金曜日の昼に内科の若い先生が、循環器科医に医局のコンピュータで画像を見せて相談していた。当方は歯磨きをしていたが、何かと思って後ろから覗いてみた。
内科外来を1か月前から胸が苦しいという訴えで受診した78歳女性だった。心電図はまったく異常がない。胸部陰影があるが、それでは症状が説明できないので、循環器科医に相談していたのだった。その後、心エコーも行われて異常なしだった。有症状時の検査なので、異常なしと判断してよいことになる。
胸部X線・CTを見せてもらうと、主には右上葉に陰影があった。昨年先生が診た患者さんですと言われたが、すぐには思い出せなかった(記憶力が低下している)。
昨年貧血と下肢の浮腫でかかりつけ医から紹介されて受診した。検査の結果は胃切除術後の鉄欠乏性貧血だった。Hb5.1g/dlと重度で鉄剤投与で間に合わないので、入院して4単位の赤血球輸血を行った。その後は鉄剤投与とした。ビタミンB12欠乏も伴っていたので、ビタミンB12製剤を注射で開始して、その後は内服とした。ある程度改善したところで、両剤の投与をかかりつけ医にお願いした。
1~2週間前から咳・痰が出る、食欲が低下したというが、こちらは確かなのだろう。何となく胸が苦しいというのはよくわからないが、心気症的な訴え方をする患者さんではある。
胸部X線・CTをどう読むかになる。白血球数は正常域だが、ふだんは正常下限なので増加している。CRPは1.1mg/dlとごく軽度だった。現在は貧血がなく正常域。発熱はない。通常の肺炎にしては、ちょっと経過が長いかもしれない。結節影と淡いすりガラス様の斑状影が集簇している。左肺にも右肺より少ないが淡い陰影がある。これは見返すと昨年のCTでもわずかにあった。
若い先生は肺癌を気にしていた。確かに結節影はちょっと気になるが、一元的には感染症だろう。抗酸菌感染(結核よりはNTMか)が気になるので、抗酸菌の検査も出してもらうことにした。抗酸菌塗抹は陰性だったが、抗酸菌のPCRと培養も提出した。肺癌の腫瘍マーカーも出した。とりあえずセフトリアキソンで治療を開始して経過をみる。
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