福島県は、住民の安全を守るために県内に常設された13力所で被曝スクリーニングを実施している。この保健所はぞの一つ。調査員は、中部電力からの応援組だという。私か調査場所に立つと、調査員2人が前後から検出器を使って頭から足裏まで放射線値を測定した。別の一人はカメラの放射線値を入念に調べた。
県が設定した基準値によると、1万3千CPM(検出器が1分間に感知した放射線の数)以上、10万CPM未満の数値が検出されると、ふき取りなどの部分除染が行われ、10万CPM以上で全身洗浄となる。
原発前まで行った私にどんな数値が出るのか、正直不安だった。測定の結果、靴底が一番高い値3千CPMだった。スクリーニングを終えた証明書を手渡された。ホッとした。
保健所から出るときに職員から聞いた。「証明書を持っていないために、県内外の介護施設への入所を断られたり、病院から受け入れ拒否にあうなどの事例が起きています。大切に保管してください」
目を疑ったメモの中身
その後、原子力安全・保安院のものだというメモを見ることができた。中身を見て、自分の目を疑った。
メモにはこうあった。「状況 さきほど東電責任者。112号 ききてき、 1812 ねんりようぼうろしつ、2020 ろしんようゆう、2030 かくのうようきそんしょうの可能性、2222以降 メルトダウン。ベンドはつかえる様になったか。流水は少し、入れはじめたが余談を許さない。しかし 事態は重大、きき的。最悪の事態を前提に対策をたてる」
誰のメモなのかはわからない。ただ、文面はひらがなが多く、「予断」を「余談」と書き間違えてもいる。
文字が震えていて、一文字一文字から、暴走を始めた原子炉を前にした緊張感が伝わってくる。
実際、福島第一原発は14日に緊急事態に陥った。午後6時22分から原子炉内に海水の注入を始め、午後8時37分から放射性物質を含む水蒸気を外部に放出した。午後H時前後に、蒸気排出弁(ベンド)が閉まった。人手したメモと状況は合致している。
問題なのは、このメモの内容が私たちに正確に伝わっているかだ。
枝野幸男官房長官は14日夜の会見で、炉心溶融について、「可能性は高い」ど述べた。ところが、東電と保安院は、いまも福島第一原発の炉心については「炉心損傷」と表現し、「溶融」や 「メルトダウン」とは明言していない。
もちろん、このメモがどこまで正確な情報なのかはわからない。仮に保安院の検査官が書いたメモだとすれば、東電も保安院もそのような認識を共有していた時期があった可能性はある。
政府の発表した原発事故の情報に疑いの目を向ける人は少なくない。海外からも、日本政府は信用できないと思われている。
今回、原発前まで行って、情報公開はやはり不十分であることがよくわかった。
いまは、国民の安全が脅かされている緊急時だ。情報を包み隠さず、わかりやすく知らせることが何よりも大切だろう。
県が設定した基準値によると、1万3千CPM(検出器が1分間に感知した放射線の数)以上、10万CPM未満の数値が検出されると、ふき取りなどの部分除染が行われ、10万CPM以上で全身洗浄となる。
原発前まで行った私にどんな数値が出るのか、正直不安だった。測定の結果、靴底が一番高い値3千CPMだった。スクリーニングを終えた証明書を手渡された。ホッとした。
保健所から出るときに職員から聞いた。「証明書を持っていないために、県内外の介護施設への入所を断られたり、病院から受け入れ拒否にあうなどの事例が起きています。大切に保管してください」
目を疑ったメモの中身
その後、原子力安全・保安院のものだというメモを見ることができた。中身を見て、自分の目を疑った。
メモにはこうあった。「状況 さきほど東電責任者。112号 ききてき、 1812 ねんりようぼうろしつ、2020 ろしんようゆう、2030 かくのうようきそんしょうの可能性、2222以降 メルトダウン。ベンドはつかえる様になったか。流水は少し、入れはじめたが余談を許さない。しかし 事態は重大、きき的。最悪の事態を前提に対策をたてる」
誰のメモなのかはわからない。ただ、文面はひらがなが多く、「予断」を「余談」と書き間違えてもいる。
文字が震えていて、一文字一文字から、暴走を始めた原子炉を前にした緊張感が伝わってくる。
実際、福島第一原発は14日に緊急事態に陥った。午後6時22分から原子炉内に海水の注入を始め、午後8時37分から放射性物質を含む水蒸気を外部に放出した。午後H時前後に、蒸気排出弁(ベンド)が閉まった。人手したメモと状況は合致している。
問題なのは、このメモの内容が私たちに正確に伝わっているかだ。
枝野幸男官房長官は14日夜の会見で、炉心溶融について、「可能性は高い」ど述べた。ところが、東電と保安院は、いまも福島第一原発の炉心については「炉心損傷」と表現し、「溶融」や 「メルトダウン」とは明言していない。
もちろん、このメモがどこまで正確な情報なのかはわからない。仮に保安院の検査官が書いたメモだとすれば、東電も保安院もそのような認識を共有していた時期があった可能性はある。
政府の発表した原発事故の情報に疑いの目を向ける人は少なくない。海外からも、日本政府は信用できないと思われている。
今回、原発前まで行って、情報公開はやはり不十分であることがよくわかった。
いまは、国民の安全が脅かされている緊急時だ。情報を包み隠さず、わかりやすく知らせることが何よりも大切だろう。