おっちーの鉛筆カミカミ

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馬鹿虎ステーション投稿作品その③

2010年05月29日 06時27分38秒 | 小説・短編つれづれ

再見!


 私は生まれ変わりを信じます。
 なんでかって?
 それは、このお話をお伝えしたあとに、お答えします(笑)。

      *

 この話の主人公は、うちで飼っていた犬の『らぴす』……それからのちに生まれた彼の娘の『ばりす』……でありやす。

 うちの両親は犬だって家族の一員!という精神を徹底している人たちなんです。
 だから旅行するにもらぴすを連れて行くし、

お父さん「こら、らぴす! こんなとこでウンコすんな!」

 (笑)それから、ご飯の時も、家族と一緒に食べます。

お母さん「そんなの当たり前じゃないねえ?」

 私がらぴすとの思い出の中で一番憶えているのが、小学校の運動会での出来事。
 私が徒競走に出場した時……

放送「いよいよ、スタートです……!」

   『パーン!!』

 でも走り出してから私、すぐに転んでしまったんです。
 すると、観客席にいたらぴすが私の方に飛び出してきました。
 私は驚いて、
「らぴす、私大丈夫だよ!」
 と言って起き上がろうとしたら、彼は私をあっさり追い抜いて、前の子達も抜き去ってトップでテープを切ってしまったのでした……
 観客席は大爆笑。

 もちろん、他にも思い出は沢山あります。

 でも今、らぴすはいません。交通事故で死んでしまったんです。
 その代わりに、らぴすの娘の『ばりす』がいます。

 私には兄と弟がいます。兄は東京の大学に行き、そこで一匹の♀犬(めすいぬ)を飼い始めました。その頃はまだ、らぴすは元気に生きてます。
 兄は、東京で一人暮らしして、らぴすが自分の家にはいないからって……?

お母さん「あの子、犬のいない生活が耐えられなくなったのよ、きっと」

 うーん……やっぱり、そうだったのかな……?(笑)

 その次のお正月に、兄がその犬を連れて家に帰ってきました。

兄「そろそろらぴすも連れ合い見付けなきゃなあ」

 そんなことを言っているさ中……らぴすは、その兄が連れてきた犬と、恋に落ちました。
 そうして正月が終わり、兄と愛犬は東京に帰って、しばらくして彼女はらぴすとのの子供を何匹か生みました。ちょうどその頃です。らぴすが亡くなったのは。
 悲しむ私に、兄は子犬を一匹くれました。

 しばらくして、兄は東京で起きた大地震の被災者となり、帰らぬ人となりました。愛犬の行方は分かりません。

 あれから一年が経ちました。
 家の裏山の崖の下には、らぴすのお墓があります。
 けれど、今は冬。雪が積もっていてお墓は見えません。
 弟が、お墓の上に犬の形をした雪だるまを作りました。
 私はあのお正月に皆で撮った写真をだるまの前に置きます。みなのことを思って、手を合わせました。

 その瞬間、大きな音がして、らぴすの雪だるまの上に『ばりす』が落ちてきました。
 驚いた私が見上げると、弟が心配そうに崖の上からこちらを覗き込んでいます。
 ばりすは今生まれ落ちた赤ん坊の様に、キョトンとこちらを見ています。

『まるで、らぴすがばりすに生まれ変わったみたい。』

 私は言いました。
「ばりす、怪我もなくて本当によかった。今わかったよ、お前は皆の生まれ変わりなんだ! 神様がくれた大切な宝物だ!」
 私はばりすをギウと抱き締めました。

      *

 これで、お話は終わり。
 あれ?(笑)……答えになってないかな?