11月2日水曜日に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の87歳男性が保健所の依頼で入院した。当院の神経内科に脊髄小脳変性症で通院していた。
10月31日月曜日から発熱(微熱)・咳があり、翌日11月1日に近くの医院を受診した。抗原定性検査だと思うが、COVID-19と診断されて、抗ウイルス薬のラゲブリオが処方されていた。
保健所では、神経疾患があり、入院治療が必要と判断した。翌日に当院の感染病床が1床空くのを見越して、入院が依頼されていた。
入院してきてカルテを確認すると、3年前に入院歴があり、当方が担当していた。原因不明の筋炎だった。
3年前に日曜日の早朝に脱力で救急搬入されていた。土曜日の日当直で来ていた外科医(大学病院からバイト)が対応した。38℃の発熱があり、白血球14900・CRP1.8と炎症反応が上昇していた。
胸部CTで両側肺下肺野背側にすりガラス様の陰影が写っていた。カルテには「軽度の肺炎か」とあり、点滴・抗菌薬投与を行って、「来院後は顔色が良くなった」として帰宅にしていた。
その日の午後に再度脱力で救急搬入された。日直は循環器科医(当時はいた)だった。再度検査して、白血球21600・CRP11.9と半日の間隔で急激に上昇していた。さらにCK 12100・AST 213・LDH 420と筋原性酵素が上昇していた。(最初に搬入時はCK 133)
「肺炎ははっきりしない、尿もきれい」として、「本日は補液・ロセフィンで経過みる。リピトール内服しており、中止する」としていた。内科入院の依頼がきて、その日の指示は出してくれた。血液培養2セット・尿培養を提出してもらった。
入院後もその方針で経過をみたが、炎症反応・筋原性酵素上昇は軽快しなかった。多発筋炎のマーカーは陰性だった。培養は陰性で、胸部CTの所見は背側に水分貯留としての陰影らしかった。
プレドニン20mg/日から開始すると、発熱(微熱)・炎症反応・筋原性酵素上昇は軽快していった。プレドニンを漸減していたので、2か月弱の入院となった。プレドニン5mg/日になったところで退院として、神経内科の外来で1mgずつ漸減してもらうことにした。(数か月で漸減中止になっていた)
今回も入院時の検査でCKが7000と上昇していたが、レムデシビル点滴静注と補液を開始して(入院時、嚥下困難・内服困難)、11月4日の再検でCKが4000と低下して、炎症反応も軽減してきた。
ウイルス感染の影響で一過性に上昇してだけなのかもしれないが、経過をみないと安心はできない。