若いふたりの腎臓内科医がインフルエンザ肺炎の話をしていた(ひとりは常勤、ひとりは大学病院から3か月交代)。そんな患者さんがいたのかと思ったが、当方が診断していた。
患者さんは71歳男性で、月・水・金のコースで血液透析に通院している。1月7日から発熱・鼻汁・咳・関節痛があった。姉がインフルエンザに罹患している。1月9日(火)に発熱外来を受診した。
予想されたように、コロナとインフルエンザの迅速試験をして、インフルエンザA型が陽性と出た。奥さんの運転する車で来ていた。助手席に座っていて、食事はとれるという。
腎臓内科医に報告して、抗インフルエンザ薬は吸入薬のイナビルを処方した。(鎮咳剤とアセトアミノフェンも)翌水曜日は日中普通に透析に来た。透析室の隔離したブースで受けたはずだ。
透析が終わって自宅に帰ってから、呼吸が苦しい・動けないと訴えて、時間外で救急搬入された。たまたま当直医は腎臓内科医(大学病院から来ている先生の方)だった。
胸部CTですりガラス陰影が散在していた。細菌性肺炎に併発と判断したが、炎症反応が高く(CRP23)他の感染症の可能性も考慮して血液培養も採取していた。ペラミビル(ラピアクタ)注が量を調整して投与され、抗菌薬も併用されていた。
入院後も発熱が続き、酸素飽和度が低下した。酸素吸入5L/分となり、その日の夜間には一時10L/分までになっていた。胸部CT再検で両側肺野にすりガラス陰影が広がっていた。インフルエンザウイルス性肺炎の陰影だった。
ステロイド(プレドニゾロン60mg/日注)が開始された。その後は解熱して、症状も軽快した。1月15日には酸素吸入1L/分に下げられていた(飽和度としては中止でもいいくらい)。肺炎は軽快した。
インフルエンザ肺炎は、相当前に1例だけ当院であった。当直医から夜間に連絡が来た。インフルエンザの患者さんで菱倉杯にすりガラス陰影が広がっていて、酸素10L/分でも飽和度が90%に満たないという。
当院では到底対応できないので、すぐに呼吸器センターのある専門病院に救急搬送してもらった。後で聞いた話では、その日家族にはダメもしれないと厳しくいわれたが、幸いに助かったそうだ。
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