関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

平成が始まった時分の”景色”を振りかえってみた①新創刊誌 ───『100RON (月刊[ひゃく・ろん]) 』

2018年10月19日 | 日記

刻々と、平成が終りゆく。 来年の年明け以降はTV各社、「平成はこんな時代でした」的な回想番組やら特集コーナーが山のように企画されてることだろう。

だから、というワケではないが、わたしは「平成」をザックリ輪切りにするような世間一般の回顧じゃなく、ピンポイントの「現象・事象の景色」を切り取ってきて想い浮かぶ時代背景などを“あーだこーだ”と書き連ねてまいりたい。

今回は、その第1弾 ─── 題して《平成初期の創刊誌》篇っ。

ご存じの通り、平成はバブルの絶頂で始まり、長~い「下降と混迷の20年」の中で少子高齢化進み、今の「(好不況が入り混じる)格差社会の伸長」へと至る時代であった。 それはバブル末期の出版事情にも(すでに)兆しが見えていたように思う。

1990年代、まだネット社会が本格到来する前からすでに「若者の活字離れ」は盛んに言われていて、書店経営は(特に小店舗や零細層では)キビしさを増していた。 高度成長期はドル箱だった芸能系の主要月刊誌ですら、昭和の終りから発行部数の頭打ちや休刊の報がポツポツと伝わりはじめていた。

そんななか、何せバブル

世にカネだけは有り余ってたもんだから、短期で早々に休刊しちまう新雑誌も多い一方で、創刊ラッシュだけは止まなかった。 今となっては誰も憶えてないかのよーな、山ほどの月刊/隔月刊誌が昭和末期から平成初期、書店の雑誌コーナーの棚に「次々と目まぐるしく❕ 現われては消えて」いったのである。

かつて、わたしが別棟で紹介した隔月刊誌『INFAS』なんてのも昭和末期の刊。 今夜は別のマイナーな1冊、『100RON』をご紹介する。 日本語フリガナでは[ひゃく・ろん]。 わざわざ[ ](囲み角カッコ)なんか振ってるところにこだわりを匂わせますな。

で、[ひゃく・ろん]とは仏教書の『百論』とは関係なく、「100人に(毎月、決めたお題で)意見してもらいました」、という意味らしい。

だから❔❔ というよーな企画ではないか。 要は、さまざまな人の意見に耳を傾け、得るところは参考にするなり吸収して明日の生きる糧に……みたいな。 クダけた「随筆集」つか、TVの「コメンテーター雑談バラエティ」やAM深夜放送のテキスト・バージョンつか。

とは言え、この雑誌のターゲット読者である30~40代男性に深夜ラジオは(スタミナ的に)キツいし、TVバラエティには当時、ただゲストをズラっと並べて雑談する(きょうび乱立するよーな)トーク番組は存在しなかった。 だから「雑誌でやればウケる」と踏んでの企画だった❔のかもしれない。


毎月のテーマは(今にしてみれば)大別して3つに分けられる、明確な「主義」を核に据えていた。 ざっと並べると…

 恋愛・結婚に前向きの生きかたを❕ …… 女性が苦手な未婚男性へのエール
 クヨクヨすんな。元気に生きよう❕ …… ストレスの解消法、頭の切替え術
 君は君だ。世間になんか臆するな❕ …… 社会の中に埋もれぬ、我流の薦め

①から③まで、それぞれの相互関係も密接だ。

個別に見てくと①は、まさにブログ主の小生含め、バブル期こそが「結婚(女性)畏怖症の適齢期男性」の勃興期であり、恋愛する(=異性とSEX以外の日常で生活を共有する)のが精神的に過剰ストレスな、2018年になった今も結婚にアブれ続けてる生涯未婚男性層の元年なのだ。 この結婚マーケットに巻き起こった新風(もしくは異変)を肌で感じ取ったメディア関係者は大勢いて、1990~92年には独身OLの所得水準が飛躍的に向上した事実を受け、専業主婦願望の衰退傾向が進む中、「結婚しないオンナ、結婚できないオトコ」と題したトレンド分析企画が、時のTV&ラジオを介しても幾度となく報じられてたのは、あなたが昭和人なら(きっと❕)ご記憶であろう。

ただでさえ高齢化するニッポン社会が、この新風潮の追い討ちで「少子化スピードは否が応にも加速し近々、とんでもないコトになりかねない」という漠とした危機感は、平成が始まる時点で顕在のファクター(=多くの国民が周知の事実)に他ならなかった。 ゆえに『100RON』も先々を憂い、3カ月に1度は当該テーマを提起したんであろう。

