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中国の”新”宇宙ステーション『天和』の真実 ─── 旧ソ連末期の『ミール』を21世紀のハイテクで改装しただけ

2021年09月26日 | 日記

世間では、中国が「1国単独で宇宙ステーションを設営・運用する3番目の国になった」と報じられた。

その宇宙ステーション『天宮』は まだ未完成だ。現在軌道上にあるのは同ステーションの中核部(居住区)となるコアモジュール『天和』。先行して同国の中型貨物ロケット『長征5B』で打ち上げと軌道投入に成功していたが、最終分離された格納ロケット段の方は(地上管制の制御が効かぬまま)自然落下するに任せた💧ので”大顰蹙(ひんしゅく)な”時事ニュースとなった。皆さん まだご記憶だろう。

ヘッダー画像↑ は最終形として完成予定の『天宮』予想図。『天和』はこのうち、紅い中国旗が外壁に塗られてるユニットだ。

ユニットは さらに二つの区画から成る。コア"後方"=太い円筒部分が居住区↓ で、”前方”=細まって球状の五面ドックポートが付いてる部分がハブ(連結)区である。



実は、このステーション拡張構造デザインは1986年2月19日にコア・モジュールが打ち上げられたソ連製『ミール』の基本プランをまんま踏襲したものだ。モジュールをひと回り大きくしたのと、内装パーツをLED照明やカラー液晶ディスプレイなど(80年代に普及してない)新テクに置き換えたことを除けば、35年前から何も進歩していない。

中露間の宇宙開発協力合意に基づき、ロシアは「旧技術」= 『ミール』で試した基本プランの青写真を中国に売り渡した。宇宙進出のスピードUPを図りたい中国は、とにかく「取り急ぎ、自国でミール計画を"なぞり追い検証"しよう」と決めたのだった。


天和』の垢ぬけた室内(左)と、狭くて暗く配管の剥きだした『ミール』居住区内(右)


当時のソ連は(崩壊直前の)極貧状態で、ディスプレイ装置の民生品を連邦内で賄(まかな)うことなんか出来ない。あげくに (宇宙仕様に造られたのでもない一般家庭用の)SONYのビデオカメラや卓上パソコンなどを秋葉原から仕入れてきて、それを船内に備え付け代用してた。そりゃもう、掘っ立て小屋みたく雑然とするワケである

ミール(上)と天和』(下)、両コアモジュールの比較図


ミールの時は5つの追加モジュールを"タコ足"連結、
天和は設備が集積小型化し、2つの追加が当面目標だ





天和』↓ (手前部分)のお尻に連結されてるのは、無人の物資補給船『天舟
…早くも来年22年中には この規模になり、地上から肉眼でも視やすくなる。



以前の記事でも書いたが、中国航天は有人の『天舟』も近いうちに実用化して、いずれはアポロのようなカプセル型宇宙船『天舟』で月に中国人を送りたい考えだ。

しかしこの『天宮』計画に関する限り当面、要員の行き来は従来型の『神舟』(中国版ソユーズ)で賄(まかな)い、積載スペースに優る『天舟』は、物資運搬に限定しての運用となる模様。このことを見ても、あくまで『天宮』は中国版の『ミール』であり、月に向かう『天舟』の有人化や技術精度を上げるための「試験基地」であり、月に送る飛行士を長期宇宙滞在に慣れさせる「宇宙の実地訓練施設」なのだ、ということが窺(うかが)い知れよう。


日米欧が月着陸に向けては新・宇宙ステーションを建造する計画なのに対し、中国はこの’80年代『天宮』から’70年代の「中国版アポロ計画」に駒を遡行❕❔させ、中国単独での(月面との定期的な)有人往復を目論んでいるのだ。おそらくは。
=了=

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