昨日の日直の時に、88歳女性が1か月前から食べられないという訴えで受診した。難聴で、耳元で話しても聴こえていない。看護師さんに耳元で大声で伝えてもらってなんとか通じた。認知力低下もあるらしく、その場の会話は成り立つが、あとは自分の言いたいことだけ一方的にしゃべっていた。
それほどやせたようでもなく、元気にしか見えない。食べられないといっても、その程度はひどくないのだろう。腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。どうも食べるとつかえるということを言いたいらしい。食道癌も否定できないが、逆流性食道炎が疑われた(根拠は癌らしくない元気さから?)。
今日絶食で来てもらって腹部エコーと上部消化管内視鏡検査を行った。内視鏡では、食道裂孔ヘルニアがあり、Grade Cの結構目立つ食道炎の所見があった。胃は胃底腺ポリープのみだった。ここまでは予想通りだった。
腹部エコーで膵頭部に低エコーの腫瘤があると、担当の検査技師から連絡がきていた。内視鏡検査後に、日を改めて造影CTを行なおうとしたが、この方は喘息で通院している。造影検査をできなくはないが、まずは単純CTで見ることにした。やはり膵頭部に腫瘤がある。
てっきり膵頭部癌と思ったが、2年前に膀胱癌の検査の時にCTが行われていた。その時の読影レポートには指摘されていないが、すでにその時から膵頭部に腫瘤があった。今回のと比較すると、大きさは不変か若干増大しているかというところだった。2年間でほぼ不変なら、膵頭部癌ではないようだ。放射線科の先生に相談して、来週にMR(MRCP)を行うことにした。
内科クリニックからPPIのパリエットが処方されていたが、薬は自分で管理していて、胃に悪い?と飲んでいないらしい。アルロイドGは好んで飲んでいるそうだ。P-CAB(タケキャブ)を処方して、直接朝に家族に目の前で飲ませてもらうことにした。膵頭部の病変はな何なのだろうか。IPMN?。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常域で肝機能検査は異常なし。