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とばっちりイベントは、東京五輪だけではない。
2019年暮れに始まるコロナ禍の蔓延。香港の政乱。そして翌20年米国の社会分断による暴動騒ぎ。これら「悪夢3点セット」は、それ以前に別途……2019年に企画取材制作され2020年に公開(刊行)となった、多くの現代批判映画や報道、書籍が起こしたかった"ムーブメント"をも封殺してしまった。
目論んでいた話題性は奪われ、ネット上でもバズり損ねた。企画を思い立ったタイミングがたまたま悪かった、と言ってしまえばそれまでだが、それにしても恨めしい2020年の災禍ラッシュである。
そうした昨年の「不発
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映画ポスターは、ハンバーガーの形に伐採された森林。直接的には、南米アマゾン流域の原生林を指すらしい。そこに、キャッチコピー「地球の命が食い物に(Eating Our Planet Alive)」の白ヌキ文字…。
実はこの映画、アメリカ人が美味いハンバーガーを食うためにアマゾンの原生林を伐採させ、地球規模の温暖化が加速されている❕❔ という”異色の”警告ドキュメンタリーなのだ。現代人の食を、飢餓や資源の問題として扱った作品は多い。だけど環境問題として扱ったケースは、古来から行われてきた「焼畑農業」の功罪を問い糾(ただ)すモノくらいだった。
それが今なぜ「アメリカ人」で「ハンバーガー」なのか❔❔
米ドキュメンタリー映画『テイクアウト』予告トレイラ―
この映画が言いたい中身は、実は「ハンバーガー」それ自体ではなく「世界の牛肉消費量」のこと。これが毎年、増え続けている一番の原因が「世界人口が増えてること」よりも「アメリカの大手ハンバーガー・フランチャイザーが途上国へ進出し続けていること」にあり、だから「米国のハンバーガーが悪い」と結論づけているのだ。
ひとまず、ビーフパテに加工される牛肉こそが「世界で牛肉消費憎が止まらない」最大の要因、と認めとこう。
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なら牛肉消費が増えると森林が減るというトンデモな理屈は、どこから来るのか。
それは、下の「牛肉輸出シェア推移」から見て取ることができる。
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ご覧のとおり2020年時点、ビーフ輸出国のTOP5だけで世界需要の2/3を占める。
もっともインド、ブラジル、アルゼンチンなどの「ビーフ🐮大国ぶり」に、大半の日本人はピンと来ないかも。ぶっちゃけ(ブラジル産の鶏肉を除いては)まず日本の食品スーパーでは見かけない「産地」だからだ。
結論から言うと理由は単純、ズバリ豚や牛は「肉質=味がイマイチ」だから輸入されてない。特にインド産のものは食肉欲しさじゃなく、牛革を剥いだあと「余った肉」を周辺の貧しい国に売ってるにすぎない。そもそもインド人自身が、ほぼほぼ牛肉(どころか牛殺しさえ)NGな敬虔な人たち💧なんだから。
かと言って、その一方で従来からの「美味ビーフ大国」アメリカ、カナダ、オーストラリアなどは、世界トータルの需要=輸入量が増えてる割にはシェアを稼げてない。これは品質管理を徹底させた良品であればあるだけ、肉の価格も相応に高くなるせいと思われる。消費の増えてるアジア・アフリカの途上国では、おそらく値段的に折り合わないんである💧
そこに割って入ったのが、多少不味くても安い「中南米ビーフ大国」= ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイといった新興諸国。実は後発国のバーガーチェーンを支えている牛肉は、これらの生産国が担ってる(つか、米国フランチャイザーが担わせてる)。売れるとなれば生産を増やすことも、彼らにとっちゃ比較的容易だし。
さあ、いよいよここで「森林」の話に戻ってくる ───。
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中南米の畜産"シン・王国"が持つ地理的な共通項は、どこも広大な森林資源を持つことだ。それらの豊かな森林を無理くり伐採しちまえば、降り注ぐ陽光の恵みと降雨、肥沃な土壌だけが残る。
で結果、どーなるか❔
みるみる雑草や低木が生い茂り「あっちゅーまに」牧牛の餌場、すなわち天然の牧場が都合できちまう💧んだな。これが余りにもお手軽&オモシロいように稼げるってんで、身勝手な畜産業者たちによる樹々の乱伐が止まらなくなった。ゆえに逆の立場から言うなら、中南米に肉牛出荷の増量を焚きつける行為は、中南米の森を焼き払って地球丸ごと焦がしてしまえ❕ という悪魔の大号令👿にも等しいじゃないか
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けど、それは果たしてアメリカ人(だけ)のせいか??
そういう疑問も残る。まんまと米国ファーストフード界の繰り出す「誘惑のPR功勢」に乗せられ、バーガーチェーンを自国で展開しようと決めた現地人投資家に罪は無いのか。彼らは「詐欺師にダマされた出資者」と同列で、如何なる注意義務の怠慢も問われないのか。
つか何より、牛肉バーガーを食いたいと飢え群がってきた現地市民は無条件に「罪なき無垢な被害者」特恵で免罪されてて良いのか。どころか森を伐採しまくる畜産業者たち本人は❔ 彼らを何ひとつ咎(とが)めないで放っといて、そんなんが世の正義💧だとでも…❕❔❔❔
わたしは正直、過去何度も糾されてきた同様な「アメリカ社会に根差す原罪を暴くドキュメンタリ―」の訴えに対し抱いてきた疑念を(今回も)禁じ得ない。ダマくらかす米国企業のゼニ儲け主義も当然悪いが、ダマされる後発国の為政者や当事者らの神経もどうかと思えてしかたない。
情報の迅速な入手手段に乏しかった20世紀ならイザ知らず、きょうびハンバーガー屋が新規進出しようなんて国では
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それを「ダマしてる我々の同胞こそが真っ先に責められるべきだ
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…が。
ゆめゆめ忘れるでない、すべて「面=オモテ」には100%必ず「ウラ」がある。国際問題の責任のありかを(相手国の非を差し置いてでも)自分らに吹っかける自虐フェチな神経は、トドのつまり「他国民は自分らより遅れてて真実の理解力に乏しい。進んだ種族たる自分らが率先して模範を示し、彼らを清く正しい方向に導いてあげないと」という『うぬぼれた選民思想』の裏返しに過ぎん。
そこはさすが、建国思想の根幹に17世紀末の"尖りまくったカルト教義"たるピューリタニズム(清教徒主義)を色濃~く溶かし込んでるアメリカのことだ。常人(常国?)では窺い知れんほどの、全❕他国民族に対する優越感情と「はた迷惑な」啓蒙欲=「おせっかい根性」に首まで漬かってる。まるで自分たちこそが、世界の「清く誠実なる価値観の先端」を切り拓いてるのだ💧 とでも骨の髄から妄信し切ってるんだから。いやはや、ホントぉに困ったもんだ。
その手の、彼らが抱えた「潜在的かつ本質的な欠点、丸投げで任せとく危うさ」に関しては、日本語ネット上でも繰り返し提起されてきた。ひと記事だけ
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> アメリカという「狂信的な国」はどんなふうに生まれたか ─ 『現代ビジネス』(
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=了=
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