「茗荷谷の猫」を読んでから木内昇の本を順繰りに読んでいる
先日図書館に行った時に棚から選んだのはこの一冊
幕末維新を題材にした短編連作小説
学生時代に新選組にのめり込んだことがある
鞍馬天狗で育った私は残虐非道な新選組がおっかなかった
だが悪役だったおっかない新選組には鞍馬天狗では出てこなかった物語もあり、
それに惹かれて、むさぼるように次から次へと読んだ
何かがきっかけで熱が冷めたようになったが、
息子のおかげで京都をそぞろ回るようになって、物語として知っている場所が現実にあって、
彼らが歩いた道を私が歩いていると…なかなか感激して歩いていたのです
木内昇は維新を題材にした作品で世に出たというし、
そういう私の前歴も含めてこの一冊を楽しんで読んでいる、そして、
今日であった一文に…なんとも言えない感想をもってしまい、
まだ全部を読み切っていないにもかかわらず、ついついここにあげてしまった
第三章といっていいのだろうか?
「春疾風」と題された50ページほどの短編
高杉晋作に惹かれる芸子君尾が、それを隠して長州藩士井上聞多と、
高杉の話をしている場面で出てきた
合点のいかぬことに我慢がならぬと井上に評された高杉を
子どもの頃から同じように大人にお小言を言われた君尾が、
「人の世というのは、追従と気働きでのし上がった日和見が取り仕切るのが常どす。そないな
世で筋を通すのは難儀や」
というと、
一事が万事算盤尽くで、京商人よりえげつないという長州っぽの井上がこう答える
「そねえな世はもう終いじゃ。わしら長州の手えで終いにしちゃるんじゃ」
明治維新……主に薩長土肥の若い志士たちが熱い思いを胸に、夢を抱いて行動し、実現したのだ
あの熱が無ければ、今、日本はどうなっていただろうと思う…それが、
決まった総理大臣は秋田出身でたたき上げを売りにしているが、
前の総理大臣は山口県でですよね……新総理大臣は長いことこの人の番頭をやってきている…
ふううう、無派閥といっているのに派閥の後押しで決まった総理大臣…わけわからない
今は"忖度"というが、君尾の言葉の"追従と気働き"と同じだろう
わしら長州の手えで終いにしちゃるんじゃ……
この頃思うのですよ、あの維新で命をかけて行動した若い志士たちが夢見たのは
どんな世の中だったのか???
これで大丈夫ですか? これを彼らは目指していたのかしら?
書き連ねたらほっとしました 続きを安心して読みます