「オスラー病の患者さんで、相談に乗ってほしい」と、昨日消化器科医から言われた。40歳男性で、鉄欠乏性貧血のため内科から鉄剤が処方されていた。何代かの内科医師がその都度担当している。ほとんど薬だけになっているが、少し中断していたらしい。鼻出血で耳鼻咽喉科も受診していた。
その日は下腹部痛で受診していて、診断は尿管結石だった。腎盂~尿管が拡張している。膀胱の数cm上にあるが、急に詰まったというより、その位置で停滞しているらしい(非常勤の泌尿器科医と相談した)。疼痛は自然に治まってきた。腎機能が悪化する前に手術するかどうか、泌尿器科常勤医のいる基幹病院に紹介することにした。
通称オスラー病だが、正確には遺伝性出血性毛細血管拡張症Hereditary hemorrhagic telangiectasia(HHT)だ。この患者さんは、親・その親・そして同胞3名に同病があり、遺伝性を確認することができる。姉は脳動静脈瘤(破裂か)で亡くなっている。
黒色便もあるという。貧血の程度はHb7g/dlでふだんと変わりなかった。鉄欠乏性貧血で、慢性出血と判断される。鼻血を飲み込んでいる可能性もあるが、胃粘膜など消化管のtelangiectasiaから出血することもある。消化器科として放置できなかったらしく、さっそく上部内視鏡を行ったが、十二指腸に若干telangiectasiaがあるが処置するものではなかった。
前にいた病院でオスラー病の患者さんがいて、上部消化管内視鏡検査を行った記憶があるが、この患者さんだったかどうか(同胞の誰か?)はわからない。
今日は右胸水貯留の87歳男性に、胸腔穿刺を行うと、血性胸水が引けてきた。血液検査でCEAとCA19-9が高く、肺癌による癌性胸膜炎が疑われる。細胞診待ちだ。