酒酒楽楽

酒店のオバちゃんが、商工会活動や家族のことなどをマイペースで綴っていきます。

昭和55年のクリスマス豪雪(5)最終章

2007-12-24 13:45:22 | クリスマス豪雪

            

メリークリスマス!

昭和55年の記録的な豪雪もクリスマスイブの話です。
「久しぶりにホワイトクリスマスだね~」と喜んだのも束の間でした。
ロマンチックな夢は消え、町中真っ暗なクリスマスになったのです。

例の外車ですか?
それはそれは丁重に扱わせていただきましたよ。
いつ持ち主が戻られても良いように、
降りしきる雪を車に傷がつかないよう静かに払い、
そして、外車の周りもすぐに出やすいように雪かきをして・・・


(5)最終章
完全武装して出て行く夫を、私は2階の窓から見送りました。
雪道を2キロメートル先まで歩いていくには、
相当の時間がかかると予想されます。
こんなわけで、より一層不安が募りました。

私は冷たい布団の中でただ一人まんじりともせず、夫の帰りを待ちました。
テレビも見れないので寝てるしか方法がありません。

どのくらい経ったでしょう?
うとうととしていると、玄関が開き、夫が帰ってきました。
愛車コロナは、ようやく無事に我が家へ帰ってきたのです。
深々と雪の降る真夜中のことでした。


それから3、4日して、道路の雪も駐車場の雪もほとんど消えた頃、
外車の持ち主から車を取りに来る旨の連絡がありました。

そのとき、恥ずかしながらある期待を持つ私がいました。
「いわきの人だから、活きの良いお魚のおみやげがあるかもしれない」
「いわきの名物、じゃんがらでもいいかな~」

電話の内容によると、我が家へ到着する頃はもう暗くなっているはずです。
お出でになったら先ず温かいコタツに入ってもらおう。
熱いお茶を入れてあげよう。
それから、話も聞きたい。
福島から帰る途中にどんなことがあったのか?
何故車を置いて行ったのか?
いわきまでどのようにして帰って行ったのか?

さて、もう辺りは真っ暗です。
街灯も看板の電気も点きませんから本当に真っ暗です。
地元の人なら感で分かりますが、土地勘のない人は何を目標に来るのでしょう。
心配になった私たち夫婦は、軽トラのライトを国道側に向けて
道路を照らしながらその人の到着を待ちました。

私も夫と二人で軽トラの中で待っていましたが、
何か思いつくことがあり、家の中に戻りました。
すると数分して、夫も家に入り玄関の鍵を閉める音がしました。

「あら?どうしたの?」
「うん、帰った」
「ええっ、もう帰ったの?」

実にあっけない幕切れでした。
用意していた温かいコタツもお茶も無駄になってしまいました。
詳しい話も聞けませんでした。

夫は知らない人に対して無愛想です。
私も外にいれば、こんなことにならなかったかもしれません。
中に入ったことが悔やまれましたが、もう後の祭りです。

欲を言えば、
私たち家族にも一言お礼を言ってもらえれば・・・と思いました。


<クイズの解答>
豪雪は膝上までありました。
50センチメートル前後です。
中通り地方には、このような大雪が降ることはめったにありません。
ですから、大雪に対しての備えがないのです。
備えがない故に、50センチメートルぐらいで慌ててしまいます。
備えがない故に、交通が麻痺してしまいます。

電気が点いたのは約一週間後でした。



拙い文章を読んでくださりありがとうございました。
長い間、胸の奥にしまっておいたものを
何らかの形で吐き出したいと思っておりましたが、
ようやくこんな形で表現することが出来ました。

これで、「昭和55年のクリスマス豪雪」は終了です。
皆様の感想をお聞かせいただければ幸せに思います。


P.S
今日は、27年前のクリスマスイブとは違います。
寒さは厳しいですが、雪は降っていません。
そして、嬉しいことにサンタがやってくるような気配がするのです。
我が家では久しぶりのことです。


2006年のクリスマスイブ「Merry Christmas!!」