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📷ストックフォト(画像素材)撮物帳📷 顔が怖い!?と話題の、あの「ソフトバンクの大学」広告バナーの赤ちゃんを調べてみた💗

2019年07月19日 | 日記

あらたに『ストックフォト撮物帳(とりものちょう)』というシリーズ記事を(不定期に)綴ることとした。バナー広告の原画探しネタは、女性が被写体のモノだけ『煩悩💗探検隊』シリーズで扱ってきたが、それ以外のテーマ画像全般にも拡げよう、という趣旨からである。

さて、一発目のターゲットは前出の別記事でも触れた《ソフトバンクの大学=サイバー大学》。

この学校のバナー広告にしばしば登場する「あの赤ちゃん」について、である。

おそらくは「多様性の受容を前面に、人種を特定させまい」との配慮だろう。使われた画像はモノクロ化された版ばかりだ。


 

が、あんまし(モノクロ化の)効果は発揮できてない。誰がどう見たって、写真の彼(彼女❔)は生粋の白色人種だ。大多数の日本人閲覧者には馴染みが薄い。…に加えて、顔つきが少しヘン。「薄気味悪い、怖い」と評する人が珍しくないのも、この赤ちゃんの「どこか違和感ある"不安定な"表情」ゆえだろう。

さらには、マウスや指で画像上を指したときに以下のごとく「白く照りつける」仕掛けの版も見られ、このときの顔のインパクトは「さらに気味悪い💦」的なオーラを増す。


まあフツーに考えて、このバナー広告のセンスは「極めて微妙」だ。見かけた瞬間に心地よさを覚える人は、まず少数派だろう。なぜ、広告主は「こんなオドロオドロしい画像」をわざわざ自校の宣伝に採用したのだろうか。

まったくの憶測になってしまうが、制作者はこの赤ちゃんの顔を単純に「びっくりしてる表情」とだけ感じ取り、「ソフトバンクが大学をつくっていたなんて!?」赤ん坊までがオドロいている=ユーモラスで人目を惹きつける、惹きつけてくれるに違いないと踏んだのだろう。

…しかし

だが基本的に、その発想は(あまりに)制作者個人の主観に過ぎた。

その致命的なボタンのかけ違いは、元画像のストックフォトの振られた表題に象徴的に見てとることができる。使われたストックフォトは世界的な大手配布業者《ゲッティイメージズ》さんの第「78766225」番

元はカラー画像で、彼もしくは彼女の眼は碧(あお)い


ちなみに、同社傘下の子会社《アマナイメージズ》さんのサイト上だと「11016013658番」の画像となる。 

版元の《ゲッティイメージズ》さんは、この画像にいかなる呼称を付しているか。答えは…

 > 今にも泣き出しそうな赤ちゃんA distressed baby ※distressedは苦悶する、の意)

…である。この子は決して「呑気にオドロいて」いたワケではないのだ。まだ幼い感情なりに、あるいは生来の生理的反応の結果、自分が今しも嫌な状況に遭っていることを察し、苦悩に顔をしかめているんである。情感的には極めて「ネガティブな一瞬を捉えた写真であり、ユーモラスな宣伝文句を添える1枚としては甚だ不適切なイメージ選択❕❕ なのであった。


● 付け加えて……余談の数々を覚え書き。

この素材フォトに写ってる赤ちゃんについて、もう少々判った情報を記しておこう。

まず《ゲッティイメージズ》さんに掲載された、同ーモデルの画像はこんな感じ外部リンク】。

撮った写真家(すなわち版権者)はロシア人。同国西部に散在する主要都市のひとつ、ヴォロネジを拠点に活動するウラジーミル・ゴドニク(Vladimir Godnik)氏その人である。…そう。この赤ちゃんはズバリ「ロシア人だった」ワケである この赤ちゃんは撮影時点でこそ、眼が碧いが、これは成人に近づくにつれ茶色に変化してゆく可能性が強い。

なぜなら、この子の両親(ふたりとも)が「碧い目の成人」ではないから。仮に碧い瞳を持ってるとしたら、それは父親だけだ。ネットを叩くと「青い目の形質は"劣勢遺伝"で、両親とも青くなければ目の青い子は産まれない」と、まことしやかに断言した掲示が数多くみられる。

が、どうやらこの『劣勢遺伝説』。例のごとくネットにはありがちな俗説の類いで100%正しいワケではないらしい。どうやら(学術上)劣勢遺伝するのは、"成人になるまで青い目のまま"の形質に限られた話だ。

成人となった本人の目が碧くなくとも、乳幼児期は瞳が碧かった……という人は(たとえばロシア人の場合)3~4割は存在する。親を遡った遺伝歴のどこかで一度でも「青い目の形質」を拾った人間は、生まれた時分だけ目が碧い…ということが珍しくないのだ。成人後も目が青い人を配偶者とした場合、日本人にさえ「碧い目の赤ちゃん」が生まれてくることがザラにある。

と、ここまで書いてきて読者の中には「青い碧いか、アオの漢字を統一しろよ」と不快になるかたもおいでだろう。だが、待ってくれ。これでも自分、一応「青」と「碧」の漢字を使い分けている。

「青」は、俗に「ブルーに見える色全般」のことで、「碧」や「ぐんじょう色」「青緑」も内包する広義のブルーを指す。一方の「碧」は昭和レトロなビー玉や海面の醸し出す色合いに典型的な、「深みのある藍色や紺色、青緑色」のことである。


鮮やかな青色とか水色の眼を持つ成人は、地球上では圧倒的に少数派で、数を減らしてきている。一方、ドイツ以東のスラブ民族には、過去に彼らと一度でも交配したことのある遺伝子が薄まりつつも浸透。確率上、ときには劣勢因子同士の掛け合わせが生じ「成人しても目の碧い人」をも産み出しながら、今の「3~4割の赤ちゃんが碧い目」という現代の状況を創り上げてきたのだった。

最後に、記事中盤で「仮に碧い瞳を持ってるとしたら、それは父親だけだ」と記した。その論拠としたのは、下掲のストックフォト。ここに(赤ちゃんを抱きかかえて)写っている女性を「実母と仮定」し、彼女の瞳が茶色いことに基づいている。


長くストックフォトで生計を立てている写真家なら、使っているモデルが産んだ乳児を(互いに築いた信頼のパイプを通じ)さらに「子役モデル」として使い続ける、ということは容易に考えられる。揺り籠から墓場まで、人生のあらゆる場面を視覚的に追っかけることこそが、洋の東西を問わず人物ストックフォトを撮る者の職業的使命なのである。

=了=


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