なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

複雑性尿路感染症

2021年12月03日 | Weblog

 火曜日に67歳男性が救急搬入された。知的障害があり、障害者施設に入所している。施設内で倒れているのを職員が発見して救急要請していた。

 意識はあり、反応もふだんと変わらないようだ。1週間前にも倒れて、地域の基幹病院に救急搬入されたが、検査で異常がなかったらしい。時々倒れるのが続いているそうだ。

 精神科病院に通院していて、その件で処方されている抗てんかん薬と安定剤が少し減量されていた。βブロッカーが処方されていて、最初は高血圧症の処方かと思ったが、(本態性?)振戦の処方らしい。

 当院の泌尿器科外来にも通院していて、尿カテーテルが留置されている。前立腺肥大症による尿閉だった。6日前に受診して、尿カテーテルを交換している。尿培養が提出されていて、腸球菌(Enterococcus faecalis)・Morganella morganii・大腸菌ESBLが検出されていた。尿カテーテル留置にふさわしい?菌だった。

 さらに当院整形外科(大学病院からリウマチ専門医が来ている)に関節リウマチで通院していた。プレドニン5mg/日、メソトレキサートが処方されている。免疫不全の患者さんということになる。

 搬入時に血圧が90台だったが、それ以外はバイタルに問題はなかった。βブロッカーの効きすぎかもしれないと思った。体温が37.2℃と微妙にある。整形外科からトラムセット(アセトアミノフェン入り)が処方されているので、発熱がマスクされている可能性がある。

 検査で白血球18800(ふだんは8000くらい)・CRP17.9と炎症反応が上昇していた。肺炎か尿路感染症が疑われた。胸腹部CTで明らかな肺炎はなかった(右肺下肺野背側に浸潤影?)。

 膀胱壁はかなり肥厚して、膀胱の右側に憩室様に張り出した部分があった。前立腺は肥大している。血清が91ng/mlと上昇していた。前立腺癌か今回急性細菌性前立腺炎を来しているのを反映しているのかもしれない(抗菌薬投与後の再検を要する)。

 尿培養を提出するのにカテーテルを入れ替えて採取さしたが、肉眼的には案外きれいだった。それでも尿検査では混濁(膿尿)していた。血液培養2セットは両肘の静脈から簡単に採取できた。

 血圧が少し低下しているのは、案外敗血症性ショックなのだろうか。患者さんから重症感は伝わってこなかったが。

 前回の尿培養を参考にESBLカバーのカルバペネム(メロペネム)で開始した。入院後は食事摂取もよくなり、当初からないが、重症感はない。(バンコマイシンの投与は見合わせた)

 今回の尿培養からは、腸球菌(Enterococcus faecalis)・緑膿菌・大腸菌ESBLが検出された。血液培養からグアム陰性桿菌が検出されている。菌名はまだだが、検査室では大腸菌ESBLではないかと言っていた。

 

 

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