意思決定の過程見えない 文中黒字化は芥川。
南ドイツ新聞(ドイツ) クリストフ・ナイハード氏
日本政府の情報公開が不誠実だとか、うそをついているとは思わない。ただ当初は事態が深刻で、適切に対処できなかったのではないか。情報を十分分析できていたのか、わからない。その対応の遅さは、意思決定のプロセスも一因と思う。そもそも日本の政治では、誰が決定をしているかがわかりにくい。
日本では、政府の中枢を取り囲んでいるのは、東京電力、原子力安全・保安院、原子力安全委員会を含め、原発を推進する立場の人間ばかりで、反対意見を述べる人がいない。日本人は議論を好まないのかもしれないが、ドイツであれば、推進派だけでなく反対派も声を上げ、メディアも双方の意見を併記するだろう。
首相の指導力不足あらわ
東亜日報(韓国) 尹鍾求(ユン・ジョング)氏
韓国は大統領制で、トップの権限が大きい。同じことが起きれば、もっと強いリーダーシップを発揮し、早く意思決定をしただろう。菅直人首相が東京電力や自衛隊に指導力を発揮できないように見えたのには驚いた。日本政府が原子炉の冷却のために自衛隊を出動させるまで時間がかかったが、隊員の安全が理由だとしたら、韓国では考えられないことだ。
一方で、震災での日本人の対応は落ち着いていて素晴らしかった。永が不足しても便乗値上げをしないし、客も1人工本という注意書きに従う。これが日本かと感動した。日本のメディアは今回、抑制的だ。韓国なら世論もメディアも、もっと激しく政府や東電を追及するだろう。
日本人の強さに驚き
CNN(米国) キョン・ラ氏
原発事故への対処では、国際社会の期待と比べて日本の対応は遅かった。米国で昨年起きたトヨタ自動車のリコール問題でも、初期の対応の遅さや情報発信に批判が起きた。日本と欧米の文化の違いかもしれない。どちらが正しいかわからない。すべての外国特派員は日本の強さに驚いたはずだ。津波は被災地の建物を破壊したが、日本の文化、社会の道徳、品行方正さは失われなかった。
欧米社会では日本の「出る杭は打たれるIというような考えは理解しにくい。ただ、今回のような危機のなかでは、日本人の考え方はうまく機能すると思った。避難所で人々は協力し、共に強くあり続けようとしていた。
原発事故の認識甘い
フェニックス・テレビ(香港) 李森(リ・ミャオ)氏
原発事故について、東京電力、原子力安全・保安院、官房長官がそれぞれ毎日説明をしているが、なぜ一括して発信しないのか不思議だ。官邸が全体をコントロールできているのか、正直わからない。
放射能汚染水の海への流出は、視聴者の反応が非常に大きかった。原発事故は世界全体の関心事だということを日本政府が十分認識できていないと思う。海外の風評被害を減らしたければ、把握しているものをすべて公表し、十分説明するべきだ。日本人は地震があっても秩序を保ち、落ち着いていた。地震直後に職場から外に出たら、人々が静かに公衆電話に並び、誰も「先にかけさせて」と言っていなかったのが印象的だった。