いまどき、「トレイラーハウス」なんて和製英語を使おうもんなら、齢(とし)がバレる。
欧米では単に「ちびハウス」と言う。つまり「タイニーハウス」だな英語的には。リーマンショック以降の米国では「タイニーハウス・ムーブメント」なる新たな"持ち家観"の流行りが起きた。
それまでの「モバイルホーム」と「タイニーハウス」の違いは、基本的に好景気な北米経済に支えられて「好きな場所に行って好きに働く(どこ行こうと働き口くらい見つかる)」って発想で移動式のマイホームを持つのか、「いつ失職するか一寸先も闇。必要最小限の固定経費で、つねに働き口のある場所を目指し続ける」と意を決し、生活をコンパクトに絞った移動ハウスに住むのか❔ の差である。
だから「タイニーハウス」愛好家らの間には、「モバイルホーム」オーナーには無かった「自宅の狭さを愛でる」という異次元の感性を備えてる。そこがアメリカ文化史の視点から見ても、キワだった一番の特色だ。
これが「トレイラーハウス」なんて古臭い日本語で言うと、日本人の耳にはむしろ「カネ持ち連中の道楽」にしか聞こえない。
だが米国社会で言う「タイニーハウス」ともなると、実質のブツは中国アリババから材料キット一式を通販で買う「持ち家の調達術」、となる。目下の実勢プライスは日本円で1軒160万円くらい。たしかに、終生のマイホームとしちゃ破格だ。価格帯といい求める品質レベルといい、完全に非正規ニートのための「マイホーム・プラン」である。
もっとも、あくまで「米国では」だ。
日本に住んでちゃ、そう甘くない。たしかに、家屋部分それ自体は(自分で組み立てるなら)160万円で足りる。けど建てる場所=所有地が無くてクルマで引っぱってく💧 つもりなら、けん引用の車台制作にも150万、さらにはけん引免許を取得するための受講&受験費が別途必要だ。そうなると持つクルマも中古の軽、なんてワケには行かない。相応の車格の4WD、たとえばハイラックスぐらいでないと、高速の緩く長い登りでもキツかろう。
ま、そこは仮に“引っ越し”だけプロの牽引業者に頼むとしたって、今度は最終的な(移動先の)接地箇所(土地の借用、電気の引き込み契約等々まで)ぜ~んぶ❕ 確定させといてからでないとどこにも動けず、そんなんじゃ実質、廉価なプレハブ住宅でも建てて暮らすのと大差なくなってしまう。やはりアメリカ式の「ちびハウス」は間取りも狭いが、オーナーへの道もまた、超❕ 狭くって厳しい💧 んであった。
ちなみに……北米ではすっかり定着した(フォロワー層を従える)ムーブメントなので、当然、その生活シーンを自ら発信したり取材することで収益を得て暮らすユーチューバーさんも幾人か登場している。遅まきながら日本でも今では何社か、タイニーハウス販売業者が(福井県の例)いらっしゃるようだ。
ちびハウス暮らしは(ときに)クサいんです