ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

一段階下、でも・・・・

2017年11月11日 02時51分10秒 | ワインの事
特にフランスを中心とするワインでは原産地呼称法で、ワインの「それなりの」成り立ちを表しています。

同じボルドーのワインでも大きなボルドー地方の呼称、少し小さ目のメドック呼称、更にその一部のオーメドック呼称、そして村単位の=例えばポーイヤック村呼称。

ブルゴーニュでも同様の原産地の仕組みがあります。

大きな産地呼称の方が規定が緩く、狭くなるほど厳しくなる。

よって小さな呼称のワインは段階的に高いわけです。

そこで意味することは収穫量や、その時点での糖度が高いものを求められる小さな呼称のワインは「より濃い」ことを意味します。

大きな呼称の場合は薄い、とも言えます。

ですから、より小さな呼称を揃えることで満足度が上がる・・・・・・と考えがちですね。


しかし、求める味わいがそこにあるのか?というと意外にそうでもないのです。

特に温暖な年は昔のワインより明らかに「太っちょ」で「アルコールが高め」で「タンニンが若いうちから円やか」だったりするわけです。

「丁度良いスマートな」「アルコールが程よく」「長期熟成に耐える強固なタンニン」を求めてもない、という事になるわけです。


では安い「大きな呼称」のワインにそれがあるかと言えば「すべてが揃うわけではないが、割と希望を満たしている」という事が多いようです。

例えばブルゴーニュの村名のワインは以前に比べて豊かで、重くはないものの、香りも華やいで酸がしっかりあり、しかし果実も充分。

上のクラスの一級畑、特急畑で「アレ?締まりがない」とか「果実味が勝ちすぎて酸がない」という時は一段階下のものを試してみるのも手、なのです。

お若い方の場合は「過去の体験」がない分、原産地呼称そのままでも大丈夫なのかもしれませんが、50歳前後の方が「20歳代からワインを飲んでいる」というような場合に有効です。
過去の味わいや香りの記憶と比較してしまうのは当然のことですね。


高いワインが良いわけではない、とは正にこういう事態に当てはまります。

格や呼称は「美味しさ」を表すのではない。


憶えておいて欲しい事柄です。


             樋口誠