なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性大動脈解離

2024年12月03日 | 循環器疾患

 12月2日(月)は内科外来に出ていた。再来を診ながら新患も診ている。当院の内科外来は2診体制で、月曜日は大学病院(循環器内科)から来てもらっている先生と2人で診ている。

 外来の看護師さんが「急性大動脈解離の患者さんが」と慌てていた。前日から前胸部痛が続く60歳代後半の男性が、大学病院の先生の方に回されていた。

 前日の午後6時ごろ、「夕食のラーメンを食べていて最後の一口を飲み込んだ時」に突然前胸部痛が出現した。胸痛は続いていたが受診はせず、そのまま月曜日まで我慢して受診した。 (普通に自分で病院まで来て、新患として受け付けをした、いわゆるwalk inの患者さん)

 血圧165/103mmHgと高値だった。市内の内科クリニックに高脂血症で通院していて、高血圧症・糖尿病はないらしい。喫煙者だった。

 診察では有意な所見はなかった。心電図は異常なし。胸部X線でも大動脈弓の拡大が疑われる。最初は単純CTで見ていたが、大動脈内腔に石灰化が見えて、解離を示唆していた。造影CTで大動脈弓の頂部から下行大動脈にかけて解離していた。 

 自分の病院の心臓血管外科に連絡していたが、ICU満床で受け入れができなかった。循環器病センターのある専門病院に連絡すると、受け入れ可能で、そちらの病院に救急搬送となった。

 血圧を120未満にするようにと指示があり、ニカルジピン10mg+生食10mlを2ml/時で開始しての搬送となった。

 

 当方の外来には、いろいろ訳ありの新患患者さん(重症ではない)が回されていた。検査しようとしても、この患者さんのことで外来の看護師さんが出払ってしまっていた。

 

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岩岡秀明先生の本

2024年12月02日 | 精神科疾患

 糖尿病については、岩岡秀明先生の本を購入したり、CareNeTVの講演を視聴している。所属は船橋市立医療センターだったが、現在は鎗田病院になっている。公的病院を定年退職して、私立病院に移られたのだろう。

 ソフトな語り口で、エビデンスに基づいてわかりやすい解説をされるので人気があるらしい。CareNeTV御用達のようになっていて、前野哲博先生のCareNeTV「スペシャリストにQ!」でも、糖尿病と内分泌疾患の解説をされている。(単行本化された)

 長年編集をされている「ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック」(中外医学社)もVer.6になった。糖尿病の定番の本になっていて、初版の時から購入している。

 「プライマリ・ケア医のための 新糖尿病診療」は岩岡先生の単著で、ハンドブックより分かりやすい。こちらは日経メディカルの連載をまとめたものだ。

 

プライマリ・ケア医のための新・糖尿病診療

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「ねころんで読める心不全」

2024年12月01日 | 循環器疾患

 メディカ出版から「ねころんで読める」シリーズが出ている。たくさん出ていると、当たりと外れがあるが、とりあえず新刊が出ると購入するかどうか検討することにしている。

 今回「ねころんで読める心不全」が出た。大抵は書店(丸善)で内容を確認して購入を検討するが、面白そうなのでamazonで注文した。心不全治療のFantastic 4の話などが分かりやすく記載されている。

 Fantastic 4の導入は、

 SGLT2阻害薬は、基本的に最初から導入。ARNIは血圧に余裕があれば早期に導入。MRAは電解質に注意して(腎機能・血清カリウム)早めに。βブロッカーはうっ血解除後に少量から導入。となっている。

 なにしろ扱っている患者さんたちが80歳代~90歳代なので、SGLT2阻害薬はサルコべニア・フレイルの(超)高齢者に導入していいのかと思ってしまう。というか、導入を躊躇する(しない)ことが多い。

 高齢者でも体格がよい人(体重の有り余っている人)には出しているが。

  

ねころんで読める心不全:症例を通して病態を理解できる/最前線の実践知を知る

 

