先々週、91歳女性が動けない、食べられないということで救急搬入された。昨年春に心不全で循環器科に、秋に肺炎で内科に入院していた。
付いてきたのは男の孫で、患者さんとその孫と孫の子供が同居していた。介護のためというよりは、孫が祖母の家を住所として使っているようだ。介護はできていない。
造影CTで計5cm以上の胸部大動脈瘤を認めた。炎症反応・BNPの上昇があり、救急当番の外科医が循環器科を呼んでいた。左肺背側に無気肺像と胸水貯留があるが、濃度としては血液ではないので、破裂ではないと判断された。心不全の悪化ともいえないので、循環器科としては引き受けがたいらしい。
その後に内科が呼ばれた。左背側の陰影は肺炎とも言い難い。尿混濁はあるが、急性腎盂腎炎と断定できない。肺炎・尿路感染症の疑い(感染性動脈瘤の可能性もあり)として抗菌薬で経過をみるしかない状態だった。
孫には、胸部大動脈瘤が破裂した時は急変(突然死)すると伝えた。入院して点滴・抗菌薬投与で経過をみると、炎症反応は改善してきた。ただしD-ダイマー20前後は横ばいだった。動脈瘤壁に厚い血栓が付着している。
食事摂取(嚥下調整食)もできるようになったが、リハビリをしても介助で車いす移乗ができるかどうかだった。食事の時以外はほとんど寝ている。
昨年秋に肺炎で入院した時のCTで胸部大動脈瘤とは読影されていない。今見るとちょっと兆しがあるが、ここ半年で出来上がったものだ。少しずつ調子が良くなったところで破裂というのは避けたいが。(左が今回で右が昨年秋)