📷ストックフォト撮物帳📷 コロナウイルス"便乗"画像素材が猛威❕❔── どこまでが許されて、どこからがＮＧ(不謹慎)なのか。

目下の新型肺炎ウイルス禍が日々刻々とパンデミックへの歩みを強めていた、そんな先月＝2020年2月の中旬以降。世界各国の市民らが注視する最新ウイルス情報を伝える記事のなかに、急速に拡散し、織り込まれていった「一連のフォト画像」がある。

見れば医療用の青いゴム手袋をはめた手が、血液サンプルらしき試験管を１本携えている。試験管にはシールが貼られてて、「2019-nCoV」という記号の下に並ぶ「陽性」「陰性」のチェック欄…。すべて同じゴム手袋に試験管だが、撮影アングルには幾つかのバリエーションがある。うち３枚だけ、以下に転載しとこう。

© 2020 Thomson Reuters/Dado Ruvic


© 2020 Thomson Reuters/Dado Ruvic


© 2020 Thomson Reuters/Dado Ruvic

ちょっと考えれば、これらのフォト画像には"素朴な疑問"が沸いてくるだろう。

特に医療従事者になら、現実には「こんなシールをサンプルに貼るハズない💧」ことは明白だ。検尿カップだろと血液サンプルだろと、容器に必須な表示は被験者名、もしくは被験者を特定できるコード№なりバーコードシールだけ。何より、他人のサンプルと明確に区別することこそが最重要なのであって、何かの含有菌に対し陰性か陽性か❔ なんて分析テストの結果を、わざわざサンプルした試験管にまで遡って記入することは100％無い。

そう。

これら画像は、実際にウイルス検査の行われている医療現場で撮られたものじゃないのだ。試験管にトマトソースか何かを入れて、ゴム手袋をはめた"手タレ"モデルにポーズを付けさせて撮られた、架空の「イラストレーション・イメージ」なのである。報道メディアが自社の記事や番組に対し、あるいはレポート系チャンネルを営むユーチューバーなどが自分の動画コンテンツに対し、良く言えば視聴者や閲覧者のインデックス画像に、悪く言えば釣りサムネの素材に使ったりする。

その目的のためには第一に、パンピー庶民の眼から見て「キャッチーな🎵画像」でなくてはならん。この試験管のよーに、通常は貼られもしないシールを貼る"演出"もそのためだ。そして上掲の画像シリーズについては、"演出した"イメージの撮影者(作者)も明らかにされている。

この↑ 画像下の但し書きには、本作が報道写真ではなく、2020年 1月29日に英ロイター通信社の写真家Dado Ruvicが、記事の挿絵(illustration)用に演出/撮影した画像である旨、明記されていたのだ。

このように「読者（閲覧者、視聴者）の記事内容に対する概要把握を促すツール」として、このような「事実に基づかない架空の画像」を撮影したり掲載したりすることも、社会一般には許容されてる。しかし同時に、事実を伝えるべき報道機関が「事実でない画像」を掲載した放映したりする以上、その画像に故意に「煽るような脚色」「茶化すような演出」が加えられていてはならない。

先ほどの写真家 Ruvic氏は自身が老舗通信社の専属カメラマンであるがゆえ、そこの節度は遵守した上でのイラストレーション・イメージが撮れた。だが、報道関係者でない単なる撮影マニアやクリエイターらが自由に投稿できる「画像素材(フォトストック)販売サイト」では💧果たしてどうだろう。そこの節度は保たれ、不用意に「ウイルスの悪性を誇張したり、感染への恐怖を煽らない範囲で」画像を撮影＆編集できているだろうか❔

そこが、実際のところ怪しい。

まだしもPIXTAさんはじめ国内系のストックフォト業者（の投稿メンバー）は比較的、自制が効いている。日本人の多くには今も「他人の不幸や災いに乗じてカネを儲けるのは不謹慎」という罪悪感が健在だから❔ か、さほど露骨に、新型ウイルスの猛威を表現した画像の投稿ラッシュは起きていない。

しかし欧米系の画像素材のマーケットプレイスでは、その辺のモラルも投稿メンバーに丸投げなのか、基本的に「自制心がユルい」んである。中国湖北省でコロナコロナと騒がれ始めて以来、「潜在する恐怖心に肖(あやか)り、世間を騒がせたい買い手のニーズに応えよう」「先んじれば当たって売れる🎵」とばかり、嬉々として意気込んだ"作品"の投稿がワンサカ上がり出した。架空である以上、せめて現実の先に不安を湧かせる「よりセンセーショナルな見栄え」に凝らなくっちゃ💗 と前のめりになった連作画像がフツーに目立つ。

ことさら恐怖感や危険性を演出した画像↓ が目立つシャッターストック商品

© 2003-2020 Shutterstock, Inc.

この手の画像イメージ、いかにもデマ見え見えの「おチャラけたニュースサイトやYoutubeチャンネル」で使われてるうちは"社会への実害"も最小限と思うが、ヘタに悪意テンコ盛りのフェイクニュース・サイトや、カルト宗教系の（不安を煽って増幅させ放題な）入信誘導サイトなんぞに買ってかれたら性質(たち)が悪い。

ある程度の範囲までは、そこは販売サイト運営者の責任において全アップロード画像を"自主"検閲すべきなのではないかな。ニーズがあるから、といって好き放題に被写体を選ばせ、大衆を惑わすよう自由に演出させ、売れてくままバラ撒かせておけばいい、というモノではない。悪質な店子の不法販売を何日も放置し続ければ、電子モール主宰者をも運営責任を問われるのと、基本的には同じ理屈だ。

＝了＝

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