 「ねころんで読める緩和ケア」は書店で見てから購入検討とした。「ねころんで読めるてんかん診療」は初版が良かったので、改訂2版もamazonで購入した。てんかんの本がシリーズ中で最も良いといわれているらしい。

 

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肺炎で搬送

2024年11月30日 | 呼吸器疾患

 11月13日に記載した30歳代前半の女性のその後。

 COVID-19からARDSとなり、地域の基幹病院から大学病院に搬送となった。ECMO装着で改善したが、廃用でベット上寝たきり状態になって、基幹病院に戻った。

 リハビリ病院ではないので、すぐに当院回復期リハビリ病棟に転院依頼が来た。それでも当院転院までの1週間の間に、食事摂取(自力+介助)はできるようになっていた。しかし、両下肢はほんのわずか挙上できるかというくらいだった。

 それに元々睡眠時無呼吸症候群で大学病院呼吸器内科に通院していて、夜間は人工呼吸器(CPAP)を装着している。なかなか厳しい患者さんではあった。

 11月16日(土)の夜間から発熱があり、17日(日)には高熱になった。18日の胸部CTで両側肺下葉、特に左肺下葉に浸潤影を認めた。酸素吸入1~2L/分を開始して、抗菌薬(PIPC/TAZ)を開始した。

 いったん解熱していい感じだったが、21日の夜間から喀痰が増加して、酸素吸入も4L/分を要した。

 特に夜間は喀痰吸引頻回になり、CPAPは装着できなくなっていた。回復期リハビリ病棟は病状安定の患者さんを診るところなので、かなり頑張った看護をしてくれたことになる。

 週末とてもここでは診られませんとなった。なにしろ筋力低下で自力での喀痰排出ができない。といって、体型的に気管挿管が難しい患者さんだった。

 基幹病院呼吸器内科に連絡すると、ちょうど紹介された先生が出られた。病状をお伝えすると、週明けでいいですかといわれた。申し訳ありませんが、今日お願いできませんかとお願いすると、ベットを確認していうことになった。その後連絡があり、搬送となった。

 リハビリ病棟の看護師長さんが基幹病院の知り合いの看護師さんに訊いたところでは、到着してすぐに気管挿管となり、人工呼吸器管理になったという。

 

 その後返事が来て事情がわかった。救急車内では酸素4L/分で飽和度を保っていたそうだ。到着してすぐに飽和度がぐっと下がって、気管挿管となった。胸部X線・CTで確認すると、左肺が無気肺になっていたという。喀痰が気管支の中枢側で詰まったらしい。「迅速な搬送でよかった」と記載されていた。

 抜管後に当院に戻されても大変そうだ。気管切開がないと、とても対応できない(気管切開があっても自信がないが)。

 

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食道裂孔ヘルニア・続き

2024年11月29日 | 消化器疾患

 昨日(11月28日)の続き。

 11月27日入院して、点滴とPPI注(オメプラール1Aを1日2回)で経過をみて、夜間から28日朝にかけて嘔吐はなかった。前胸部がすっきりした、という。

 胸腹部CTで確認すると、食物と消化液が充満していた胸腔内胃は、内容物が流れて来ていた。これなら内視鏡ができるということで、午後から消化器科医に診てもらった。

 食道から胃にかけての食物残留はなくなっていた。食道中下部から胃にかけて発赤とびらんを認めたが、出血はなかった。 

 胃の大部分が胸腔内の入り込んでいるが、胃底部が垂れ下がっているので、そこが充満すると遠位部が圧迫されて排出できなくなるようだ。餅がそもそもまずかったのかもしれない。

 29日朝から食事が出たが、食べても症状は生じなかった。通院している病院のPPIをP-CAB(タケキャブ20mg)に変更して、効果はわからないが消化管運動薬(モサプリド)も追加してみた。

 

 消化器科医は週末他県で親の法要(13回忌)があるので、この患者さんの入院主治医になってほしいといわれた。同じ年に当方と消化器科医の母親が亡くなっていた。当方の13回忌は10月始めに済んでいる。

