火曜日の救急当番の時に、20歳の男性が救急搬入された。てんかんで当院小児科に通院している。いわゆる小児期からの持ち越し例ということになる。
発達障害があるそうだ。確かに会話すると、小学生のような印象のしゃべり方だった。主訴は右臀部痛で、先週の震度6強の地震があった時から続いているという。
転倒して打撲したわけでもなく、物が倒れてきて当たったわけでもなかった。数日は足を引きずるようにして歩いていたが、土曜日からは歩こうとしなくなった。
右臀部には圧痛はなかった。右下肢を挙上しても痛みはないようだ(表情は変らない)。2~3年前に大型の台風が来た時と、昨年2月の地震の時にも同じ右臀部痛を訴えたが、2日くらいで治まったので、受診はしていなかった。
今回は症状が長く、実際歩こうとしないので、父親が救急要請したという経緯だった。通常の骨盤X線で確認したが、単純X線で見る限り、異常はない。CTやMRIで診ないとわからないのかと思ったが、圧痛がないのでそこまでするべきか。
ふだん診ている小児科の先生に相談すると、こちらで診ますということだった。血液検査をすると、炎症反応がわずかに上がっていた。
地域の整形外科の外来に紹介となった。先方の検査では炎症反応は軽快していたが、MRIで確認するそうだ。
この患者さんは内側側頭葉てんかんと診断されている。抗てんかん薬は4剤併用になっていた。最近、発作(意識減損を伴う自動症)が断続的にみられて、手術の可否を相談すべく専門病院に紹介していた。
てんかんは簡単なテキストしか持っていないが、内側側頭葉てんかんは薬剤抵抗性に経過するとある。
2018年に頭部MRI検査が施行されていて、左海馬のFLAIR高信号と萎縮を認めていた。テキストにあるような所見だった。「手術治療成績は薬物治療を上回るので、漫然と薬物治療を続けずに、専門の脳外科(の中でもてんかん専門の医師)に紹介すべき」、だそうだ。(本人の同意を得るのは難しいかもしれないが)
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