#12 キロの家(朝)
【SE 朝の風景(鳥のさえずり等)】
【明転】
バルシア入場
最初は伸びなど、人間らしい行為を行なっていたが
だんだん足で頭を掻いたり、手足を舐めたり、ドラゴンっぽい
行為を見せるようになる
そこにボイスカが入ってくる
慌てて取り繕うバルシア
バルシア「おはようございます!」
ボイスカ「竜というより、猫みたいじゃの」
バルシア空笑い
キロが朝食を持って入ってくる
キロ「皆さん席に着いてください、朝食ですよ」
バルシア「ありがとう、キロちゃん」
キロ「いいえー……あれ、ライタさんは?」
ボイスカ「あいつはまだ寝とるんじゃないのか」
キロ「えっ、そうなんですか!」
バルシア「あたしが起こしてくる」
バルシア退場
ライタ(声)「うおっ!」
二人とも登場、しながら、
バルシア「ライタ君がいくら起こしても起きないからじゃない」
ライタ「だからって頭凍らすことないじゃないですか」
バルシア「いやー、イライラしたら、つい本能で」
ライタ「まだ髪の毛がパリパリいってますよ」
ボイスカ「お前さんたちは何をやっているのか」
ライタ「いや、バルシアさんが俺の頭にアイスブレスを」
バルシア「軽~いの、軽~いヤツをね」
バルシア取り繕いの営業スマイル
キロ「気になってたんですけど、バルシアさんって、人間じゃないの?」
バルシア「いやあ人間よ」
ボイスカ「人間じゃよ」
ライタ「あれ、二人とも……」
バルシア、ライタを隅の方に連れてきて
バルシア「バレたら騒ぎになったりしてめんどくさいでしょ」
ライタは何度もコクコクうなずいている
キロ「朝食できてますよ」
ライタ「ありがとー! キロちゃん」
キロ「粗末なものですけど」
ライタ、バルシアは席に着きながら
バルシア「おいしそー!」
ライタ「もう食べていいの?」
キロ「どうぞ笑」
ライタ「いっただきます!」
バルシア「いただきます」
ボイスカ「いただきまっす」
4人、食事をしながら
ライタ「おじいちゃんは、いいのか?」
キロ「………」
ライタ「キロちゃん、
おじいちゃんは朝食食べないのか訊いてるんだけど」
バルシア「キロちゃん、おじいちゃんには朝食をあげなくていいの?」
キロ「はい。まだ眠ってますから、後で食べさせてあげます」
ライタ「ちょっとキロちゃん、俺の質問には応えないで
バルシアさんの同じ質問には返事するって、
これどういう訳?」
キロは困ったような、気分を害したような
複雑な表情・素振りを見せている
バルシア「まあいいじゃないの。
何か複雑な事情でもあるのかもしれないし」
ライタ「んなもんあるかい!」
キロ「……(うつ向きながら、小さな声で)失礼な」
ライタ「? そうなのか? 何か事情があるのか?」
キロはうつ向き無言のまま(でも時々何かに手を出し、食う)
ライタ「ああいいもうじれったい! 俺のことが嫌いなら嫌いでいいよ
好きにしてくれ!」
しばらくの間
皆、食事を進めている
そろそろ食べ終えようとした時、
キロ「私、皆さんに話しておかなくてはならないことがあります」
バルシア「なーに、キロちゃん?」
キロ「私を、皆さんの旅に同行させてください!」
バルシア「えっ」
ボイスカ「!?」
ライタ「なんですと!?」
キロ「無理を承知でお願いします
皆さんと一緒に旅をさせてください!」
ライタ「突然何を言っとるかね」
バルシア「どうしてそう思ったの?」
キロ「私を見守る『神木』……木の精霊、彼が私にそう告げたんです
皆さんと一緒に旅に出ろと
それが私の役割であり、道であると」
ライタ、ボイスカ、バルシアはそれぞれに困った表情をしている
バルシア「でもお祖父さんはどうするの?
あなたがいなくなったら、世話をする人がいなくなって
困ってしまうでしょう」
キロ「お祖父ちゃんのことはもちろん心配です
でも、それについては考えがあります
ただ、皆さんのご協力が、また必要になるんですが……」
ライタ「でもキロちゃん、俺のこと嫌ってるんじゃないの?
