ある担当様の話である。もともと認知症のある方で、誤嚥性肺炎が元で寝たきりとなってしまった。筋力的には落ちていないので、リハビリ次第では元通りになるのではと期待されたが、嚥下のほうは難しく胃ろうとなった。
歩行はと言うと、認知症のためにリハビリの指示が伝わらない。分かっていてしているんじゃないかと思うほど、思いがけないところで力を抜いたり、気が向かないと全く動こうとしなかった。
病院ではかなり色々頑張ってくれ、一度外出訓練を試してみようという事になった。家に帰ればあるいは感覚を思い出してくれるかもしれないと期待したのだ。
当日私も家に行った。家であることはご本人にも分かるようだったが、歩く気配は全く無かった。両脇を支えて介助しても、宇宙遊泳のように足を軽く合わせるだけ。そのうち子供のように足を浮かせてしまう。
それなら大好きだった動物はどうだろうと、ご家族がかわいい子猫を連れてきたが、泣きそうに怯えてしまう。
結局何の成果も無いまま、病院に戻り、その後益々機能低下と意欲低下が進んだ。ソーシャルワーカーから、
「おむつ交換のときはジタバタと激しい抵抗がありますが、それ以外は寝かせたら寝たまま、座らせたら座ったままです。」
と説明があった。
退院前も様子を見に行った。介護抵抗の時は、手も足もよく動いている。つまり筋力低下はあっても動けるという事だ。にもかかわらず、歩けない。
しかしご家族のいう事だけは不思議と耳に届き、つかまり立ちができた。靴を自分で履いてとご家族が言うと、指先を使って座ったまま靴を履いてみせた。
「こんな○○さんを見たことが無い。」
と病院スタッフは仰天した。
そして、退院。歩けない上に認知症による介護抵抗もある彼のために、沢山のサービスが必要でカンファレンスが開かれた。
しかし・・・である。帰って数日、彼はひとりで玄関先に座っていた。仰天したご家族は怪我をしないように施錠せざるを得なくなった。半信半疑で訪問した私達の前で、
「ねえ、歩いて見せて。」
頼むと
「うん。」
と指示も通り、見事に歩いて見せたのだ。
嬉しいような悲しいような・・・。いいことなのだがリスクも高くなる。
それにしても・・・、家には魔力がある。
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歩行はと言うと、認知症のためにリハビリの指示が伝わらない。分かっていてしているんじゃないかと思うほど、思いがけないところで力を抜いたり、気が向かないと全く動こうとしなかった。
病院ではかなり色々頑張ってくれ、一度外出訓練を試してみようという事になった。家に帰ればあるいは感覚を思い出してくれるかもしれないと期待したのだ。
当日私も家に行った。家であることはご本人にも分かるようだったが、歩く気配は全く無かった。両脇を支えて介助しても、宇宙遊泳のように足を軽く合わせるだけ。そのうち子供のように足を浮かせてしまう。
それなら大好きだった動物はどうだろうと、ご家族がかわいい子猫を連れてきたが、泣きそうに怯えてしまう。
結局何の成果も無いまま、病院に戻り、その後益々機能低下と意欲低下が進んだ。ソーシャルワーカーから、
「おむつ交換のときはジタバタと激しい抵抗がありますが、それ以外は寝かせたら寝たまま、座らせたら座ったままです。」
と説明があった。
退院前も様子を見に行った。介護抵抗の時は、手も足もよく動いている。つまり筋力低下はあっても動けるという事だ。にもかかわらず、歩けない。
しかしご家族のいう事だけは不思議と耳に届き、つかまり立ちができた。靴を自分で履いてとご家族が言うと、指先を使って座ったまま靴を履いてみせた。
「こんな○○さんを見たことが無い。」
と病院スタッフは仰天した。
そして、退院。歩けない上に認知症による介護抵抗もある彼のために、沢山のサービスが必要でカンファレンスが開かれた。
しかし・・・である。帰って数日、彼はひとりで玄関先に座っていた。仰天したご家族は怪我をしないように施錠せざるを得なくなった。半信半疑で訪問した私達の前で、
「ねえ、歩いて見せて。」
頼むと
「うん。」
と指示も通り、見事に歩いて見せたのだ。
嬉しいような悲しいような・・・。いいことなのだがリスクも高くなる。
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