なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

2016年11月28日 | Weblog

 先週の23日(祝日)の日直の時に88歳女性が食欲不振で受診した。内科クリニックの処方をみると、認知症薬・喘息薬が処方されていて、PPIも入っていた。1か月前から食べられないというが、栄養状態は良好に見えた。難聴があり、大きな声でマイペースで良くしゃべっていた。食べられないというよりは、食べにくいということかと思った。

 点滴と血液検査を行ったが、検査では全く異常がなかった。貧血もない。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常域。食べるとつかえるようなことも言っていたが(たぶん)、食道癌よりは逆流性食道炎かと思った。翌日上部内視鏡検査をすると、食道裂孔ヘルニアがあり、Grade C相当の逆流性食道炎を認めた。胃癌はなかった。PPI(パリエット)が処方されているが、薬の管理は自分でしていて、まったく内服してないわけでもないが、思い込みで飲んでいた(胃薬を飲むとかえって胃に悪い?と)。

 内視鏡検査の前に腹部エコーも入れていた。膵頭部に腫瘤を認めると報告が来ていた。造影したかったが、喘息があり(ちょっと喘鳴があった)、まず単純CTで確認すると、確かに膵頭部に腫瘤がある。腫瘍マーカーは正常域だが。

 この患者さんは2年前に膀胱癌でCT検査(単純)を受けていた。当院の泌尿器科から基幹病院泌尿器科へ治療のため紹介になっていた。その時のCT読影では指摘されていないが、そのつもりで見るとその時にも膵頭部に腫瘤はあった。大きさはあまり変わっていないことになる。

 今日はMR検査を入れていたが、膵頭部の腫瘤は膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN、分枝型)だった。初診日からPPIに変えてP-CAB(タケキャブ)を処方していたが、効いているらしい。年齢と認知症を考慮して、膵腫瘍の検査はここまでにすることにした。

 通院している内科クリニックに検査の報告を書いて、家族に持たせた。可能なら逆流性食道炎の処方をPPIからP-CABに変更してほしいこと、IPMNはこのまま経過観察とすること、を書いた。

 

 11月6日に脳梗塞で基幹病院に紹介した30歳女性は、脳血管造影の結果、もやもや病だったと返事が来ていた。脳外科管理になるという。

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