日曜日の午前9時過ぎ90歳女性が救急外来に搬入された。前日に嘔吐して、嘔気が続いているという訴えだった。腹痛は訴えなかった。内科の日直は外部の先生だった。
腹部は平坦・軟で圧痛はなしと判断された。血液検査で白血球数7300と増加はなかった。肝機能・腎機能・電解質は正常域にある。CRP検査は抜けたようだ。吐き気止めを処方して帰宅としていた。
同じ患者さんが午後11時過ぎにまた救急搬入された。今度は右上腹部痛を訴えていた。同部位に圧痛を認めていた。血液検査では白血球12400、CRP12.5と炎症反応の上昇があった。肝機能検査はやはり正常域にあった。
腹部CTで胆嚢が著しく腫大して壁肥厚もあり、内腔に複数の結石があった。胆嚢周囲に腹水貯留を認める。胆嚢結石・急性胆嚢炎だった。総胆管結石は肝機能正常からはなさそうだ。外科の当直だった常勤医が診察して、外科で入院となった。意識は清明で、バイタルは安定している。
今日の昼に外科医に訊くと、午前中にMRCPを行って総胆管結石がないことを確認したそうだ。患者さんは認知症もなく、バイタルに問題ないので、午後から緊急手術をする予定になった。後で、内科の先生(元外科医)に画像を見てもらうと、術後管理が大変かもと言われた。
胆嚢炎では肝機能がまったく正常でわからないこともある。この患者さんは以前の検査で、白血球3000~5000なので、後で見ると7300は上昇していた。CRPが抜けていなければ、5~10くらいの値を呈していたかもしれない。結果がわかってからなので、何とでもいえるが。
高齢者の救急外来受診時は頭部CT・胸腹部CT・心電図をセットでとってしまうのも好ましくないが、何だかわからない時にはけっこうやっている(これも、高齢者用の一種の「破れかぶれセット」)。
(後日記)
手術をした外科医に訊くと、胆嚢が頸部で捻転していいたそうだ。胆石・胆嚢炎で胆嚢が腫脹したことによって、二次的に捻転したのではないかという。その目で見ると、胆嚢壁はあまり造影されていなかった。
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