 

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食道裂孔ヘルニア

2024年11月28日 | 消化器疾患

 11月27日(水)に前日から嘔吐が続く90歳女性が受診した。前日の昼に餅を食べたそうだ。午後から嘔吐が続き、吐物は黒色(コーヒー残渣様)となっていた。

 患者さんは外来の処置室に横臥していた。意識清明で普通に会話ができる。認知症はないようだ。吐物は確かに黒色だった。

 隣町の病院に通院していて、PPI(ランソプラゾール15mg)とスタチンが処方されていた。食道裂孔ヘルニアといわれているという。結膜を見ると貧血かもしれない。

 前日から30回は嘔吐している、と問診票に記載していた。腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。腸閉塞ではない。食道裂孔ヘルニアのためか、幽門狭窄による嘔吐が疑われた。

 単純X線では確かに胃の大部分が胸腔内に入り込んでいる。胸腹部CTで確認すると、胃内に食物と消化液が充満している。高濃度に見えるのは餅かもしれない。

 消化器科医に相談すると、この状態で内視鏡を入れるのは危ないといわれた。入れて吸引してもすぐに吸引口が詰まってしまう。そもそも入れた時に嘔吐して誤嚥性肺炎を来す可能性が高い。経鼻胃管(NGチューブ)を入れるのも同じことが起こるかもしれない。

 点滴をしてPPI注を行っていたが、その後は嘔吐しなくなった。絶食・点滴・半座位で腸管への流出があるか1日経過をみてから、処置を決めることになった。

 

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踵骨骨折

2024年11月27日 | 整形外科疾患

 11月25日(月)の内科再来に90歳女性が受診した。定期の予約日だが、その日は異常があった。前日に洗濯物を干そうとして、段差のあるところで転倒した。左足首をひねったようになったそうだ。

 その後から左足関節から足の外側にかけて腫脹と皮下出血が出てきた。ふだんは腰曲がり(亀背)はあるが、普通に歩いている。転倒後は痛くて這って動いていた。

 翌日に外来予約があるので、その日は受診しなかったという。ただ日曜日に救急外来を受診しても、X線検査と鎮痛薬の処方で月曜日に整形外科受診となる。

 整形外科外来担当の外来看護師に連絡すると、X線撮影を入れてから回してくださいという。再来予約の診察が終わって、新患を診始めたところだった。足関節~足指のX線をオーダーして紹介状を記載した。

 整形外科医から、左踵骨骨折で手術することになったと伝えられた。X線でもわかるようだが、CTで確認していた。

 翌日に無事手術が行われた。1週間寝込むと、短期間のリハビリは要する。

 

 この患者さんは高血圧症などで診ている。今年の7月に両下腿から足の浮腫が生じてきた。心臓自体の問題はあまりなさそうだが、現役の喫煙者だった。今でも1日5~6本は吸っている。やめる気はなく、家族も今更やめさせなくてもということだった。

 COPDからの右心不全なのだろうか。降圧薬のARBをARNIに変更して、アゾセミド少量入れると浮腫は軽減している。

 昔から胃薬のマーズレンが処方されていて、そのまま継続していた。院内にはないので、レバミピド(ムコスタ)にしたが、「青い粉が入ってなかった」といわれた。錠剤は何が何の薬かわかっていないと思うが。

 

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鼠径ヘルニア

2024年11月26日 | 外科疾患

  11月22日(金)の当直の時に、嘔吐が続く90歳代初めの女性が受診した。家族が救急要請したが、救急隊到着時には嘔吐が治まっていた。歩行もできることから不搬送となり、家族の車での受診となった。

 腹部は平坦・軟で圧痛もなかった。しかし車で来る途中にも嘔吐があり、病院到着後も少し嘔吐していた。腹部X線を省略して腹部CTを撮影したが、単純X線も撮っておいた方がよかった。

