おっちーの鉛筆カミカミ

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戯詩語り第1作目『ONE EYES』第0-1章 プロローグ~lyric

2008年01月04日 23時02分00秒 | 戯曲・戯小説『ONE EYES』
第0-1章 プロローグ~lyric


あれは、何処だったか
忘れられない1つの場所。
そこには 皆がいた。

『空を見たら 青が流れていた
青白く光る 真昼の月
人は雲なのか 月なのか
一面に広がる青になれたらいい

積もる出来事は 枯れ葉のようで
雪のように 溶けることもなく
ただそこに居て ただ土になる

空の青さは 全てを包むから
光も闇も 1つの眼差しで
触れゆく優しさ それは歩き続けること

だから私は思う。

めぐり流れる青になれたら、きっとそれでいい』

<登場人物>

磯野 慎平: 絵を見るのが好きな大学生。中高時代は陸上部に所属していた。今は毎日ブラブラしている。満21歳
市川 修: 慎平の親友。現在は慎平とは違う大学に通う。また、「ピコタン絵画教室」にて、絵を習っている。同22歳。

渋谷 恵美: 今井麻衣子のお姉さん役。機械に強い。矢崎義隆とつながりが…? 22歳。
今井 麻衣子: ラジオのDJを夢みる女子高生。17歳。

上杉 千夏: 慎平と中学の頃付き合いがあった。現在は刑事課に属する警官。23歳。
上河 雅也: 千夏の上司で刑事。「自分が上である」「知識がある」ということでしか自己主張の術を知らないという困った性格。36歳。

矢崎 義隆: 渋谷恵美との関係は…? 31歳。
路也 徹(みちや・てつ): 矢崎義隆の腰ぎんちゃく。この物語の鍵を握る? 19歳。

皆神(みなかみ) 祐樹: ピコタン絵画教室の年長者であり、困ったちゃんであり、ムードメーカーにもなっているのかいないのかよくわからない人物。32歳。

水原 将: 芸術方面に大いなる才能を持つ。その反面、神経が繊細? 秘密を持っている。26歳。
田中 みどり: ピコタン絵画教室のスタッフ。しかし絵画の経験全くなし。よく気の付く性格だが、案外大雑把。20歳。

『ONE EYES』第0‐2章 プロローグII~変わらない居場所

2008年01月04日 23時01分43秒 | 戯曲・戯小説『ONE EYES』
 曇り空の下。そこは大きな建物に隣接する空き地。
 11人の人々がそこにいる。

 そこはその人々にとって、2つと無い場所。
 人と人を繋げてくれる、そこに居る理由をくれる、またと無い居場所。

 いくつかの話し声の中、ひとりが大きな声を上げる。

みどり「ねえ、みんながこんなに集まる機会なんてそうそうないと思わない?」
慎平「え?…あぁ」
みどり「だよね。あたし、こういうのは残しておきたいの。…ねえ、みんなで集まって写真撮らない?」
将「あー」
麻衣子「なにそれ?」

 麻衣子はみどりに食って掛かっている。いつもの風景。皆は慣れっこである。

みどり「なによ。文句ある?」
麻衣子「ありまくり」
みどり「…(怒)」
修「まあまあまあ! 麻衣ちゃん面白いじゃん、撮ってもらおうよ」
麻衣子「えー」
修「記念になるよ。ねえ」
みどり「そうそう。思い出にね」
皆神「みどりちゃんの提案、私はいいんじゃないかと思いますけどねえ」

 麻衣子は興味なさそうにそっぽを向く。

恵美「うーん」
慎平「恵美どうする?」
恵美「いいんじゃない?」
みどり「おぉーさすが器が大きい」
麻衣子「…」

 麻衣子は、じゃあ私は写真に入らないだけで、器が小さいことになるの? とでも言いたげな表情。
 一方、矢崎と徹、上河と千夏はみどりたちとは少し離れた場所にいる。

徹「矢崎さん、集合写真ですって」
矢崎「ああ」
徹「我々どうしましょうか?」
矢崎「あまり興味ないな。放っておこう」
徹「そうですか」

 上河と千夏は互いに少し距離をおきつつ、隣り合って座り込んでいる。

千夏「私撮ってもらいたいなー」
上河「お前幾つだ?」
千夏「写真撮ってもらうのに年齢なんて関係あるんですか」
上河「いくつなんだ?」
千夏「失れい…だと思いますけど仕方ないですね、教えますよ。23になりました」
上河「ふむ。まだ若いな」
千夏「上河さんに比べればずっと若いですね」
上河「…ギャフン!」

 千夏は上河の意外にお茶目な言葉に衝撃を受け、一瞬の間のあとで大笑いしている。
 みどりはその2人に向って、

みどり「そこ! こっち来なさい」
千夏「はーい♪」
上河「私は行かんぞ」
千夏「上河さーん、一緒に撮ってもらいましょうよーぉ」

 千夏は上河に甘えた声を出す。

上河「…」

 上河はしぶしぶ立ち上がった。
 そして麻衣子はまだグズっている。

麻衣子「私は写んないよ。ここの卒業生のあんた達だけでやりなよ」
修「えー麻衣ちゃーん」
麻衣子「あんたはうるさい!」
慎平「麻衣ちゃん、写ろうよ」
恵美「麻衣っ」
麻衣子「嫌だ」
恵美「頑固だねー。こうなったらテコでも動かないよ」
慎平「だなー」
修「…」
皆神「皆で写真1枚撮るのも、大変ですねえ」

