第4章 え?親友ってヤツ。(2)
「修?」
そいつも、俺と同じ様に素っ頓狂な声を上げていた。
お互いが、まさかこんなところで会うとは夢にも思っていなかった。
修が言った。
「シン……慎平?」
「えっ?」
みどりが驚いて声を出した。
「修くん知り合いなの?」
「何でお前こんなところにいるんだよ?」
修が慎平に訊ねた。その驚きが表情に満ちている。
「知るかよ。お前こそこんなところに何しに来てるんだよ?」
慎平も動揺している。声が上擦る。
「俺は、ここの、生徒だもの」
修も呂律が回らない。
「あぁそうか。俺は……説明すると長くなるんで」
「そうか。まあとにかく」
修と慎平の目が、ニヤリと合った。
「「久し振りーっ!!」」
修は下手から、慎平は上から、お互いの掌をバチンと合わせた。
みどりは唖然として2人の様子を見るだけだった。
「慎平さん、修くんとも知り合いなの?」
みどりが訊ねると、慎平は、
「まあねー♪」
上機嫌である。
「修、聞きたい事は沢山ある!」
慎平と修が話し込もうとすると……そこに、
「ん!ンンーーーっ!」
ピコタン絵画教室唯一の先生、同時に愛奈さんの旦那さんが咳払いをした。
「しまった」
今授業中だったんだ。興奮してキレイサッパリ頭に無かった。
修は身の置き所の無い様子で、
「慎、悪い。話は後にしよ」
言うと、慎平は
「わかった」
直ぐに全部理解した。
するとみどりが、
「先生すみませんでした。授業を続けてください」
後を執り成す。
しかし先生は、
「修くん、君は途中から来たし、授業の話が分からないかもしれない。今日は、その慎平くんと隣の部屋で話してきたらどうだい」
仰ってくれた。
修は先生の計らいに少し感動して、
「先生すみません。……ありがとうございます!」
「よかったね」
そしてみどりが笑顔で修と慎平に言った。
一方、傍らでは、無表情の水原将がその様子を眺めていた。