 左鼠経ヘルニアが写っていた。腸管の拡張と腸管内消化液もある。一時的に腸管の流れが悪くなったのが嘔吐の原因らしい。それにしても、腹部を診た時にズボンの下げ方が足りなかったのだった。

 腸管をゆっくり押し込むと戻った。整復?後に腹部CTを再検すると、腸管は腹腔内に戻っている。それでも脂肪組織らしいものがまだ残っているように見える。土日に当院で経過をみるのも外科の対応ができないので、躊躇われる。

 家族にヘルニアの話をすると、地域の基幹病院外科に紹介されて診察を受けていた。経過観察となったが、何かあったら(嵌頓したらということ)、受診するようにされていた。経過をみていいのか判断がつかないので、紹介することにした。連絡すると診ていただけるということだった。

 

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両側肺炎

2024年11月25日 | 呼吸器疾患

 11月22日(金)は当直だった。23日(土)午前5時に救急搬入依頼がきた。3つ隣の町にある施設に入所している80歳代半ばの男性の発熱・酸素飽和度低下だった。

 前日の夜間から酸素飽和度低下があり、施設内で酸素吸入3L/分を開始していた、朝方になって飽和度がそれでも80%台前半と上がらず、施設で救急要請した。

 認知症・廃用の患者さんの誤嚥性肺炎が疑われる。気管挿管・人工呼吸は行わない方針になるが、家族はどう考えているのだろうか。訊いてみると、ちょっとお待ちくださいといわれたが、すぐにそこまでの延命処置は希望しません、という。

 救急隊で施設職員に訊いただけのようで、家族の考えではないかもしれない。搬入後に改めて相談になるが、来てもらうことにした。(地域の基幹病院の近くだが、最初から搬入依頼しないことになっているので、おそらく連絡はしていない)

 酸素吸入3L/分のままで搬入された。酸素飽和度が80%代後半になっていた。血液ガスでは二酸化炭素分圧が高く、基礎にCOPDがあるようだ(喫煙歴あり)。酸素吸入量を上げたが、酸素飽和度は90%前後(88~92%)を目標にした。

 胸部X線・CTで両側肺の背側に浸潤影を認める。食事で明らかなムセはなかったというが、急な発症と肺炎像の分布からは誤嚥性肺炎が疑われる。体温は37.5℃で、高熱を来す体力はないのだろう。

 施設には昨年5月に入所したので、施設生活は1年半になる。右大腿骨頸部骨折で手術した既往がある。やせていて、介助で車いすの生活だった。

 行うとすればNPPVだが、それも装着されるのは苦しい(喀痰吸引も困難になる)。装着後に最期まで外せなくなる可能性がある。病院に来た妻と相談して、酸素吸入・抗菌薬・点滴で経過をみることにした。

 

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頚椎腫瘍

2024年11月24日 | 整形外科疾患

 整形外科の先生が医局のパソコン画像で頚椎のMRI像を出していた。第7頚椎がつぶれていて、周囲にはみ出して見えた。患者さんは40歳代始めの女性で、整形外科クリニックからの紹介だった。

 5月から左鎖骨部の痛みで通院していた。そのクリニックはMRIがあることを「売り」にしている。おそらくMRIを撮像したはずだ。当初の所見はどうだったのだろうか。

 NSAIDsや神経障害性疼痛の処方(ミロガバリン)で治療をしていたが、左上肢と肩甲骨部にも疼痛が伸展したために、紹介となっていた。

 整形外科医はまず単純MRIを行っていた。第7頚椎に腫瘤と溶骨性変化を認めた。さらに造影MRIを行っていた。第7頚椎の骨腫瘍で、放射線科の読影レポートでは「動脈瘤性骨嚢腫疑い」となっていた。

 

 腫瘍は扱えないので、大学病院整形外科に紹介となった。放射線科の読影レポートは「肺、乳腺には明らかな腫瘍は見られません」とあって親切なのだった(骨転移する原発巣の有無への言及)。

 

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