すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

勝負下着

2011-09-20 21:40:56 | ひとりごと
 女には「勝負下着」というものがある。一般的には意中の人とそういう事になった時のための下着の事を言うのであろう。
 しかし、勝負下着は何も若い女性だけのものではない。ちゃんとお年寄りにもあるのである。
 例えば、友達と温泉などにお出掛けする時である。デイサービスもしかり。つまりは、他人に見られても恥ずかしくないものを着るのである。
 うちのキヨちゃんに至っては、以前にも書いたが普段は全く構わない。何しろ父のお古でも構わなかったのだ。しかし、お出掛けするとなるとそうはいかない。
 次に必要なのは通院である。お医者様に恥ずかしい下着は見せられないというわけだ。
 そうは言っても、普段構わないキヨちゃんでも、私がかわいいレースの下着などを買ってあげると、まんざらでもなさそうな顔をしつつ
 「えへへ~。こんなん穿いたら、娘がびっくりするわ~。」
と笑う。この場合の「娘」は私の事ではなく、自身の身体の隠語である。
 おばあさんと言っても女は女。やっぱり可愛い物が良いに決まっている。自分では決して買わないのだから、時々かわいいものを買ってあげる。
 さて、ある日の事温泉で同級生のお母様と遭遇した。お母様は数人のお友達と来ていたので、お出掛けして温泉に来たようだった。ふと見ると白いブラジャーをつけている。
 これには流石に感激した。キヨちゃんは私の知る限りブラジャーなんてした事が無い。多分、時代から言ってもつけない世代であろう。だから同級生のお母様が、そういうきちんとした下着を着けていることに感動したのだ。
 しかし、その直後私は大いに焦る事になる。おしゃべりに夢中になっていたおば様は、何と全部衣類を脱いだ後、ブラジャーだけ外し忘れて温泉に入って言ったのだ。
 「おばちゃん、おばちゃん!」
わたしは必死に小声で呼んだ。振り向くおば様。
 私は胸を指差してジェスチャーで示したが、全くぴんと来ない。しばらくきょとんとしたおば様と私のやり取りが続き、ついに私は傍に行ってブラを指差すしかなかった。
 こっそり教えたかったのだが、気づいたおば様大爆笑。連れの面々も気づいて大爆笑だった。
 勝負下着・・・。付け慣れない物には十分ご注意を・・・。



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コメント (3)
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