水曜日の午後に腹痛の63歳男性が内科外来を受診した。12月半ばから腹痛(訴えは下腹部)があり、内科クリニックを受診していた。血液検査で異常がなく、整腸剤のみ処方されていた。
症状が続いて、来週当院の消化器科外来に紹介されていた。症状が続くので、その前に直接受診してきた、という経緯だった。病院の外来は午前中だけなので、内科の若い先生が呼ばれて診察した。
腹部CTで膵臓に腫瘤があった。肺野にも小結節病変が散在している。どうしましょうかと相談された。単純CTだけだったので、型通り造影CTを追加して、腫瘍マーカーも提出してもらった。
腫瘍マーカーはCEAが6.3、CA19-9が208と上昇していた。膵癌で矛盾はない。肺の結節影は転移となる。
造影CTをみると、膵体部から尾部にかけて低濃度の腫瘤がある。一瞬これは膵管?と思ったが、違うだろう。膵癌でいいのかもしれいが、形態がなんだか変だ。
放射線科医(非常勤)が来ていたので、読影してもらった。最初は膵癌と肺転移と読影されたが、その後連絡がきて、膵臓に関してはIgG4関連疾患やリンパ腫も疑われるという。
診断・治療については当院の手に余るので、がんセンターに紹介してもらうことにした。
腹痛の程度が軽度ならば、原因不明でも数日でそのまま治ることも多いので、経過観察でいいと思う。腹痛が1週間程度で良くならなければ、CT・内視鏡で検査するしかない。
肺疾患は胸部CTがなくても胸部X線でかなりわかるが、腹部単純X線は腸閉塞や遊離ガス以外はほとんどわからない。クリニックでもできる腹部エコーを加えれば、肝胆道系・腎臓の疾患はわかるが、膵臓・消化管は難しい。長引く腹痛はCT・内視鏡ができる病院でないと診断はできない。
例えばCTでは確認が難しい
炎症を来した大腸憩室そのものも検出できますし・・・