おととい飛び込んで来た「菱重、H3ロケットの初打上げ予定日を再び延期」のニュース。
三菱重工グループで看板プロジェクト(プロダクト)の開発(納品)、その予定期限の延期発表を繰り返す、と言えば……ごく近しい過去にも2例ほど思い浮かぶ。
- 豪華客船「アイーダ・プリマ」(三菱造船)
- 中型旅客機「スペースジェット」(三菱航空機)
- 中型旅客機「スペースジェット」(三菱航空機)
前者は結局、大赤字による社業の暗雲に。後者はコロナ禍の追い撃ちにも遭い、ついには開発計画の凍結と人員削減に帰してしまった。
“スペースジェット”開発体制をさらに縮小へ 三菱航空機が従業員を半減方針
まあ言っても、中型ロケットはJAXAとの協業で「国家プロジェクト」の面を併せ持つ。伝統的に産学界からの期待や支持も高く、そう簡単には(船や飛行機のように)事業の腰を折られることはあるまい。
あるまいとは思うが、何せ国際競争の過熱してる開発分野だ。最先端プロダクトの開発は「出来た製品の運用が商用ビジネスとして」成功するかしないかで、将来に響く。商用ビジネスとして成功するか否かは、いかに早く他社(他国)を出し抜いて市場を先獲りできるか。生産を非効率な点から、よどみ無い線(ライン)へと伸ばせるか。
要は、スピード感をもって成し遂げないと「あとに続かない」。H3のあとのH4、H5と続くために、「このH3」が1日も早く品質問題をクリアして打ち上げに漕ぎ着けることを切に望む。
🚀私作図表『世界のロケット背比べ』 改訂3版
わたしは何年か前に、当ブログで「宇宙旅行ツアー企画の先陣を切った商企業が、英ヴァ―ジン社だったなんて❕❔❔」という主旨の記事をUPした。だが半年前の’21年7月、IT大手アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、自身率いる宇宙開発企業ブルーオリジン社の"ロケット"で何分間かの宇宙ツアーを試体験。それ以来の「商用宇宙ツアー」実施実績ではヴァージン社を凌駕して「一般人ツーリスト」を宇宙に送り出してる。
数年先の業界図絵も未知数で描けない。こりゃあ、この新たなる「新旅行ビジネス」も、国を跨いだ市場の「先獲り」競争が熾烈になってきた。
そんなワケで、日本人の目にもそろそろなじみ始めたその、ブルーオリジン社の『ニューシェパード』号。
噴火ノズルは、ナンと1個だけ。それが点火後にコケたら即「打上げ失敗=大惨事」なんで、先ずは客が搭乗するゴンドラ部分の緊急射出機構に最大の信頼性をブチ込むことで「一般市民を乗せるに足る安全性」を担保した。
素人目に見ると、こんなにも簡略な「ゴンドラ乗っけた燃料タンクに推進ノズル🔥付けただけ」みたいな代物(しろもの)で、人類は宇宙に行けちゃうんだァ❔❔ って感じ。
実際問題、この『ニューシェパード』は、人類初めてガガーリン少佐を宇宙へ送ったソ連製『ヴォストーク』ロケット(全高38.36m)の半分の高さもない。
そのオドロきの全高、たった18mぽっち。
専用の発射台がナニより如実に物語ってるように、4階建ビル相当の高さしかない。ここまで異様に小っさい💧のは推進力が強力…と言うよりは「打ち上げる予定高度がそもそも低い」ことに依拠してる。
この"ロケット"は地球の安定軌道に乗るまで飛んでゆかず、放っといても地球の重力につかまって自然落下し始める「弾道飛行高度」までしか上がらない。だから2段目ロケットが要らず、1段目ロケットの推力も最小限で済んだ結果、図体もコンパクトにできた。きっと世のなかには、『ニューシェパード』は弾道ミサイルならぬ弾道ヴィークルなんであって、いわゆる「宇宙ロケット」の範疇には入らんよ❕ と鼻で嗤(わら)う人もいることだろう。
まあ、そんな「ロケット未満のロケット」だが、小生が前から無償配布してる『世界のロケット 背比べ比較図』に あえて付け加えたバージョンをリリースしてみた。前述の『三菱H3』だって、有人飛行用途にこそ一度も運用される計画は無いが「相当にデカいんだぞ❕」ってことを実感してもらえたら嬉しい。
=了=
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