社会科学上の不満

政治・経済上の不満のハケ口(左翼出入り禁止)
外交と防衛、歴史と現状についての不満のハケ口。(観念論の方は出入り禁止)

孫子は反戦思想

2015-07-25 00:01:51 | 外交と防衛

 兵法も「孫子」は反戦思想により生まれた、と言うと多くの方が驚く。しかし「孫子」の始めの一節は「兵は国家の大事なり」であり、軍事力を軽々しく扱うことを戒めている。

 そして「戦わずして勝つことこそ最上」としている。次に戦う時も「短期決戦」を求めている。ダラダラと長く戦が続くと国力が衰え、民が苦労する。戦う以上短期で勝利すれば民の困窮は避けられる。

 その孫子に「堅塞と言えども戦を否定する思想が蔓延すれば要をなさない」と必要以上の「平和主義」を戒める一説もある。2500年以上の風雪に耐え生き残った思想だ。高々数十年の「平和主義」など寝言に過ぎない。

 政治家は理想も大切だが、現実の対応能力に一番の力量を求められる。民主主義国家の国民が国家に権力を与える根幹は「国民の生命と財産の保護」である。これが出来ない政党は国民の支持が離れていく。当然のことである。日本国民は理屈ではなくその臭いをかぎ分けるのが上手い。

 明治の文豪、森鴎外は夏目漱石に比べて評価が低い。陸軍軍医総監で叙勲までされても森鴎外の評価は低い。日露戦争の陸軍の戦死者の内約6割が脚気による死亡である。エリートでドイツ留学経験のある森鴎外は「麦飯が脚気を予防する」との経験則を「ドイツでもそんなことは聞いたことがない」と麦飯の陸軍への普及に反対した。当時医療NO.1と言われたドイツへの国費留学のプライドが許せなかったのであろう。片や海軍は麦飯を採用していた、戦死者で脚気による者は1人もいなかった。日露戦争後森鴎外は文壇に逃げ込んだ。

 故に幾ら学者先生や官僚が森鴎外を持ち上げようが、庶民は徹底的に森鴎外を無視した。文豪の話題が出ると夏目漱石を持ち上げた。

 社会党や民主党をマスコミがどんなに肩を持とうが日本国民にはこのような気質が備わっている。オウム事件の対応や阪神淡路大震災の対応、北朝鮮拉致の実態の証明で社会党は崩壊した。同様に、尖閣ビデオ問題や東北大震災や福島原発の対応、超円高による国民の経済の崩壊と民主党が「政治ができない」ことを露呈してしまった。「国民の生命と財産の保護」を蔑ろにした民主党。言い訳は良い、実績が示した。

 今回の「有事法制反対」はまた国際社会が不良学生の世界と似ているとの観点が喪失している。自分の身は自分で護る、その時仲間が居たほうが護りやすい、故に同盟を締結するわけである。

 何かと直ぐに「徴兵」を出して論理的思考を崩そうとしているのが見え見えであるが、G7の国や露・中でさえ徴兵制ではなく志願制である。現代戦の武器は2~3年の修練度では戦場では使えないのである。祖国の韓国が徴兵であるためそう騒ぐのであろう。因みに朝鮮半島は「休戦」中である。「終戦」と「休戦」とは全く異なる。

 鬼ごっこに例えると、「終戦」は鬼ごっこ終わり、「休戦」はタイム、といった状況である。朝鮮半島は現在戦闘が「タイム」の情況である。何時戦闘再開しても可笑しくはない。現実に昨年北の金第一書記が「休戦協定の破棄」を宣言している。

 中国は南シナ海や株価暴落により株式売買禁止処置など国際法など護る意識がない。そのような国が隣国にあって「平和」「9条」「戦争反対」と叫べば現実の戦闘に巻き込まれないと考えているお花畑の方が意外に多いことに驚く。

 戦争に巻き込まれないようにするには、「こちらに手を出すと痛い目に遭う」と相手がわかることが大切であり、これを「抑止力」と言う。孫子の時代から言われていることでもある。2500年も生き残った思想に、惻隠の情程度の「平和主義」で本当に「『平和』を護れる」と考えているのであろうか?困ったものだ。

 因みにサイバー空間での戦争は既に始まっている。年金機構のデータ流出がそれである。FBIが中国の仕業と発表している、この件を報じた日本のマスコミはあるのかな?

コメント (2)
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