そんなんで旅したって、辛いだけじゃん?」
ボイスカ「好きだから嫌いだからで一緒に旅するわけでもなかろう」
ライタ「それはそうだけど、例えば敵が出てきた時だって、
協力し合わなきゃならないんだよ?」
キロ「それは、大丈夫だと思います」
ライタ「キロちゃんがそう言うんなら、まあいいけどさ。でも」
キロ「私!ある出来事が切っ掛けで、男のかたがダメなんです」
ライタ「(何も考えず、無神経に)出来事って?」
キロ「えっ……」
バルシア「キロちゃん、話したくないことは話さなくていいよ」
キロ「はい……」
バルシアはライタに軽く鉄拳
ライタ「痛(いた)た……」
キロ「ごめんなさい
守護霊からの言葉は、私にとって絶対なんです
私を旅に連れていってください!
私の魔法は、旅のお役に立てると思います!
男嫌いも、皆さんにご迷惑を掛けないように
うまくやっていきます!」
バルシア「(少し2人の様子を伺いながらも、キロを気遣い)
いいんじゃない?
私はそう思うけど、ライタ君は?」
ライタ「ちょっと構えちゃいますけど、大方大丈夫です。ただ、」
ボイスカ「ライタ、そこからは儂が話そう
キロ君、旅に出たら、危険が一杯じゃぞ
魔物や獣との戦いも日常茶飯事だし、
時には、例のアイグラント帝国の奴らとも
対峙せねばならんようじゃしな
そのあたりへのキロ君の覚悟は、どうなんだろう」
キロ「はい、大丈夫です」
ライタ「ホントか?」
キロ「はい、私は時折村の外へ用事で出掛けることがあります
遠出をすることもあって、そういう時は、
途中で魔物に何度も出遭います
最初は怖くて仕方なかったけど今は慣れて、
魔法で身を守ったり、退治したりするまで
出来るようになりました
だから、大丈夫です」
ボイスカ「ふ~む……」
ライタ「師匠?」
ボイスカ「そこまでの覚悟なら儂は何も言わない
もともと魔法使いと守護霊との強い絆はよくわかっている
反論しても無駄だとな」
キロ「ありがとうございます!」
バルシア「じゃあキロちゃんがあたしたちのパーティーに加わることを
祝して」
バルシアはミルクの入った杯を掲げる
バルシア「はい!」
4人それぞれに『乾杯!』
【SE 朝の風景(鳥のさえずり等)】
【明転】
バルシア入場
最初は伸びなど、人間らしい行為を行なっていたが
だんだん足で頭を掻いたり、手足を舐めたり、ドラゴンっぽい
行為を見せるようになる
そこにボイスカが入ってくる
慌てて取り繕うバルシア
バルシア「おはようございます!」
ボイスカ「竜というより、猫みたいじゃの」
バルシア空笑い
キロが朝食を持って入ってくる
キロ「皆さん席に着いてください、朝食ですよ」
バルシア「ありがとう、キロちゃん」
キロ「いいえー……あれ、ライタさんは?」
ボイスカ「あいつはまだ寝とるんじゃないのか」
キロ「えっ、そうなんですか!」
バルシア「あたしが起こしてくる」
バルシア退場
ライタ(声)「うおっ!」
二人とも登場、しながら、
バルシア「ライタ君がいくら起こしても起きないからじゃない」
ライタ「だからって頭凍らすことないじゃないですか」
バルシア「いやー、イライラしたら、つい本能で」
ライタ「まだ髪の毛がパリパリいってますよ」
ボイスカ「お前さんたちは何をやっているのか」
ライタ「いや、バルシアさんが俺の頭にアイスブレスを」
バルシア「軽~いの、軽~いヤツをね」
バルシア取り繕いの営業スマイル
キロ「気になってたんですけど、バルシアさんって、人間じゃないの?」
バルシア「いやあ人間よ」
ボイスカ「人間じゃよ」
ライタ「あれ、二人とも……」
バルシア、ライタを隅の方に連れてきて
バルシア「バレたら騒ぎになったりしてめんどくさいでしょ」
ライタは何度もコクコクうなずいている
キロ「朝食できてますよ」
ライタ「ありがとー! キロちゃん」
キロ「粗末なものですけど」
ライタ、バルシアは席に着きながら
バルシア「おいしそー!」
ライタ「もう食べていいの?」
キロ「どうぞ笑」
ライタ「いっただきます!」
バルシア「いただきます」
ボイスカ「いただきまっす」
4人、食事をしながら
ライタ「おじいちゃんは、いいのか?」
キロ「………」
ライタ「キロちゃん、