……が。

大衆とは実に勝手のイイ連中で、世の深刻な面倒ごとは「ボヤいてEND、吠えて憂さ晴らし」つうパターンに終始してしまいがちだ。 同じように②と③も、30年後のブラック企業横行やパワハラ地獄を予見するに十分な、90年代当時の平均的な職場における主任・係長クラスが抱え込んでいた日々の鬱屈感を(僅かなりとも)癒せれば─── そんな想いがあったのだろう、とは偲ばれる。

こういう、世の流れに幾何(いくばく)かの楔(くさび)を打たんとする「ライト言論誌」を支えた出版元は、シップ・スタジオ(のちの小池書院)。主宰してたのは漫画劇作家の偉大なる重鎮、小池一夫だ。

小池先生と言えば『子連れ狼』と、同義語に見紛う代名詞のよーに語られるワケであるが、失礼ながら わたしは原作漫画としての『子連れ狼』をただの一度とて目にするコトもなく50歳を遠く越えてしまった。 それでも氏に(同世代人であった亡き父に勝るとも劣らぬホドの)俗っぽい親近感を抱くのは、かつて愛読していた成人漫画『実験人形ダミー・オスカー』『魔物語 愛しのベティ』の原作者さまでもいらっしゃるからだ。

この『100RON』は時期不詳だが、ほどなく休刊……どころか小池書院も破産手続きを開始(ウィキペディア日本語版)して久しいとか。

ちなみに編集長は、87年からスタジオ・シップのゴルフ雑誌『アルバトロス・ビュー』に関わっていた小池恵子氏。 小池書院は消えても同誌はそれ以前(2005年)に営業譲渡されていたので、転籍から十有余年、彼女は今やグローバルゴルフグループの出版事業部長である。
※文春『クレア』の編集長=小池敬子氏と似たお名前でゴッチャにされやすいが当然、別人。

漠とした現代人の不安や圧迫感の中、マンツーマンの「月刊誌という閲覧デバイス」を介して多くのオピニオンと繋がろう、繋がりたい ──。

そのニーズはバブルの喧騒の中から昂り生まれ、本格ネット社会が急成長する原動力の一端となった。 次の2000年代には「ネットで多くのオピニオンと出会える場所」として巨大掲示板が栄え、メンバー登録性に整理・編纂された交流サイトとして『mixi』を産んだ。 しかし、(一時代の寵児と騒がれた)ミクシィをしても「意見交流」の活力は失われつつある。 それ以前には『関心空間』『とな芝』といった交流サイトの閉鎖があり、次には『SNS疲れ』という用語も拡がっていたから、こうした末路は十年、二十年前から予見されてたと言えるかも。

とかく「つながりすぎ」は「周りの目を絶ちたい」という相反欲求と激しくせめぎ合うもので、後者を惹きつけているのが昨今のゲーム市場なのであろう。

そうしたネットワーク・ゲームには「神秘性」という誘引ファクターが在る。 スピルバーグ監督が『レディ・プレイヤー1』で描いた現実逃避社会の裏側にも「お宝さがし」が在った。 四半世紀前の『100RON』6号の飾り文句=「未知のパワー全開読本」もまた、同じ気分の高揚を謳っていたのではなかったか。 ちなみに、この号に案内された読者プレゼントは……スカラベのペンダント❕❔❕❔


いゃコレって、1992年暮れ当時だから「パワーグッズ」として通っただろうが、今の大人世代の多くはドン引きだろねえww

なぜって、わたしたちは1999年、ハリウッドのアクション大作映画『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』で「人喰い虫としてのスカラベ」という刷り込みを受けてしまったから。



映像の持つ潜在能力は(文字とは違う意味で)スゴい。これを(たまたま)幼稚園~小学生時分にTVの吹替え版などで観ちゃった世代は、成人後も根深いトラウマになってるそうな。 日本でもホンの一時期、カブトムシ価格が下落した。 幸い?その後に増えた「ムシキング世代」によって再び高騰に転じたが。

余談ついでだが『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』は『ザ・マミー』3度目のリメイクだそうで、まァずいぶんと長寿なホラー作品なんだな。 つまり昨年のトム・クルーズ主演のバージョンは4度目のリメイク❕❔ ってこと。 『ミッション・インポッシブル(スパイ大作戦)』と言い『宇宙戦争』と言い、クルーズ主演作にはリメイクやリブート物が目立つ。

そうしてみると平成は、ある程度までは「昭和のリブート」とも思える意識基盤に支えられていたのだ。 次の元号が何と決まるが知らないが、そこでリブートされる平成の意識基盤には、どんな事象が残され、引き継がれるのだろう。   =了=

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【煩悩💗探検隊】 エディケ... | トップ | すぐ旧弊化する技術への🔥イ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事