僕は、シンガソングライターYUIさんのファンです。
今も彼女のアルバム『I LOVED YESTERDAY』を聴きながら書いています。
けれども、彼女は、去年の秋から「リフレッシュ休暇」ということで音楽活動をお休みされていました。
6月3日のシングル『again』発売を皮切りに、彼女は音楽活動を再開されるそうです!
意外と短い時間でリフレッシュは完了したのですね(笑)。
とりあえず、前述の新曲は日曜日の夕方、TBSで放送される『鋼の錬金術師』というアニメのオープニングテーマになっているそうなので、それを観ることとしよう。
今も彼女のアルバム『I LOVED YESTERDAY』を聴きながら書いています。
けれども、彼女は、去年の秋から「リフレッシュ休暇」ということで音楽活動をお休みされていました。
しかあし!
6月3日のシングル『again』発売を皮切りに、彼女は音楽活動を再開されるそうです!
意外と短い時間でリフレッシュは完了したのですね(笑)。
とりあえず、前述の新曲は日曜日の夕方、TBSで放送される『鋼の錬金術師』というアニメのオープニングテーマになっているそうなので、それを観ることとしよう。
『
「スタート」
僕はその時の事を憶えていない。
号砲は確かに鳴った筈だ。
しかし僕はそれを憶えていない。
だけどとにかく、僕は走り始めたのだった。
最初、僕はどこへ向かえばいいのかすら分からなかった。
でも声が聞こえた。
「向こうへ走るんだ」
僕はその通りにした。
ふと気が付くと、僕の隣にも、僕と同じ様に走っている者がいた。
僕は彼を「友達」と呼んだ。
走っている間は、僕は彼の相手しかしなかった。
しかし暫くして、彼とは別れた。
道が分かれたのだ。
その後、道は人で溢れた。
僕に友達が大勢できたのだ。
その中に魅かれる相手がいた。異性だった。
「このぶら下がってるパンを口だけ使って食べるんだって」
僕は背が高かったので、難なくクリアできそうだった。
「あたしちっちゃいから無理。もう手で取っちゃお」
その子が手を伸ばした時、彼女のお腹の、裾の下からチラリと臍が見えた。
でも僕は目の前の、ルールがある方を優先した。やり方が分かっている方を優先したのだ。
僕はパンを口の中に入れて走った。「友達」は少し減ったみたいだった。
暫く走ると平均台があった。
「そこから落ちたら不幸になるぞ!」
観衆からの野次が飛んでくる。只の平均台なのに。
僕はそれなりに恐怖とプレッシャーを感じながらも、それを無事渡り終えた。
今度は網の中を潜るのだ。
網の中に入ると薄暗くなった。
ん? 何か僕は柔らかいものに触っている。
嫌に気分が高揚してくる。
どこからかいい匂いもしてくる。
網の中に出口は見えない。
網は手足に絡まる。
僕はその時、初めて進む事を止めた。
この快楽の、甘い泥の中、意識を失うまでそれを味わった。
目を覚ました。
嫌に頭がスッキリしている。
空は晴れていて、光が眩しい。
網から抜け出ると、誰かと手を繋いでいた。
僕が笑うと、そいつも笑った。
その頃の僕はなんだか力に満ちていた。
慢心したのか、転んでしまった。
膝から血が出た。
小さな子供が、僕の事を心配している。
「大丈夫だよ」
僕はその子供に言った。
愛しかった。
いつの間にか、僕は独りになっていた。
もうすぐゴールだ。
ゴールテープが迎えてくれる。
あ、
地面の茶色と空の青が同時に目に映った。
その後の記憶は無い。
』
僕はその手紙を鳥に託した。
僕は今、何も無いところに居る。
* * *
「第33回文章塾という踊り場♪」への投稿作品のオリジナル(最初に書いた形)版です。
今回のお題は、「死者についての文章」でした。難しかったです。
この作品の文章塾投稿版と、それに対する塾生の皆さんのコメント、僕の返信は、こちらから。
「スタート」
僕はその時の事を憶えていない。
号砲は確かに鳴った筈だ。
しかし僕はそれを憶えていない。
だけどとにかく、僕は走り始めたのだった。
最初、僕はどこへ向かえばいいのかすら分からなかった。
でも声が聞こえた。
「向こうへ走るんだ」
僕はその通りにした。
ふと気が付くと、僕の隣にも、僕と同じ様に走っている者がいた。
僕は彼を「友達」と呼んだ。
走っている間は、僕は彼の相手しかしなかった。
しかし暫くして、彼とは別れた。
道が分かれたのだ。
その後、道は人で溢れた。
僕に友達が大勢できたのだ。
その中に魅かれる相手がいた。異性だった。
「このぶら下がってるパンを口だけ使って食べるんだって」
僕は背が高かったので、難なくクリアできそうだった。
「あたしちっちゃいから無理。もう手で取っちゃお」
その子が手を伸ばした時、彼女のお腹の、裾の下からチラリと臍が見えた。
でも僕は目の前の、ルールがある方を優先した。やり方が分かっている方を優先したのだ。
僕はパンを口の中に入れて走った。「友達」は少し減ったみたいだった。
暫く走ると平均台があった。
「そこから落ちたら不幸になるぞ!」
観衆からの野次が飛んでくる。只の平均台なのに。
僕はそれなりに恐怖とプレッシャーを感じながらも、それを無事渡り終えた。
今度は網の中を潜るのだ。
網の中に入ると薄暗くなった。
ん? 何か僕は柔らかいものに触っている。
嫌に気分が高揚してくる。
どこからかいい匂いもしてくる。
網の中に出口は見えない。
網は手足に絡まる。
僕はその時、初めて進む事を止めた。
この快楽の、甘い泥の中、意識を失うまでそれを味わった。
目を覚ました。
嫌に頭がスッキリしている。
空は晴れていて、光が眩しい。
網から抜け出ると、誰かと手を繋いでいた。
僕が笑うと、そいつも笑った。
その頃の僕はなんだか力に満ちていた。
慢心したのか、転んでしまった。
膝から血が出た。
小さな子供が、僕の事を心配している。
「大丈夫だよ」
僕はその子供に言った。
愛しかった。
いつの間にか、僕は独りになっていた。
もうすぐゴールだ。
ゴールテープが迎えてくれる。
あ、
地面の茶色と空の青が同時に目に映った。
その後の記憶は無い。
』
僕はその手紙を鳥に託した。
僕は今、何も無いところに居る。
* * *
「第33回文章塾という踊り場♪」への投稿作品のオリジナル(最初に書いた形)版です。
今回のお題は、「死者についての文章」でした。難しかったです。
この作品の文章塾投稿版と、それに対する塾生の皆さんのコメント、僕の返信は、こちらから。