権を握っていたとありました。
その生徒会でクーデターが起こります。
読書クラブでは窓から外を見ていた長谷部時雨という一年生がいち早く異変に気づきますが、二年生で部長の高島きよ子には「ほっとけ」とたしなめられていました。

バブル全盛期の1989年は聖マリアナ学園に今までとは違うタイプの、バブルで資産を増やした家の娘達が入ってきました。
彼女らは扇子を持ちバブル時代にお立ち台で踊っていたギャルのように扇子を振って踊ることから「扇子の娘」と呼ばれていました。
こういった興味深い書き方はやはり森見登美彦さんと似ていると思いました。
この「扇子の娘」のうちの三名が生徒会に入ってきてかなり掻き回します。
「生徒会六本木化計画」など面白い言葉が出てきました。
この三人がクーデターを起こし生徒会室を占拠し、学園の実権を握ろうとします。


「第四章 一番星」
2009年の物語で、部員は6人になっていました。
その中で最も目立つ山口十五夜(じゅうごや)は元伯爵家の御令嬢で、英国貴族の曾祖母譲りの鮮やかな赤毛をポニーテールにしていて目鼻立ちのくっきりとした美貌を持っています。
本来なら生徒会の貴族院にも入れたのですが仲良しの加藤凛子の後ろについて読書クラブに入りました。

この話では「暗黒のノート」について分かりやすく解説した言葉がありました。
「歴代の先輩たちが、学園の正史に残らないような珍事件を起こしたり、歴史の目撃者となったときに、こっそりと書き記した暗黒のノートがあるのだよ。この部屋のどこかに本にまぎれて隠してある。それをみつけては読むのが、我々、読書クラブ員たちの陰の醍醐味というわけだ」
どの話もそれぞれの年代の読書クラブ員たちが暗黒のノートに記す形で語られています。

ある時十五夜が部室で苺の香りのする赤い香水の香りを吸い、それを機に雷に打たれたように何かの思いを持ちます。
十五夜は突然軽音楽部にも入部し、「人体模型の夜」というロック・バンドを結成しボーカルとして活動していきます。
苺の香りの香水を吸ってから変貌していきました。
「人体模型の夜」は爆発的な人気を獲得し、さらにある日のライブで十五夜が突然加藤凛子についてある暴露をします。
その暴露で十五夜は同情されより人気を集めるのですが、凛子には身に覚えのないことでした。

「ぼくは十五夜とつきあいが長い。誰よりも彼女の深い闇、内気で赤面症の御令嬢の、もうひとつの顔を知っている」
凛子は何度か十五夜についてこういったことを語っていて、いったいどんな闇なのか興味深かったです。


「第五章 ハビトゥス&プラティーク」
2019年という未来を描いた物語で、冒頭で「聖マリアナ学園に最後の時がきた」とありました。
この年、聖マリアナ学園は創立100年を迎えました。
そして来年から共学になります。

読書クラブは赤煉瓦ビルが閉鎖され、領土をなくしてしまいました。
学園最後の年、読書クラブの部員は五月雨永遠(とわ)だけのたった一人になっていました。

この年、聖マリアナ学園では「ブーゲンビリアの君」と呼ばれる人物が大ブームになっていました。
「ブーゲンビリアの君」は学園内で生徒が携帯電話などをシスターに没収されると、どんな方法を使ってか教員室に忍び込み、没収されたものを取り返してきてブーゲンビリアの花を添えてそっと返しておいてくれる人物のことです。
赤煉瓦ビルが閉鎖され部室を追い出された日、永遠は屋外に出て初めて「ブーゲンビリアの君」が物凄い騒動になっていることに気づきます。
実は永遠はブーゲンビリアの君について重大なことを知っていました。
大盛り上がりの生徒達とは対照的に永遠は騒動に心が重くなります。

この話では第一章に登場した妹尾アザミが再登場します。
第一章から50年が経ち、68歳くらいになったアザミは国会議員になり貫禄のある姿になっていました。
「ブーゲンビリアの君」の話を聞いて妹尾アザミ議員は毎回ブーゲンビリアの花を置いていくことからその人物がどんな意図を持っているのかを瞬時に見抜き、嬉しくなっていました。
アザミの50年ぶりの再登場は意外で、第一章から第五章まで「読書クラブ員」がそれぞれの時代とともに歩んできたことを実感しました。


桜庭一樹さんの小説は今回初めて読んだのですが、なかなか特徴的な文章を書く人だなと思いました。
またいずれ機会があれば他の作品を読んでみようと思います。


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