なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

一発診断3

2019年02月23日 | Weblog
CareNeTV
一発診断
第3回 左胸に突き刺すような痛みの18歳男性
 
Illness Script 5
72歳男性
現病歴:数週間前から手のこわばり、手を握ろうとすると痛みが出現。その後、両手・両足背がむくんできたため受診
身体所見・検査所見:WBC 12000 赤沈(1時間値)86mm
・リウマトイド因子陰性・X線検査で骨に異常なし
一発診断 RS3PE
 
RS3PE
概念:
50歳以上に急性発症する
1.予後の良い
2.リウマトイド因子陰性
3.左右対称性
4.手背・足背に圧痕性浮腫を伴う関節(滑膜)炎
疫学:
有病率 0.09%(日本における50歳以上)
リウマチ性多発筋痛症(PMR)の3分の1
圧痕性浮腫は片側性、もしくは下肢のみのことがある
検査:
CRP上昇、赤沈亢進、MMP-3上昇、抗核抗体(-)抗CCP抗体(-)X線上関節の変化(-)
治療:
・NSAID
・ステロイド(10~15mg/日)が奏功→12~18か月で不要になることが多い
予後:
RS3PEに悪性腫瘍が合併することがあるのでスクリーニングを行う
 
ステロイドの効果が乏しい場合
1.腫瘍随伴(paraneoplastic)RS3PEの可能性
2.診断が間違っている可能性
 
高齢発症の関節リウマチ
11.2%がRS3PE様の症状で発症
(手・足関節の炎症が強ければ浮腫を伴う)
鑑別ポイント
X線写真で骨変化(+)、抗CCP抗体(+)、ステロイド治療抵抗性の場合に疑う
リウマトイド因子陰性、抗CCP抗体(ー)の場合は鑑別が困難
 
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
RS3PEはPMRの亜型もしくは同一疾患ではないかと考えられている
→頸、肩、腰、大腿の筋肉痛とこわばりを訴えることがある
・浮腫がなく、近位筋痛が強い→PMR
・筋痛が強くなく、両側手背に圧痕性浮腫→RS3PE
 
最近のトピックス
 DPP4阻害薬によるRS3PE症候群が報告されている
 
一発セオリー
高齢者で四肢末梢の痛みと圧痕性浮腫を訴え、リウマトイド因子が陰性なら...RS3PE
 
Illness Script 6
18歳男性
現病歴:
午後11時ごろ寝ようとしたところ突然左の胸がいたくなったため救急外来を受診
痛みは突き刺すような感じで、深呼吸で悪化し、1分もせずに消失した
身体所見・検査所見:
バイタルサイン異常なし
心音・呼吸音・皮膚異常なし
胸部X線・心電図異常なし
疼痛部位を指1本で指し示すことができる
一発診断
precordial catch syndrome
 
precordial catch syndrome
・突然の胸痛を来す良性疾患
・あらゆる年齢に起こりうるが、6~12歳に多い(~35歳まで)
・原因不明
  姿勢の悪さや肋間筋由来の痛みとも言われている
OPQRSTA
O(発症):安静時>軽労作時に突然発症
P(増悪・緩解因子):深呼吸で悪化姿勢を伸ばすと軽快 突然治まる
Q(性状):「鋭い」「突き刺すような」「焼けるような」痛み 圧痛なし
R(放散、部位):1~2本の指でさせる範囲 左側に多い(前下方・
胸骨縁)>側胸部・右前胸壁
S(程度):強さはさまざま
T(経過):30秒~3分 数回の呼吸で治まったり、30分続くこともある
A(随伴症状):なし
除外診断ではない 詳細な問診で診断は容易
治療:特別な治療法はない 重篤な病気ではないことを伝え、保証を与える
 
肋間神経痛との鑑別
・肋間神経の走行に沿って疼痛・感覚障害を来すため痛みの範囲が広い
・発作中は深呼吸・咳嗽・体動・寒冷で増悪する
・アルディニアがみられることがある
 
一発セオリー
若年者で安静時に突然発症し、深呼吸で悪化し、すぐに軽快する突き刺すような限局性の胸痛は・・・
precordial catch syndrome

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする