月曜日は病棟のCOVID-19患者発生で忙しかった。夕方内科外来を診ていた先生(大学病院総合診療科)から誤嚥性肺炎の88歳女性を入院させたいと連絡がきた。
急性期病棟の看護師長さんに連絡すると、まあ仕方ないですねと、引き受けれくれた。コロナの発生した病棟の分も診ることになったので、やりくりが大変なのだった。
患者さんは認知症でグループホームに入所していた。前日に昼に嘔吐して、その後は食事摂取が低下して、その日の昼から発熱があった。コロナ・インフルエンザの検査は陰性だった。
左下肺野背側に浸潤影を認めていた。腰曲がりがあり、食道裂孔ヘルニアを呈している。嘔吐からの誤嚥性肺炎発症ということでいいのだろう。
外来のベットにおとなしく寝ていたが、以前の入院歴を診ると、認知症の不穏(言動)がひどかったようだ。入院すると、両手にミトンがされていた。
この患者さんは2015年に、肝機能障害(黄疸も)で内科クリニックから当院消化器科に紹介されていた。AST・ALTが1000ちょっとで血清ビリルビンは3程度だった。画像検査では多発性肝嚢胞があるが、胆道系は異常がなかった。
抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体が両方とも陽性(数値は明らかな陽性)で、自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎の併発と診断された。プレドニン30mg/日から開始して(ウルソも併用)、肝機能障害は改善している。
プレドニンは7.5mg/日以下にすると肝機能障害が再燃して、現在は10mg/日になっていた。身長142cm・体重40kgなので、それなりの量になり、免疫抑制状態だった。
患者数削減のため、内科クリニックに逆紹介していた。しかし2018年に大腿ヘルニアで当院外科(当時)に入院して、その時からはまた当院消化器科外来に通院となっていた。
今回は嘔吐による誤嚥で、これまでご誤嚥性肺炎で入院したことはなかった。処方薬は問題なく内服できるので、翌日昼から食事を開始することにした。食後ある程度座位に近い姿勢を保たないとまた嘔吐する可能性があり、注意は必要だ。