おじいちゃんは朝食食べないのか訊いてるんだけど」
バルシア「キロちゃん、おじいちゃんには朝食をあげなくていいの?」
キロ「はい。まだ眠ってますから、後で食べさせてあげます」
ライタ「ちょっとキロちゃん、俺の質問には応えないで
バルシアさんの同じ質問には返事するって、
これどういう訳?」
キロは困ったような、気分を害したような
複雑な表情・素振りを見せている
バルシア「まあいいじゃないの。
何か複雑な事情でもあるのかもしれないし」
ライタ「んなもんあるかい!」
キロ「……(うつ向きながら、小さな声で)失礼な」
ライタ「? そうなのか? 何か事情があるのか?」
キロはうつ向き無言のまま(でも時々何かに手を出し、食う)
ライタ「ああいいもうじれったい! 俺のことが嫌いなら嫌いでいいよ
好きにしてくれ!」
しばらくの間
皆、食事を進めている
そろそろ食べ終えようとした時、
キロ「私、皆さんに話しておかなくてはならないことがあります」
バルシア「なーに、キロちゃん?」
キロ「私を、皆さんの旅に同行させてください!」
バルシア「えっ」
ボイスカ「!?」
ライタ「なんですと!?」
キロ「無理を承知でお願いします
皆さんと一緒に旅をさせてください!」
ライタ「突然何を言っとるかね」
バルシア「どうしてそう思ったの?」
キロ「私を見守る『神木』……木の精霊、彼が私にそう告げたんです
皆さんと一緒に旅に出ろと
それが私の役割であり、道であると」
ライタ、ボイスカ、バルシアはそれぞれに困った表情をしている
バルシア「でもお祖父さんはどうするの?
あなたがいなくなったら、世話をする人がいなくなって
困ってしまうでしょう」
キロ「お祖父ちゃんのことはもちろん心配です
でも、それについては考えがあります
ただ、皆さんのご協力が、また必要になるんですが……」
ライタ「でもキロちゃん、俺のこと嫌ってるんじゃないの?
そんなんで旅したって、辛いだけじゃん?」
ボイスカ「好きだから嫌いだからで一緒に旅するわけでもなかろう」
ライタ「それはそうだけど、例えば敵が出てきた時だって、
協力し合わなきゃならないんだよ?」
キロ「それは、大丈夫だと思います」
ライタ「キロちゃんがそう言うんなら、まあいいけどさ。でも」
キロ「私!ある出来事が切っ掛けで、男のかたがダメなんです」
ライタ「(何も考えず、無神経に)出来事って?」
キロ「えっ……」
バルシア「キロちゃん、話したくないことは話さなくていいよ」
キロ「はい……」
バルシアはライタに軽く鉄拳
ライタ「痛(いた)た……」
キロ「ごめんなさい
守護霊からの言葉は、私にとって絶対なんです
私を旅に連れていってください!
私の魔法は、旅のお役に立てると思います!
男嫌いも、皆さんにご迷惑を掛けないように
うまくやっていきます!」
バルシア「(少し2人の様子を伺いながらも、キロを気遣い)
いいんじゃない?
私はそう思うけど、ライタ君は?」
ライタ「ちょっと構えちゃいますけど、大方大丈夫です。ただ、」
ボイスカ「ライタ、そこからは儂が話そう
キロ君、旅に出たら、危険が一杯じゃぞ
魔物や獣との戦いも日常茶飯事だし、
時には、例のアイグラント帝国の奴らとも
対峙せねばならんようじゃしな
そのあたりへのキロ君の覚悟は、どうなんだろう」
キロ「はい、大丈夫です」
ライタ「ホントか?」
キロ「はい、私は時折村の外へ用事で出掛けることがあります
遠出をすることもあって、そういう時は、
途中で魔物に何度も出遭います
最初は怖くて仕方なかったけど今は慣れて、
魔法で身を守ったり、退治したりするまで
出来るようになりました
だから、大丈夫です」
ボイスカ「ふ~む……」
ライタ「師匠?」
ボイスカ「そこまでの覚悟なら儂は何も言わない
もともと魔法使いと守護霊との強い絆はよくわかっている
反論しても無駄だとな」
キロ「ありがとうございます!」
バルシア「じゃあキロちゃんがあたしたちのパーティーに加わることを
祝して」
バルシアはミルクの入った杯を掲げる
バルシア「はい!」
4人それぞれに『乾杯!』
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