なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低カリウム血症、代謝性アルカローシス

2024年03月04日 | COVID-19

 2月24日(土)の午後9時過ぎに、自宅で転倒した91歳女性が救急搬入された。後ろ向きに倒れて、後頭部を家具に打撲して切創ができていた。

 当直は小児科医で、大人の縫合を久しぶりに行っていた。頭部CTで頭蓋内に出血は認めなかった。帰宅させようとしたが、一過性の意識消失があった。呼吸が弱いように見えた。

 静脈血ガスでPaO2 21.1・PaCO2 70.8・pH 7.544・HCO3 62.3・BE 35.1と代謝性アルカローシスを認めた。高二酸化炭素は代償性の変化?。さらに血清カリウムが1.4と著明な低下を認めた。

 25日(日)は日直で出ていた。前日入院させたこの患者さんを申し送られた。検査は静脈血ガスだけだったので、画像検査と血液検査を行った。心電図では有意な異常がなかった(低カリウムが続いていた?)。

 CT画像では右肺下葉に肺炎像があった。全体に気腫性変化が軽度にあるようだが、喫煙者ではなかった。亡くなった夫はヘビースモーカーで、現在同居の息子も喫煙者だった。(以前非喫煙者の妻が夫の喫煙で明らかな肺気腫を呈していたことがある)

 内科医院から利尿薬(アゾセミド30mg)が処方されていて、低カリウム血症はそのためかもしれない(ARBも出ているが)。浮腫はなく、むしろ脱水傾向だった。

 カリウムの補充はしていなかったので、カリウム製剤の点滴に混合して補正することにした。肺炎の治療も開始した。

 26日(月)も血清カリウム1.5と変わらなかった。腎臓内科の若い先生のアドバイスで、血清マグネシウムを測定すると、1.3(1.8~2.6)と低値で難治性低カリウムの条件を呈していた。

 さっそくマグネシウム製剤を補充すると、翌27日は2.4になり、28日は3.5に上昇してしまい、中止した。カリウムは27日2.4、28日3.5と上昇してきた。

 腎臓内科の先生は、利尿薬による低カリウム血症→食欲低下でカリウム摂取も低下→代謝性アルカローシス→マグネシウムも低下して低カリウムが悪化、という経過ではないかという。

 電解質異常のいい(教科書的な)症例ですね、ともいわれた。

 

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