先週の土曜日の日直の時に、80歳代初めの女性が左側胸部痛で受診した。普段から咳・痰があるが、そのころから増加していた。吸気時に痛いわけでもないそうだ。打撲した覚えもない。
胸部X線を撮影すると、両側肺野に派手な陰影が出てきた。以前は当院の呼吸器科に通院していて、時々いろいろな理由で単発的に受診していたので胸部X線が残っている。比べてみるとそれほどでもないようだ。
これは単純X線では判断がつかないし、肋骨の3次元像も見たかったので胸部CT検査も行った。基本的には気管支拡張症だった。副鼻腔炎も(本人の話では)子供の時からあるそうだ。クラリス200mg/日が当院呼吸器科の時から処方されていて、当院の呼吸器科がなくなった時(常勤医がいなくなった時)に内科クリニックに紹介となっていた。今もクラリスは継続されている。
CTで見ると、左肺の胸膜にかかる陰影は以前からあって、変わりないようだ。拡張した気管支周囲に粒状影が散布しているのが少し増えているかもしれない。白血球10200・CRP1.3とそれほどの上昇ではなかった。
休み中は抗酸菌塗抹検査はできないので、一般細菌の喀痰培養を提出した。食欲がないというので、外来で点滴をしていたが、ベットに座って普通におにぎりを食べていた。酸素飽和度も室内気で正常域にあり、外来治療で経過をみることにして、セフトリアキソン1gを点滴静注した。
外来での内服薬はニューキノロンも考えたが、非結核性抗酸菌の検査も必要かと考えて、オグサワ(オーグメンチン+サワシリン、当院はパセトシンだが)にした。クラリスを内服しているので、ニューキノロンを避ける意味がなかったかもしれない。
今日は外来に来たが、調子はよくなってきているという。まだ喀痰培養の結果は出ていなかった。同じ抗菌薬を追加処方して、来週また外来で診ることにした。この人はクリニックではなく、当院の呼吸器科外来(大学病院などからの非常勤医)でフォローしたほうがいいと思う。