 すると、将が皆の真ん中あたりに立つ。

将「皆さん、集まりましょう」
慎平「うーす」

 麻衣子、矢崎、徹以外の8人は、わらわらと集まる。

将「みどり、カメラは?」
みどり「あっ…それに気付いてなかったなあー」
将「みどり相変わらず抜けてる」

 みどりはその言葉に内心少しムッとするが、

みどり「携帯があった。これで撮りまーす」
恵美「…」
将「みどり、僕カメラ持ってる。僕が撮るよ」
慎平「あっ! 俺もカメラ持ってるよ」
みどり「あっほんとにー? 写してくれる? わーい、ほんとは私も写りたかったんだよねー」

 慎平の発言はスルー。少々所在無さげになる慎平。

将「じゃあ皆さんそのへんに集まって…」
麻衣子「えっ将さんが撮るの? なら私も入る」

 麻衣子の言動に、ますます機嫌が悪くなるみどり。

修「じゃあ撮りますから並んでー。ほら慎平は高い方なんだから後ろっ 前の人は座ってくださーい」
みどり「おお、修くん仕切ってる」
千夏「修くんかっこいー」
麻衣子「そお?普通じゃん」

 修は内心ショックではあるが、表には出さずに「人員を整理」する。
 みどりと皆神以外は、それでも「だらだら」していてなかなか態勢が整わない。
 しかし修の努力の甲斐もあり、8人は次第に写真をうつす姿勢にまとまってくる。
 すると、恵美が急に矢崎たちの方を向く。

恵美「ほらほら、そっちで突っ立ってる2人」
矢崎「…」

 矢崎はその言葉を無視。

徹「矢崎さん、恵美さんなにか呼んでますぜ」
矢崎「いいんだ。無視してろ」
徹「へえ」

 麻衣子がフォローに入る。

麻衣子「おじさんたちも仲間なんだから入ったらー?」
徹「あいつ自分たちをおじさんなんて呼んでますぜ」
矢崎「いいから。無視してろ」
徹「へえ」

 そこに、将が声を上げる。

将「矢崎くん、入りなよ。その方がいい」
矢崎「…」
将「矢崎くん」

 将の言葉は穏やかだが断定的で、迷いがなく、その場によく響いた。
 矢崎は黙って列の中に加わる。もちろん徹もそれに続く。

慎平「全員揃ったな」
みどり「ねっ♪」
修「みんな枠に入ってるよな。列は乱れてない?」
千夏「よし。じゃあ撮ろーっ!」

 将は集合写真のカメラポジションに立ち、カメラを構える。

将「よし、じゃあいいかな・・・うん、全員ちゃんと入ってる」

 将はカメラのファインダーを覗いている。
 将はカメラのファインダーを覗いている。
 将はカメラのファインダーを覗いている。
 将は…

慎平「早く写せよ!じれったいなあ」
将「いや…なんか、みんなの表情が固いなと思って」

 皆は周りの人たちをそれぞれ見回す。

皆神「表情が硬いそうです」
恵美「そうねえ」
麻衣子「将さん、どうすればいいとおもいますか?」
将「そうだなあ…全員首でも回してください」
徹「はっ?」
千夏「どういう意味ですか」
将「そのまんまの意味です。首をぐるぐると、回してください」

 将の言葉には、何故か逆らえない力があり、矢崎も、上河でさえ従わざるを得ないのである。
 大人(?)が10人並んでぐるぐる首を回す。なぜか全員が時計回りだ。そろっている。
 妙に滑稽で、笑える光景である。
 そのまま4、5秒経過しただろうか、

将「ストップ!」

 間髪入れず、

将「撮るよ」

 10人はそれぞれ別の方向に顔を向けている。
 不平不満が一気に噴出す。わいがやわいがや。

恵美「やだーっ」
慎平「こんなん撮ってどうするんだよ」
みどり「水原くん大じょぶ?」
麻衣子「将さん、どうしたんですか?」
将「もういいんですよ、どこ向いたって。頭固いなあ。もう撮ります。ただしレンズだけは見ないでくださいね」

 10人は低い声で返事する。
 そうして、将はシャッターを切った。

『ONE EYES』第0-3章 田中みどり~モノローグ

2008年01月04日 23時01分20秒 | 戯曲・戯小説『ONE EYES』
「カシャッ」

 その時撮った写真は、今も私の中に在ります。
 その写真は好きだった人が撮ったものだからというだけではなく、いつも、私に何かを伝えてくれようとしていました。

 彼が去ってからも、私はずっと此処に居ます。私に何が起こっても、独りきりになってしまうことがあっても、私はこの場所に居続けようと思います。

 いつか、何年かあとに、また私は彼に出逢うかもしれません。
 その時は、笑えたらいいと思うのです。

 だから、私はずっと、この写真の、この場所、そしてこの場所にいた人達…その眼差しの向き―ベクトル―を、絶対に忘れることはありません。





 ようやく始められました。
 戯詩語り第1作目『ONE EYES』の第0章です。

 「戯詩語り」というのは僕の造語で、戯曲と小説と詩のいいとこ取りを目指して考え出した、僕のひとつの目標です。


▼文章塾塾生のみなさんへ

 この記事は文章塾のWAの方に投稿している作品と全く同じものです。
 なので感想などありましたら、WAの方にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m。

 この記事は、文章塾生以外の方々にもこの作品を読んで欲しくてアップしたものです。
 この作品は文章塾生以外の人たちにも広く読んで欲しいと思ったので。
 大学のサークル時代の友人…芝居版『ONE EYES』に出演したり、関わったりした友人の中にもたぶんこのブログを読んでいる人がいると思われます。その人たちには、是非今回の戯詩語り版『ONE EYES』を読んで欲しい。
 できたらコメントくださいねー。まあ無理することはありませんが。

 それでは、また。
 なるべく早く次の第1章書き上げます。